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竜飛岬へ日帰りで行ってみた
「ごらんあれが竜飛岬 北のはずれと 見知らぬ人が 指をさす」
石川さゆりが歌った名曲「津軽海峡冬景色」でもおなじみの竜飛岬。その言葉の響きは知れ渡っているけれど、私の周囲には行ったことがある人が少ない印象です。
それもやむを得ないところがあるなと思い、竜飛岬に行くための交通機関は便利とはいいがたいところがあります。
公共交通機関を使って行こうとすると、津軽半島を縦走する津軽線は現在は蟹田駅まではたどり着けますがその先は災害により不通。復旧も絶望視されています。
東北新幹線(北海道新幹線)の奥津軽いまべつ駅までたどり着けば竜飛岬まで行く路線バスがありますが、バスだけで片道1時間半かかるし便数も往復3.5便と少ないです。奥津軽いまべつに止まる新幹線の本数も1日7往復で、日中でも3時間ほど電車が来ない時間帯があります。
ということで、基本的に竜飛岬へはレンタカーを借りて自力で訪れる必要があります。これだと青森空港からだと片道2時間ほどでたどり着くことができます。高速道路は無いので下道をのんびり行く旅になります。
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竜飛岬は津軽半島の最北端の突端にあるため、「ついでに立ち寄る」という場所ではなく、基本的に「竜飛岬に訪れる」ということ自体を目的にしないとなかなか訪れる機会もありません
私は、テレビ東京の「巨大マグロ戦争2023」で紹介されていた「たっぴの母さん」の姿が印象的で、ぜひ御本人にお会いしてみたいなというモチベーションがあったため、竜飛岬に訪れることにしました。私は日帰り旅行を日々研究している立場ですので、今回も日帰りで訪れました。
竜飛岬へのルート
青森空港を起点とするとして、おおまかに分けて2通りのルートがあります。
一つは、上でも画像を貼った、国道280号〜県道14号経由で訪れる東側まわりのルート。高速道路はないですが「比較的」起伏も少なく走りやすい道です。ふつうはこちらがオススメですが途中で立ち寄るスポットは少なめ。
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もう一つは、国道339号経由で金木や十三湖のあたりをかすめながら訪れる西まわりのルート。途中に太宰治生誕の地である金木があったり、しじみラーメンで有名な十三湖など立ち寄りたい観光地がいくつかあります。ただしとんでもない峠道を超えていかないといけないルートでもあります。
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今回は両方訪れてみるのが良かろう、ということで、往路は西まわり、復路は東まわり、という塩梅で訪れてみました。
往路(青森空港〜木造駅〜金木〜竜飛岬)
今回は JAL で青森空港まで訪れました。青森着11:20、青森発20:40。滞在時間はおおよそ9時間ですが、そんなにギリギリな行動はできないので実際は8時間ほどの時間のなかで竜飛岬まで行って帰ってきます。
時間に余裕がある旅でも無いというのに、初手から「土偶」で有名な鉄道駅「木造駅」に寄り道して時間を浪費しました。土偶は写真から想像していたよりずっと無駄に大きくて、青森の心意気を感じました。
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津軽といえば太宰治、太宰治といえば金木、ということで、余裕が無いといいつつ旅を満喫するために、まずは金木にある「太宰治記念館 斜陽館」を目的地とします。斜陽館は太宰治の生家であり、当時金木で栄華を誇っていた島津家の大邸宅の跡地です。
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島津家の当主、太宰治の父の津島源右衛門は銀行の頭取や国会議員などを勤めた方のようですが、その権勢もあってか斜陽館の作りは高価なヒバの木がふんだんに使われている豪華さで、館内に展示されている様々な調度品の数々や部屋のしつらえ、広大な庭園など、なかなかに圧倒されます。これでも当時の数分の1の姿ということです。
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広い館内にはフォトスポットみたいな場所もあり、太宰治が羽織っていそうなマントが置かれていたり、書斎風のスペースがあったりもしました。インクには「人間失格」と書かれており、さすがにこれは生前の太宰治は使ってないだろうなと思います。
基本館内はお年寄りの方が多かったですが、文豪ストレイドッグス関連の展示もあり、その影響か若い人もそれなりに目立ちました。
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太宰の小説「ヴィヨンの妻」の中で、訪れた飲み屋で「これで好きなだけ飲ませてくれ」と大金(当時の100円、現在だと数十万円?)を店主に渡し、その後は一銭も払わず通い続け浴びるように3年位酒を飲みまくり、最初に渡したお金よりもずっと多額のお酒をタダで飲み続けたエピソードがあります。
中学生の頃にこの作品を読んだ私は、この「最初に見せ金として多めの金を出すことにより、トータルの支出を減らす(ごまかす)」方法に感銘を受け、大変参考にさせていただき、人生の中で何度も活用させていただいています。
文豪ストレイドッグスでの太宰の異能力「人間失格」の効力は「無効化」ですが、私が太宰治から引き継いだ異能力は「見せ金」です。
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などと色々余分な文章を書いてしまいましたが、旅程としても計画していたよりもずっと余分な時間を使ってしまい、14時ころに斜陽館を後にしました。楽しかったのだからしようがない。あと5時間で竜飛岬まで行って帰ってこないといけない。
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とかいいながら、金木にあった競馬場跡地にも寄り道をし、ここからは本気を出して竜飛岬まで一直線で向かいます。
金木の周辺を走っている国道339号線をひたすら北上すると、十三湖をかすめ、左側に日本海を眺めながら、最終的には竜飛岬までたどり着きます。金木のあたりまでは人家も車も多いのですが、十三湖の北あたりから雄大な自然を感じられる風景が広がることになります。
