現美で見つけた私的注目作品は、「KOMAKUS/GHOST CUBE 」
江東区の東京都現代美術館でやっていた「日本現代美術私観」は、いち個人のコレクター精神科医・高橋龍太郎氏のコレクションから展示したもので、これが半端ないものだった。今をときめく作家の初期作品から、今現在の若手作品まで。大変な臨場感に圧倒された。
現代アートに対する定義は、なかなか難しいテーマだけど、わたくし的評価のツボは2つあって①時代を映している、と思えること ②自分のものにしたいと思えること・・・この2つだ。②には、自分の美意識に合うこと、説得力に共感できることが条件に含まれる、かつ、実際に所有することは必要条件ではなく、社会的に共有できればそれで十分と考える。
というわけで、いろんな方のレポートが既に読めて、この展覧会の代表作は?などというとなかなか選定できない。けど、が私がここで紹介しておきたいのはこれ。「GHOST CUBE」。素材として「音声、スピーカー」としている、スピーカーユニットとスピーカーボックスを複数組み合わせ、いくつかの音源を同時に鳴らし続ける、というもの。音源はラジオ放送的だったりテレビの音声?的なもの街中の雑踏を思わせるものや音楽などが同時に鳴らされている。現代音楽の世界では、50〜60年代に様々なクラシックの歴史を抜け出そうとする動きが多数あり、電子音楽や具体音を組み合わせてコラージュするミュージックコンクレートなどしびれるコンセプチュアル・アートが発表された。中でも重要なイベントはジョン・ケージの「4分33秒」だと思うが、これは、デュシャンの「噴水」と並ぶ傑作だろう。、、、と、文脈が逸れていきそうになるけれど、話をこのGHOST CUBEに戻すと、造形としてとても面白いと思えた。
近年オーディオ音響マニアの世界には球体やラッパ型(ホーン型)等々様々あるものの、やはりこれはいいなと思えるサウンドは、四角いものが優勢で、その意味でも普遍性を感じるのだが、そこにミュージックコンクレートな発想が合体されて、こうした空間でそれを体感すると、ちょっと、いいな!と。
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