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函館日帰り旅行に行ってきました
函館はとても風光明媚な観光地ですが、個人的になにより気に入っているのは「空港から市街地がとても近い」ことです。
リムジンバスに乗ると、函館空港から函館駅までわずか20分。途中の湯の川温泉までであれば10分ちょっと、というこれ以上ない交通の至便さがあります。
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函館は小さな街区に多くの観光名所や商業施設が凝縮しており、ショートトリップにとても向いている街だと思います。
ということで、世の中がコロナワクチンの普及により平穏を取り戻しつつある今(2021年11月)、ようやくという感じですが、時間を見つけて飛行機で函館まで行ってきました。
といってもそこまで時間も取れないので日帰りです。私は函館は何度も訪れていることもあり、今回は未訪だった湯の川温泉の周辺を中心に巡ってきました。
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湯の川温泉は函館の奥座敷、函館の中心街と空港の中間にある温泉街です。市電の電停もあり交通の便がとても良いのが特徴です。
温泉街として見た場合、最近は源泉が自噴せず機械で強引に組み上げるしかないなど枯渇気味のようで、今ではそこまで泉質や温泉街の風情が楽しめる場所ではありません。
ただし、周辺には温泉街としての特色を活かした施設や、様々な娯楽施設が集中しているため、この辺をめぐることで観光気分を味わうことはできる場所だとは思います。
函館市熱帯植物園
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最初に訪れたのは函館市熱帯植物園。市が運営している植物園で、温泉から湧くお湯を使って栽培されている熱帯植物が楽しめる場所です。
ただしここの一番の目玉は、猿。この熱帯植物園にはサル山があり、冬の季節は湯の川温泉の原泉から引いた温泉が用意され、湯に浸かる猿の集団の姿が楽しめるとのことです。
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ただし猿の入浴シーンが楽しめるのは12月以降とのことで、今回はちょっとその姿は目にすることは出来ませんでした。
お湯の温度が40度以上になると猿としては適温なようで、温泉の温度を調節することで猿の入浴の時期を調節しているとの案内が場内に流れていました。猿も温泉が好きなようで、温泉に入ると冬毛が抜けて冬らしからぬツヤツヤの肌になるとのこと。
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温泉の時期でなくても、サル山の猿の姿を眺めているだけでも楽しいです。入園者は一袋100円で猿の餌を購入することができ、猿に餌を与えることができます。そのことを学んだ賢い猿たちは、餌をくれそうな人が近寄ると手を叩いたり床を叩いたりして強烈に「餌くれ」アッピールをしてきます。まさに猿芝居。
サル山が楽しくて無限に時間を使ってしまいますが、ここは一応熱帯植物園です。植物園にも魅力がたくさんあります。
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今回驚いたのは、50年に1度しか花を咲かせないと言われている「リュウゼツラン」が、たまたま花を咲かせていたこと。私もリュウゼツランの花は生まれて初めて見ました。
なかなか力強い感じの白い花を咲かせます。「竜舌蘭の夢は 白い夢」という、なにかの歌のフレーズを思い出させる光景。
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函館市熱帯植物園は入園料はたったの300円。その割には見所も豊富ですし、園内には足湯や水浴びスペースなどもあり、なかなかにコストパフォーマンスが高い場所だと思います。12月以降の猿の温泉入浴が楽しめるころに訪れるのがおすすめですが、それ以外の季節でも十分楽しめました。
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植物園をあとにし、漁火通をそぞろ歩いていると、さすがのイカ推し。
徒歩はほどほどにし、次の目的地までは比較的距離があるので、バスで移動します。
ちなみに今回は、「市電・函館バス1日乗車券」を購入して函館市内を移動しました。名前の通り市内の市電やバスが一日乗り放題のきっぷです。リムジンバスには使えませんが、空港との連絡バスも含めてほとんどの市電バスで使えるので、今回の旅はこちらのきっぷですべての移動がカバーできました。
事前にWebアプリ経由でクレジット決済も可能で、スマフォの画面見せるだけで乗り降りもできるので、かなり便利でお得でした。
啄木小公園〜土方・啄木浪漫館
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啄木小公園と名前がついた公園。海を望む公園に、石川啄木の銅像が飾ってあります。
石川啄木は函館生まれではないですが、函館に家族とともに居を構えて、小学校の代用教員や新聞記者などの職に従事していたとのことです。ただし函館の大火をきっかけに家族を残して函館を後にすることになり、滞在していたのはわずか132日、とのこと。
それでも函館で過ごした日々は啄木にとっては幸せな日々だったようで、「一握の砂」などにも函館での日々を綴った詩を何篇か残しています。啄木像の歌碑にも以下の詩が記されていました。
潮かほる北の浜辺の 砂山のかの浜薔薇よ 今年も咲けるや
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啄木小公園に隣接して、「土方・啄木浪漫館」という観光施設がありました。こちらでは石川啄木とともに、戊辰戦争の戦いの中函館の地で散った新選組の土方歳三についての数多くの展示がされている場所です。
比率的には8:2くらいで土方推し。写真撮影不可なのでここでは紹介できませんが、新選組で実際に使われていた刀や拳銃、衣装、等、数多くの貴重な資料が展示されています。
個人的には数々のクズエピソードも含めて石川啄木のことが結構好きなので諸々の展示を期待したのですが、極めてキレイな側面の啄木像しか描かれてませんでした。まあ致し方ないか。
資料として自筆の文章などが残されており、それは興味深かったです。とても細かく繊細な文字を書く人だなと思いました。
お土産を買おうと思ったのですがほぼすべてが土方歳三関連で、啄木関連は皆無でした。啄木かるたとか置いてあったら勢いで買ったんですけどね。
いずれにせよ土方・啄木浪漫館は、土方歳三や新選組が好きな人には、確実におすすめできる場所でした。
函館競輪場〜函館競馬場
