HiGH & LOW THE 戦国(ザ戦)感想
※ネタバレしかない、ハイローというだけで5000点加点するオタクの初見一発書き感想(≠考察)
前作ザワクロから1年くらい経ち、俺たちのハイローがついに舞台化! そして舞台は戦国! ……せ、戦国? と開始早々こちらを情報量で殴ってくれたHiGH & LOW THE戦国、通称ザ戦なのですが、観てきました! ザワシリーズももう2作となり、ザムが散策であったことや楓士雄の卒業の事も考えると次作で一区切りかな、ザムは演者の方々のポツポツとした発言や現状を考えると第一世代の話はもう終わったのだろうし、今後のハイローシリーズはどこに行くのだろう。やはりマイティにスポットを当ててバルジの謎に迫るのか、個人的には三校連合のスピンオフが見たいなあと思っていたところに颯爽と現れた「戦国」の二文字。あまりにもいかつすぎる。そして須和国に尊武国に乃伎国が舞台と言われて「え、なにそれ知らん…」とスペースキャットになったうえでまさかのタカラジェンヌの参加とあいかわらずのハイテンションな情報の祭りでしたが果たしてこの祭りは達磨を通っているのか? そもそもハイローで戦国とは? という困惑があったことも確かですが(いつも新作のたびに困惑してるけど)やっぱり俺たちのハイローでした! またツラツラととりとめもない感想を書こうと思います、初見だし色々勘違いも多いと思うしそんな長い文章は書けないと思いますが……ザ戦の語り方は間違っていてもザ戦を語りたい気持ちは間違っちゃいねえ(定型文)
まず、これは本当に舞台ならではの迫力がすごかった! これに尽きる。ハイローならではの集団アクションにダンスにラップを含む演者の歌唱シーンが「エンタメ」の圧をゴリゴリにかけてきます、ライブと称しながらも車も人も飛びまわるし殺陣もする伝説の「ザラ(HiGH &LOW the LIVE)」のフィーリンを彷彿とさせるものがありました。ハイローの良くも悪くもてんこ盛り大振りフルスイングなところが演劇と相性がいいんですね。演劇って演出によってどこまでも自由に飛んでいけるものだし、非日常すぎる展開も受け止める度量があると信仰しているので。あまりボーカル陣が参加するイメージがなかったハイローですが(雨宮兄弟とかいるけど)、今回LDH陣のボーカルの参加が多かったのってこのためだったのかと。特に尊武国のテーマソング「inferno」の歌唱があまりにもつよい。戦国で英語? とかそんなことを感じさせないパワーがあまりにもP.O.W.E.R。各チームに決闘曲がありテーマソングが流れると優勢というのはハイローの伝統芸能ですが、今回それを生で歌われることによっての心への突き刺さり具合があまりにも明瞭すぎでした。あとダンス隊?というかもうすべての方々がキレッキレすぎて、すごかった。須和国と尊武国の合戦シーンがこれでしか見られない、それいてハイロー成分特濃のサイコーの戦闘シーンでした。アクションではなくダンスバトルで戦闘を表現しているのに、なんというかRUDE BOYS対達磨一家みたいな雰囲気があってダンスもお互いの煽りもゴッチゴチで最高すぎて最高だった。確実に2024年ベストアクション賞です。ガチのパフォーマーズダンスバトルすぎてあそこだけでも見て欲しい……。
今回、各国の社に祀られた龍、刀に封じられた欲が呪いとなりそれぞれを苛んでいくのですが、その呪いの表現をすべて人間の身体で行っていたのが舞台ならではだなあと。これ、この話を映画でやってCGとかで表現するってことも出来なくなかったとは思いますけど、公演通して行われたのこの演出すごい好きでした。あと龍の声が立木さんでゴールデンバルーンドラゴンが中国の獅子舞みたいに出てきたのはあまりにもハイローらしい愛すべきトンチキを感じました。 ちなみにこの「戦国」というのもマルチバース、別の世界の戦国の話で我々の知っている織田信長などのいる歴史とはまた違う世界線のようです。だから知らない国がたくさん出てくるんだ! と思わず膝を打ちました。
そしてなにより戦国でもハイローはハイローで、「なんのために拳を振るうのか」「なんのために戦うのか」「生きるためには戦わなくてはいけないのか」それを問う物語でもあり。黄斬は昔のトラウマから人を斬りたくない、このまま平穏に暮らしたいと思っていて、それでも幼馴染の吏希丸はそれではこの乱世を生き抜けず世界に向かえないと歯がゆく思っている。舞台が乱世に移ったことでただただ平和を願うだけでは他国に食い潰され、自分たちとして生きるには戦うしかないという切実さが増していました。ただ「戦はいやです」という優しい主張では生き残れない。コブラちゃんが「もう拳じゃ解決できねえ」と嘆いたように、「戦う」とはただ力ですべてを解決することではなく、例えば九龍グループへの勇気ある告発や曲がったキュウリ演説がそれであり。一方でロッキーが「これは守るための戦いだ」と宣言したように誰かを、なにかを守るためには時として拳を振るわなければいけない。それはただの暴力ではなく、それぞれの誇りを守る戦いであると、生きるためにはそうしなければいかないと。このまま仲間と生きる平穏は永遠ではないのだと。吏希丸は黄斬に「世界」を見て欲しかったのかなと、乱世に賭ける夢、それは黄斬に賭ける夢であったのかなと。だからこそ友のため。そしてこの世界で戦いをえらんだとして己の為だけに拳を振るう者は真の強さを得られないと。それを体現したのが玄武殿で蘭丸とか天下井さんみたいな部分がありましたね。白銀くんが健気すぎたしラップもアクロバットもすごすぎた。須嵜さんっぽかった。はっきりと今の玄武は弱いと伝えて、その後の吹っ切れた玄武の笑顔が素敵だった。ここの玄武の過去をいやに詳細に語る白銀くんが尊武のマーシーと呼ばれて笑いました。それはさておき「戦わなければ己として生きられない」「拳で戦うだけがすべてではない」「強さとは奪うことではなく守ること」「永遠に続くものはなく変わらなければいけない」そういうハイローの地下にずっと流れ続けているような川はちゃんと流れていて、だからこそ舞台が遠い世界の戦国時代に飛んでも確かにハイローだったのだと思います。
