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〔読書評〕海音寺潮五郎 『蒙古来たる(上・下)』

海音寺潮五郎 『蒙古来たる(上・下)』


これは鎌倉時代の元寇のお話です。
この作品が普通の(?)元寇の話と違うのは、異国のキャラクターや地誌がふんだんに登場するところです。
元に滅ぼされたホラズム王国(現イラン)の王妃とその家臣団が日本に潜伏しているとか、
ロマ(ジプシー)の旅芸人たちが京都や東海道でも活躍していたという設定です。
また元の内情を探るために御家人たちが中国の寧波港に渡るシーンでは、
元朝支配下の中国の風土がよく描かれています。
また日本人のキャラクターも面白く描かれています。
私が好きだったのは伊予出身の河野通有(みちあり)でしょうか。
鎌倉幕府の執権・北条時宗に元との和平論を直訴にいきつつ、結局は時宗に魅かれ御家人としての立場もあり、博多湾での元との戦いに奮闘します。
読んだら鎌倉武士たちのことが少し好きになるかもしれませんね...
歴史小説の大半を読んでしまったという方には、風趣変えとしてよい本だと思います。

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