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職場での仕事の設計

個人に仕事を細かく割り当てた職場

職場において個々の従業員に割り当てた仕事のことを職務(job)と言います。そして、その職務をデザインすることは職務設計(job design)と呼ばれています。

基本的には、この職務が各従業員に割り当てられ、分業によって仕事が進められます。このように仕事の範囲を限定することでどのよなメリットがあるのでしょうか。アダム・スミス(Adam Smith)は従業員の技能が向上する学習(習熟)効果や、仕事の中断や変更に関する時間や労力の節約などの利点があると述べています。仕事の範囲を絞り込むことで、その仕事に専念することが可能になり、スキルの向上が期待できるでしょう。また、移動時間も最小限に止めることが可能になります。

しかし、一人の従業員が細かく分けられた一つの職務を繰り返し遂行しているとモチベーションが下がってくるかもしれません。職務設計において何らかの工夫を行う必要が出てきます。

個人に充実した仕事を配分した職場

そこで従業員を再設計する2つの方法を紹介しましょう。

一つ目は、職務拡大(job enlargement)と呼ばれている方法です。このように仕事内容を多様にすることで動機づけ効果が期待できるかもしれません。拡大された仕事から学べることも従業員のモチベーションの向上に影響することでしょう。

もう一つは、職務充実(job enrichment)と言われている方法です。この方法は、分業を垂直的に緩和して職務を加える方法です。この方法により、仕事の難易度が上がります。難易度が高い業務を含めることで、一定の動機づけ効果が期待できるでしょう。自分自身に仕事に対して積極的になることが予想されます。

職務再設計の二つの方法は、職場の「個人」を対象としたやり方でした。実は、職場を構成する「集団」を対象とした仕事の設計方法が存在します。

集団にまとまった仕事を任せた職場

集団に対してまとまった仕事を割り当てる職場のデザインはチーム作業(teamwork)と呼ばれています。チーム作業で仕事を行った場合は、個人に仕事が割り振るわけではなく、チームに仕事を割り振ることになるので、チーム内でどんな仕事をするかは、チームの判断で決まります。

職場において、チーム作業という設計方法を用いると、現場のモチベーションだけでなくフレキシビリティも高めることが可能になるかもしれません。また、チームに対して意思決定の権限が与えられていれば、メンバー全員で課題解決を行うことができるかもしれません。

組織全体の組織設計と同様に、職場における職務設計にも様々なタイムがあります。それぞれのデザインの特徴を理解しつつ、現場をしっかり観察することで、組織にとっても個人にとっても望ましい仕事の仕方を創造されることでしょう。そして、このような組織設計や職務設計のタイプによって、その組織において実施すべき人的資源管理が異なってくると考えられます。

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