通信小説 ビートルズとともに始まる 第2話予告編「Grow Old With Me」by Terry Holiday
1981年、生還を宣言したジョンに対して、世界中がまだ懐疑的だった。マスコミと寧ろファンのほうが、ジョンは確かに死んだはずだと、ジョンと称する別人だと騒動になっている。ビートルズのメンバーだったポール・マッカートニーは復帰したジョンとの共演を希望して、同じくメンバーだったリンゴ・スターもジョンの復帰を歓迎したが、否定したのは、同じくビートルズメンバーのジョージ・ハリスンだった。ジョージは緊急会見を行った。
「世界中の人たちを欺く、愚かな連中がいることが許せません。ジョンが亡くなって間もないのに不謹慎極まりない。ジョンを天国に行かせない行為をしている。偽物のジョンに、ヨーコもポールもリンゴも共謀している。これは犯罪です。犯罪者とは縁を切ります」
ジョージの怒りに満ちた会見の反響は大きく、マスコミも現在のジョンを否定的に報じた。テレビでは過去の写真などと比べ、医師や声紋分析、犯罪解決のエキスパートの研究家を集め特別番組などを編成して分析を行うなど、世界中のメディアの話題をさらった。紙面の見出しからも本人ではないと仄めかしている。
――自称ジョン・レノンは本物のスターか?或いは新種のペテン師か?
――ヨーコはジョンの遺灰を隠している?
更にタブロイド紙は、ジョンの名声とヨーコの権力を使って、関係者や政治家がイラン、イラク戦争に利用していると報道した。これによりテレビ、ラジオもジョンとビートルズの楽曲の放送を自粛する事態になってしまった。
「皆を驚かせてしまったようだ。僕自身も生きていることに驚いているんだけどね」
ジョンは会見せずに沈黙した。弁解するよりも、新作アルバムのミルク・アンド・ハニーの制作を優先していた。70年代からジョンが、80年代の主流になると解説していたレゲエ・ミュージックの、ジョン・レノン・バージョンの完成形である。
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