そして、その宝塚とコラボしたからなのか、乃伎国の主従……美しかった……。父より受け継いだ国の主としての立場を守るために「冷酷な国主」という鬼面を被り続ける湧水さまとそれを支える弦流。戦災孤児であった弦流は先代に拾われ名前をもらった幼いころより湧水の傍にいた親友であり、そして国主としての多忙さと重責に苦しむ湧水に恋をしていて……ここだけ特濃の耽美が流れていて、湿度計が999でカンストするかと思ったしなんなら肌も喉も保湿された。弦流は男であるが故に男を愛することすら許されない世界が苦しくって、でもそれ以上に湧水さまが仮面を被って毎日溜息を吐く世界が嫌だったんだろうなって思います。王でなくたってあなたが好きで、あなたが苦しむ世界であったら、あなたが私も守るというのなら、だったら世界を真っ白にしてもかまわない……愛じゃん……湧水さまのバラードと共に舞う弦流のシーン、溜息すら許されないほどの美しさがありました。多分この二人は「世界を革命する力を!」って言って胸の剣を抜きます、私は詳しいんだ。
一途に主を愛していてそれでも「男同士が見つめ合うことは許されない乱世」「最後はあなたの手で」と真っ直ぐ見つめてくる美しい男……まさかハイローでこっちの方面の関係性を浴びるとは思わなくって手汗びっちょびちょになりました。湧水さまも湧水さまで弦流に友としてのアドバイスを求め「お前に依存しているな」と苦笑するような、この二人……この二人……腕の中で見つめあい「愛しています」「わかっていた」という今生の別れを見てハイローで流したことのない種類の涙を流しました。「性を超越して見つめ合える世界」を語り合うのが男役(女性)と男性の主従なのもなんかよかったです。あとこの主従「俺」「私」「あなた」「君」を使い分ける親友兼主従なのでオタクは全部無敵貫通されます。
なんというかこの乃伎国がすごい宝塚な雰囲気を持っていて、尊武国がLDH感が溢れていて須和国がその中間というかハイローの男同士の関係性っぽい感じ(うえきやさんと小野塚さんがいるのもある)なのがすごいバランス取れていて、LDHと宝塚という異種格闘技のようで本当に綺麗に調和していてとてもよかったです。ただ乃伎国主従が美しく見つめ合える世界を語りながら今生の別れを交わした後に和解した尊武主従がキラキラとお互いの生を喜ぶの「太陽と月」って感じでオタクめちゃくちゃだよ。
ただハイローでありながら戦国時代という戦乱の真っただ中であったのでネームドキャラも死んでしまって、「ノボルなら生きてたのに!!」ってめちゃくちゃ思っていました。九十九さんでも生きてたしなんなら「俺龍だめだわ」って言ってる。最近のハイローがザワという高校生同士の喧嘩で、本人たちにとってはプライドをかけた命がけの勝負であっても、それによって世紀末ICUに入ろうとも、それでも「喧嘩」なんですよね。でも今回の戦国のキャラたちは本当に命がけの戦いの世界に生きていて、だからこそなんのために戦うのか……守る戦いこそ戦いなのだと知っていく重みがあるのかもしれません。なのでぜひ乃伎国主従のスピンオフをください。なんなら今度は宝塚さんの劇場に弦流さんを呼んでください、なんでもしますから。
そして今回初めてタカラジェンヌの生のお芝居を浴びたのですが、ほんっとに強く気高く美しい……立ち居振る舞い、台詞の話し方、ダンスの所作、歌のうまさ、あまりにもパーフェクトでキラキラで世界中が箔押し加工になったのかと思った……吏希丸と湧水さまで殺陣のスタイルが違って、今回男性として男性の中に混ざっていたというのにすばらしく溶け込んでいるどころか自然に圧倒的な存在感があってこれはもうすごいなと(語彙)カテコだと一転してニコニコ嬉しそうに笑っていらしたのがキュートでした。みんな仲良しな感じも大好きだった。ヅカローもすごい良かったのでハイローと宝塚今後もどんどんコラボしてほしいです。もちろんお二人以外のチーム全員すごくゴリゴリに動くので画面がハイローすぎてたぶん乱闘シーン100人くらいいた。そこもすごいハイローだった。なんなら初手で立木さんのナレーションが流れた瞬間に特大フォントの「ありがとうございます!」が高速で駆け巡ったし、スクリーンの中に現れた琥珀さんに思わず感謝を捧げました……ああ、私は今「ハイロー」を見ているのだと。
どう考えても続きがあるような終わり方をしたので(というかそもそも最初に五つの国の説明をしたのに今回は三国しかでていない)絶対続きがあるんだろうなと思っているけど弦流と吏希丸どうにかして出せませんか、HIROさん、なんかマルチバースみたいな感じでという自分と永遠はねえMUGENだ!の自分が殴り合ってる。
あと緑の照明の時のEDM般若心経ロックが良すぎたのでベストアルバム出して欲しいですしひとつ言うならライブシーンで拳振り上げたいくらい爆上げだったのでできれば明日円盤出ないかなあ!と思って噛み締めることにします。ところでバルジってだれ?
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