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より娯楽性が高い施設に訪れてみます。函館の湯の川周辺はギャンブル施設の集積地で、競輪場と競馬場がほぼ隣り合わせで存在します。
この日は競輪場も競馬場もレースが開催されてはおらずいずれも場外販売のみですが、7月ころの夏の函館競馬開催時期になると、昼は競馬、夜はナイター競輪のハシゴが行える、という、好きな人にはたまらない環境です。
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函館競輪場場内。冬季は寒いせいかレースはこちらではあまり行われないようです。
施設の有効活用で、冬季は函館競輪場はトラックの内側を氷張りにしてアイススケート場に変身するとのこと。今はその変身途中で、競輪選手が練習を続けている姿なども眺められました。
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競輪場周辺には競馬場だけでなく自衛隊駐屯地や少年院も隣接していて、この辺はやんちゃな人が「悪いこと」をするとどういう目に会うか結果が想像しやすい、極めて教育的要素の強い場所です。
やんちゃな人も集まるイメージがある競輪場・競馬場周辺に立地しているのは、地理的な偶然なのか必然なのか。
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「マル獄シリーズ」という掲示あり。?。
興味はそそられますが、あまり興味本位に近づくところでもないかなと素通りしました。
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続いて競馬場に訪れます。私が訪れた時はようやくウインズのレース映像提供が解禁されており、大きいモニターでレースが楽しむことができました。
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パークウインズ開催時の函館競馬場では有料のエクセルエリアみたいなものは存在しませんが、パドック脇のスペースがとても豪華な作りで、机付きの座り心地のよい席が十分な席数用意されており、ここでくつろぎながらレースを観戦できます。
都内だったら1000円くらい軽くお金取られてもおかしくない環境で、函館の人は恵まれているなと思います。
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この時期は寒いですがスタンドも開放されてました。「海が見える競馬場」で有名な函館競馬場ですが、もう少し上のスペースからだともっとはっきり海を眺めることができそうです。パークウインズ時も上層の指定席を開放してくれると嬉しいなとは思いますが、パドック脇の施設の作りが十分に素晴らしいので需要もないのかな。
なお、今回は競輪競馬とも全敗で、とくに報告できる成果はありません。グランアレグリアの引退レースの花道を大きなモニターで見ることができて良かったです。
五稜郭公園
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帰りのフライトまで時間も少し余裕があったので、典型的な観光地である五稜郭にも訪れました。戊辰戦争終結の地。数々の大河ドラマの舞台にもなっている場所です。
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五稜郭タワーの上に登ると、五稜郭の全景を上から眺めることができます。どこかの写真で見たものほど色づきは鮮やかではないですが、十分すぎるくらいキレイで自然な紅葉が眺められました。
函館山や函館市街、空港や競馬場まで函館の風景も一望することができます。
函館の中心街はこの周辺で、飲食店やデパートが立ち並ぶ繁華街でもあり、なんだかんだいって函館訪れる際にはこの辺には顔を出したほうが良さそうですね。
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函館グルメ
記事の最後に、今回の道中で口にしたものについてまとめます。
函館のグルメといえば函館朝市や、レンガ造りの建物に入居したシャレオツなお店の数々など、観光客向けの施設が思い浮かびます。もちろん観光気分を楽しむためにはとても良いのですが、真の意味での「函館グルメ」を味わうなら、やはり地元民に愛されているローカルフードを味わうべきでしょう。
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まずはハセガワストア。函館にだけ存在するローカルコンビニ。「ハセスト」の名で親しまれています。
コンビニなのですが、ここのイチオシは焼き鳥弁当。コンビニ内には専門の調理場があり、ここでアラカルトで様々な焼き鳥を組み合わせたお弁当を注文することができます。焼き鳥だけを頼むことも可能。
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私はお弁当(小)に、ハツとタンを組み合わせました。弁当に入っているネギマだけだとちょっと油っこすぎて味も単一なので、味が淡白で噛みごたえもあるハツとタンを組み合わせたのは個人的には最強のコンビネーションだと自画自賛しています。
なお、「焼き鳥弁当」と呼ばれていますが、肉は豚肉です。「焼きとん」ですらない。深刻な経歴詐称問題。焼き立てが食べられるので味は抜群に美味しいです。
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そしてラッキーピエロ。もはや知名度は全国区ですが、リアルに味わいたい人は函館に訪れるしか術が無いローカルグルメの王様。昨今のヘルシーブームの潮流に真っ向勝負している「高カロリー多糖質」の背徳的な味わいが売りです。
ハンバーガーは個人的にあら方食べ尽くしたので、今回はカレーをいただきました。見た目ジャンキーにしか見えないですが、初め甘くて食べるにつれて心地よい辛さが染み渡るカレーのルーが味わい深くて、単なるキワモノで片付けてはいけない奥深さを感じます。
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そして最後はセイコーマート。「セコマ」で知られる北海道ローカルのコンビニエンスストア。お弁当が安くて美味しい庶民の味方です。「ホットシェフ」と呼ばれる作りたての軽食が食べられることも特徴。
今回は北海道の姿が印字されているどら焼きをいただきました。
こうして振り返ると、イカをはじめとした函館の絶品の魚介類を食べるのを忘れたのに気づきました。お魚が美味しい時期だというのに痛恨の極み。
今後も頻繁に訪れるでしょうと自らを慰め、ここでは過去に撮ったイカの動画をアップしてお茶を濁します。
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