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上の写真で、山の中腹や山頂あたりに横に線が入っている箇所があると思いますが、これが道路で、そしてこれから登っていく道になります。339号線は猛烈な峠越えの道のりで、起伏も激しく、道も右に左にうねりまくります。レンタカーについている「急ハンドル警告機能」が道なりに走っているのに何度も発動するレベルです。私の車の前を走っていた観光バスが時速20kmくらいで道をはみ出しながらやっとのことカーブを曲がっていくのを眺めつつ、道を進めます。
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道中にある「眺瞰台」という名の眺望のよい場所までたどり着くと、遠くに目的地の竜飛岬を望むことができます。ここまで来ると、あともう少し。
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竜飛岬
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眺瞰台からは急坂を下り、風力発電の風車を眺め、ホテル龍飛を目標にして走ると竜飛岬にたどり着けます。灯台の方にも駐車場がありますが、その手前の駐車場に車を停めたほうが色々観光スポットをめぐりやすいかもしれません。
竜飛岬の代表的な観光スポットといえば、個人的には階段国道。
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どう見ても階段で、どう見ても車は通れないのに、なぜか国道に指定されている場所。珍スポットとして最近はだいぶ有名になった場所だと思います。現地におとずれてみましたが想像してみたよりもずっと狭く、起伏もびっくりするくらい激しくて、これはたしかに意味不明だなと感じます。
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竜飛岬といえば、「津軽海峡冬景色」。当然歌碑もあります。階段国道の入り口近く。でかい。
歌碑には赤いボタンが設置されており、ひと目で「津軽海峡冬景色が大音量で流れるヤツ」とわかる状態になっており、風情のかけらもへったっくれも無いなと僕は押すのを自重しました。
階段国道を下って登って戻ってきたら、僕の車の前を走っていた観光バスの乗客とおもわしき集団がボタンを連打しまくっていて、予想通りの大音量で曲が流れていました。
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そして、たっぴの母さん。Google Map でもスポット化していますが、階段国道の近くの駐車場に今は拠点を置いているようです。
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小柄だけどびっくりするくらい元気な方で、タンバリンを叩いて出迎えていただき、こちらも元気をいただきました。一緒に写真を撮らせていただき、色々お話もさせていただきました。マグロ漁師の旦那さんも元気で、10月からまたマグロ漁に出るようです。
お土産でホタテを二袋購入しましたが、たっぴの母さんから購入したのが1袋600円、同じ商品が空港では520円くらいで売ってました。何も問題ないです。写真代・お話代として、チップとして1万円くらい渡しても良かったくらい。
一緒に撮らせていただいた写真は記念にアクリルスタンド化して、部屋に飾らせていただいています。
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他にも青函トンネル関連の展示がある「青函トンネル記念館」など見どころはあるのですが、時間の制限もありますので、観光もほどほどに、できるだけ明るいうちに帰路につきました。
復路(竜飛岬〜三厩・奥津軽いまべつ駅〜青森空港)
帰路は、一応峠道はあるものの339号線ほどの激しさではなく、比較的高規格な道路を快調に飛ばして走ることができます。
道路に並行するような形で津軽線や新幹線が走っているので、途中途中で駅に立ち寄りながら空港に向かいました。
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三厩駅は津軽線の終着駅で、竜飛岬の最寄り駅。最寄りと言ってもここからは14kmほどあるようです。
被災の影響で不通になり1年ほど過ぎましたが、たった1年とは思えないくらい、構内は荒れており、草木が生い茂るままになっていました。本当は鉄道でここまで一度訪れてみたかったのですが、その希望は叶うことは難しいのかもしれません。
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山深い県道14号を走っていると、突然まわりの風景とは不釣り合いな近代的な建物があらわれますが、それが東北新幹線・北海道新幹線の奥津軽いまべつ駅。近くに津軽線の津軽二股駅があり、かつては乗り換えが可能でしたが、現在はこちらに列車がやってくることはありません。
私が駅に訪れた時間にちょうど新幹線がやってきそうだったので、入場券を購入してホームに降りてみました。ホームは最低限の幅しかなくてかなり狭い印象でした。乗る客・降りる客とも、数名、という規模感。
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青春18きっぷを使用している人は「北海道新幹線オプション券」を使って北海道に渡ったり本州に訪れたりしていたと思いますが、その際の在来線の乗換駅がここ奥津軽いまべつ駅・津軽二股駅でした。僕はあまり詳しくないのですが、津軽線が不通な今、青春18きっぷの扱いはどうなるのでしょうか。
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津軽線では他にも大平駅(おおだいえき)にも立ち寄ってみましたが、もう線路がどこに走っているかもわからないくらいに草木が生い茂り、この風景が日常になってしまうのかなと少しさみしい気持ちになりました。
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青森空港
と、そんな感じで竜飛岬まで行って帰ってきました。青森空港にたどり着いたのは19時半ころ。おおよそ8時間のドライブ。
スケジュール的に余裕があるかというと流石にそうではないですが、竜飛岬くらいなら日帰りで余裕で訪れることができるし、十分堪能してこれる距離だなと感じました。
太宰治の聖地に訪れる事ができ、たっぴの母さんにも会えて、なかなか個人的には充実度の高い旅だったなと思います。
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