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宇部新川に行ってきました。
「宇部新川」という単語を聞いて、ここがどんな場所かすぐに思い浮かぶ人は、エヴァンゲリオンのファンか、宇部興産の社員、のいずれかだと思います。
エヴァンゲリオンの総監督の庵野秀明氏は生まれ育った場所が宇部市で、そのこともあって彼の作品の中には宇部の風景がオマージュとして取り込まれる事が多いようです。劇場版「シン・エヴァンゲリオン」でも、エンディングの印象的なシーンで宇部新川駅の風景が使われたことも記憶に新しく、そのこともありファンの間では聖地となっているようです。
と、知ったようなことを書いていますが、私は「エヴァ」は人生において一度も見たことがなく、すべてにおいて雰囲気で語っていることをご容赦ください。
そして私は宇部興産の社員でもありません(株は少しだけ持ってます)。
宇部新川駅は宇部線というローカル線の駅で、本数も少なく、電車で行こうとするとかなり便が悪く大変だ、というのは有名です。
ただし、これは盲点なのかもしれませんが、近くに「山口宇部空港」という空港があり、ここからはバスでおおよそ20分。皆が想像するよりもかなり交通が便利な場所にあります。
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そして、飛行機の便数も多いです。ほぼ羽田便のみ就航ですが、1日に10往復の便が設定されており、世間的知名度から考えると意外に思えるくらい多いです。
(小松空港で羽田便10往復。同じ山口県の岩国空港が5往復。隣県の萩石見空港は2往復。)
日本を代表するケミカルマテリアル企業である宇部興産の大規模工場群が宇部にあることが、便数の多さの大きな要因かもしれません。私もフライト時に、多くのスーツ姿の方々を見かけました。
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駅の中に入るのは後回しにし、まず周辺の散策をします。
宇部新川駅から南側に進むと、眼前に宇部興産の工場群がそびえ立つ姿を眺めることができます。もちろん工場にはおいそれと立ち入れないですが、貫く道は公道なため一般人でもかなり奥まった場所まで進むことができます。
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FF7のミッドガルか、はたまた大友克洋のスチームボーイか。国道190号との交差点を超えて進むと、見る人にスチームパンク的な世界観を想起させる大規模工場郡が軒を連ねています。
宇部興産といえばセメントが有名なのですが、入り口側にはケミカル系の工場が多いようで、アンモニアの精錬や輸送用のパイプなどの施設も目に入ります。
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個人的に目を引かれたのはこれ。色づきや光沢の質感から真鍮性にも見えてしまう、良い音を鳴らしそうな年季の入った管楽器、にも見えるパイプ群。
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極めて幾何学な世界の存在のはずなのに、意思をもった生き物のように有機的に張り巡らされる巨大な建築物。「工場萌え」が生まれることに妙に納得してしまいました。
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公道の両端に数キロに渡り工場が広がり、独特な匂いと圧倒的な存在感を感じる空間ですが、現地を歩くと開放感もあわせて感じる空間です。
通りには宇部興産の社員の方と思われる人たち以外にも、散歩やランニングを楽しむ地元住民の姿もよく見かけます。
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そんな感じで、工場の入り口から2キロくらい奥に歩いていくと「ふみきりあり」の標識。
一部の人にとても有名ですが、ここには電車の踏切ではなく、国内唯一と言われる「車のため」の踏切が存在します。
この場所には宇部興産の車両のみが通過できる専用道路が通っており、専用道路と公道が交差する箇所は踏切が設置されています。専用道路に車が通行する際は踏切が降り、道が遮断されると目の前を巨大なトレイラー群が通過していきます。
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連結車両が巨体をゆすらせてエンジンを唸らせながら通過していく姿は、間近で見るとなかなかの迫力です。
この車両は、30kmほど離れた山間の「伊佐セメント工場」で採掘された石灰石(セメントの原料)を、海側の工場まで運ぶために走っている車両です。荷台が二台連結されており、ダブルストレイラーと呼ばれています。
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Googleマップで表示される上記のルートは公道を用いたものですが、実際には大量のセメントを効率的に運ぶために宇部興産は30km超にも及ぶ専用の私道を整備し、そこにこの巨大なトレイラーを走らせています。
マップ上にも、公道の南の行き止まり側にかけて「宇部興産専用道路」という表記があります。海沿いの大きな橋を渡り、工場の敷地内を通り、遠く美祢の山までつらぬくその道のりを地図上でもたどることができます。
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宇部興産専用道路については、先に引用したように宇部興産自身が専用の解説ページを設けていますし、とても格好良くてしびれるYouTubeの公式動画が公開されているので、そちらを見るのをお勧めします。
工場の従業員の方々が生業として働かれている場所でもあるので、邪魔にならないように気をつけないといけないな、とは思いつつ、宇部興産の工場群は観光スポットとして見てもとても人を惹き付ける場所なので、遠巻きに眺める程度に楽しませていただきました。
工場の見た目が非日常的である、異形である、というだけでなく、宇部興産のケミカルマテリアル関連の素材は世界でも注目度が高く、業績も上々、景気の良い話もたくさん聞こえてきます。そういう意味で、宇部興産はビジネスと言う意味でも注目の企業だと思います。
さて、工場を堪能して、ふたたび宇部新川駅に戻ります。宇部新川駅は冒頭にも書いたように「エヴァ」の映画の中でも舞台として用いられ、印象的なシーンでその風景が使われていたようです。
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さて、原作を一度も見たことがない私が何の事情も知らずに適当に撮った写真の中に、映画のシーンで用いられた構図はあったりするのでしょうか?
宇部新川駅は、駅としてはいかにもローカル線の駅、という感じでした。自動改札もなく、電車の本数も1時間に1本くらいの頻度で、駅の周りには高校生などの集団以外はあまり人を見かけませんでした。駅前にはコンビニがあるのでそこまで物の調達には困らなそうです。
私が訪れた時にはエヴァンゲリオンのグッズ販売やポスターの掲示等は皆無でしたが、ファンの間では訪れる人も多いとのことなので、今後はその風景も少し変わっていくのかもしれません。
と思って記事を書いていたら、ちょうど12月24日からエヴァ関連のスタンプラリーを実施するんですね。ファンには朗報ですね。