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メキシコシティの旅(5) メキシコ中央銀行・博物館

(写真: Museo Banco de Mexico、2023年2月、筆者撮影)

べジャス・アルテス宮殿から横断歩道を渡って5月5日通りに入ったすぐ左手にメキシコ銀行博物館(Museo Banco de Mexico)がある。聞くとこの博物館は現役の中央銀行の本店らしく、セキュリティーチェックが厳格なため、大通り沿い(更に裏の郵便局の方だったかもしれない)にあったチケット売り場から入った。

銀行内に入るとガイド役の行員たちが行内を案内している。地上2階立てで1階には通貨の歴史を説明したコーナー、子ども用のゲームコーナーがあり、地下には金庫がある。行内1階入って左側のマクロ経済やインフレの歴史などを説明したコーナーがあり、特に興味深かった。

メキシコでの紙幣の発行は1925年に始まったが、当初はアメリカのABNC(American Bank Note Company)によって発行され、それは1978年まで続いた。メキシコシティの印刷局での発行も1969年に始まったが、完全に国内だけで発行することができるようになるまでには更に数年を要した。アメリカの紙幣発行会社によって印刷・発行されていたため、当初はアメリカのドル札とほぼ同じデザインでペソ札が印刷されており、メキシコ国内で印刷されるようになってから、ようやく自国の代表的な人物などをあしらったペソ札が流通する様になったようだ。

ABNCとメキシコ財務省の間で取り交わされた貨幣取引の契約書覚書が展示されていた。印刷デザイン・仕様、輸送条件(厳封コンテナでの輸送)、支払い条件(米国金)、費用負担などが記載されており、積み出し地はニューヨークとなっている。

日本でもその昔は中国から宋銭を輸入して流通させていたことがあったそうだが、他国に自国の通貨発行政策を「開示」して、発行(印刷)代金と輸送費用etcを支払うということは国家の主権・独立維持という観点からは致命的である。

メキシコは1821年に立憲君主国として独立したが、実際には産業や技術面での遅れが近代化の障害になった。それが列強からの干渉の原因となり続けたようだ。

英語の上手な行員さんが説明してくれたので、けっこう楽しめた。

合意覚書(Memorandum of Agreement)

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