”伝わる”デザインの基礎とコツ
第5回!編集ライター講座「編集デザイン」
こんにちは。本日も駆け出し編集者のじょーがお送りします。
実際にインタビューを行った第4回を挟み、先日第5回の講座が行われました。
今回のテーマは「編集デザイン」。
これまでお伝えしてまいりました「企画書の作り方」「編集会議」「文章の作り方」「取材」を経て出力された原稿や絵素材を統合し、実際の誌面に落とし込んでいく段階です。
今回のnoteでも講座内容から一部抜粋し、「デザイン作業」についてお届けいたします。
①大ラフを切る
「大ラフ」とは”大まかなラフ”のことで、ざっくりとそのページに何を盛り込みたいか決めていきます。この段階では、どこに何を配置するかなど細かく決めておく必要はありません。
頭で考えていることが抜け落ちてしまわないように、企画を視覚化し要素を把握するために行います。
……余談ですが、一番最初に「ラフを”切る”」という言葉を聞いた時、物理的に紙を切ったりする作業が入るのかと勘違いしたことを思い出しました。切る=描くことと同義です。
この文章を書きながら調べてみたのですが、昔の印刷方法である「謄写版」では実際に切る作業があったから、不要な部分を落とすという要素を含むから、など由来は諸説あるようです。
②デザイナーさんと打ち合わせ
①の「大ラフ」をもってデザイナーさんとイメージの共有をしておきます。この際に編集者は
●アイキャッチはあるか(ページをめくって手が止まるか)
●メリハリがついているか
●動きはあるか(楽しく見えるか)
●枠外のあしらいや地紋
を確認します。
目立たせたい重要な部分はどこなのかをあらかじめ認識・共有しておき、
色のトーン(地味・派手)で表現したり、囲みやショルダーで読者の目が動くようにする、などの工夫を検討していきます。
③打ち合わせをもとに取材&素材整理
本誌編集長の川戸いわく「①や②の工程をしっかり踏んでおくと、『取材で何を聞いてくれば良いのか』を把握できるため、取材の精度が上がる」とのこと。取材では誌面に掲載したい最低限の素材集めが求められ、さらに+αでどこまでいけるかがポイントになります。
取材の中で印象的なキーワードや魅力的なエピソードをうかがえた場合は、その要素をもとのラフにも反映し、内容の軌道修正も行っていきます。
④素材をもとにラフを清書する
取材原稿や写真などの素材を踏まえ、デザイン上の注意点や「意図」を書き込んだラフを作成していきます。こちらがデザイナーさんに実際に発注する際のラフになります。
この時、視線の流れや動きを勘案した上でデザインに反映してもらうため、デザイナーさんに「意図」まで伝えておくことがポイントになります。
⑤素材を整理しデザイナーさんに共有
原稿や写真の素材をデザイナーさんにお渡しします。
地味な作業ですが、使用しているOSによって文字化けやファイルが開けなくなるなどのトラブルが起きる可能性があるため、
ファイル名は英数字に統一しておく、容量が大きくなり過ぎないように圧縮するなど、相互の作業負荷を減らしスムーズなやり取りを実現するための工夫が必要です。
⑥上がってきたデザインをチェックする
デザイナーさんが上げてきてくれたデザインを確認していきます。
要素の抜け漏れはないかという確認はもちろんですが、川戸いわく、「自分の第一印象を裏切らない」ことが大切とのこと。
デザインを一番最初に確認するのは発注した編集者になりますが、その時の印象に違和感があるのならば、自分が当初想定していた誌面のイメージ、ストーリーと違っている部分があるということになります。読者にもわかりにくい内容となってしまっている可能性もあるので、その違和感が何なのか追及し、思い描いていた誌面の実現を目指していきます。
また、自分の担当しているページについては取材等の制作経緯もわかっていますし、何度も目を通しているので、没入してしまい、初見の方に伝わらない表現になっているかもしれません。
客観的な目線を持ち続けることを意識し、迷ったら意図が伝わるかどうか他人にチェックしてもらうことも重要です。
⑦デザイナーさんとのやり取り
⑥の工程を踏み、追加でお願いしたい、見せ方を変更したい部分はデザイナーさんとやりとりをして修正していきます。
デザイナーさんは当然編集者ではないので、これまでの工程を全て把握しているわけではありません。内容とデザインを連動させるのは編集者の仕事なので、依頼内容は極力整理し、具体的にお伝えする必要があります。
これらの工程を経て、実際に誌面のデザインが出来上がっていきます。
今回の講座では上記の「デザイン」の他、誌面を作り上げる際に必要となる「コピーワーク」や誤りを正していく「ゲラ(=校正用の試し刷り)作業」などについても取り扱いました。
本誌編集部員の村井はデザインの工程について「コピーやレイアウトで”魅せ方”を自分で工夫できる、自分のこだわりを表現できる、一番ワクワクするところ」とのこと。
デザインのアイデアや、読みやすくする工夫の仕方をもっと学んで蓄積し、
読者の皆様により楽しいと思ってもらえる記事をお届けできるよう
頑張ります!
(ちなみに川戸は原稿や写真などの素材が揃ってくる過程が「やっとここまできた……」と感じ一番楽しいとのこと。)
次回の講座内容の一部も、こちらのnoteでお届けいたします!
また是非のぞきにいらしてください。