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レノファなスタジアムの話(34)スタジアム規模と成績の相関関係

半年以上前の話ですが。

2023年12月5日付けのサンケイスポーツのコラム「No Ball, No Life」にちょっと興味深い記事が載っていました。

J1の話ではありますが、「2023年シーズンのJ1の上位には球技専用、陸上競技場に関係なく多くの収容人数を誇るホームスタジアムで戦うクラブが名前を連ねている」という話でした。

来場者数と成績の関係性

そうなの?と思っていろいろ調べてみたのですが、

2023年シーズンのJ1観客動員
(J.LEAGUE Data Siteのデータから加工)

で、ついでにJ2も調べてみたのですが、こんな感じ。

2023年シーズンのJ2観客動員
(J.LEAGUE Data Siteのデータから加工)

確かにいわれてみれば、J1に関しては例外的な順位(FC東京とかガンバとかアビスパとか)はあるものの、観客動員と順位には一定の相関関係がありそうな気はしています。
J2も(ベガルタとかゼルビアとかを別にすれば)同じような感じ。

都市の規模とクラブの経営規模

サンケイスポーツのコラムで言及されていたのは

人口を含めた都市の規模によって格差が生まれる。これはいろんなことに当てはまり、Jリーグも都市の規模によってクラブの経営規模に格差が生じている。富めるクラブはより大きく、そうでないクラブはそれなりに。懐に入れるものに限界があれば、ない袖を振れないのは当たり前。今後、資金力による格差はより顕著になっていく方向にある。
(中略)
ホームスタジアムの規模はその都市の規模であり(鹿島のような例外あり)、そのままクラブが持つポテンシャルのひとつだと個人的に考えている。

【サッカーコラム】J1の中位まで2万人以上収容のスタジアムで戦うクラブが占める」より

というお話。つまり、都市の規模がクラブのポテンシャルに直結しているという論。

確かに、考えてみれば、2024年シーズンのJ1の20クラブで、ホームタウンが政令指定都市にないのは鹿島・湘南・柏・鳥栖と町田だけ(磐田は去年から浜松市がホームタウン入り)。
オリジナル10の鹿島(今でも東京駅発の高速バスで鹿島入りするサポーターが多い)は別として、いわゆる「地方都市」をホームタウンとする湘南・柏・鳥栖などは、J1に定着しているとは言え、ごくたまに上位に絡む年もあるけど…ぐらいの成績ではあるのですよね。

で、都市の規模が大きいと何が影響してくるかというと、それは云うまでもなく「(クラブにお金を落としてくれる)サポーターの絶対数」に繋がるわけですね。
仮にサポーター一人あたりのクラブに支出する単価が安くても、クラブに関わってくれる人数の母数(=人口)が大きければ、クラブの経営に大きな影響をもたらしてくれるでしょうし、客単価を上げることが出来れば尚のこと。
収入が増やせれば強化にもお金を回せてクラブが強くなって…ということになってくるわけです。

(入場料や物販などの来場者からの収入の話は、レノファ山口FC小山会長のnoteで興味深い分析を行っておられますので、ご参考までに)

小さな街のクラブであっても

とは言いながらも、では都市の規模が小さいからといって、スタジアム内の「熱量」が低いかというと必ずしもそうでもない気はするんですよね。

柏などは熱狂的なサポーターがゴール裏を陣取ることでも知られますし、今年好調なJ2いわきなども、ホームゲームではかなり熱量の高い様子が写真などに上がっています。(現地に行ったことはないですが)

で、スタジアム内の「熱量」が高まるとどうなるのか。
一人あたりの「クラブへの愛情」が高まるということなんですよね。
柏もいわきも「特定の親会社への(経営的)依存度が高い」という側面は否定しないものの、だからこそ地域に根付いてサポーターとの関係性を大事にしているというのはあると思っています。
サッカークラブに限らず、企業にとって、自分たちに愛情を注いでくれる人たちの存在は大きいですし、そういう人たちを裏切れないという思いはあるでしょう。

そういった意味でも、仮に人口規模は小さくとも、そこ(クラブ)に愛情を注いでくれる人の割合を如何に増やせるかが、クラブ運営の鍵になるようにも思いますし、実際欧州あたりだと小さな街のクラブがトップカテゴリーで躍進している事例もあったりしますからね。

その意味で、仮にスタジアムを作るにしても最初から大きな「ハコ」を目指すのではなく、スタジアム内の熱量を高めてから箱を大きくしていくというのも考え方の一つなのかもなぁ、なんてことを思ったりした次第です。

最後は少々とりとめのない話になってしまいましたが、今回はここまで。

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