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レノファなスタジアムの話(9)バスや列車でみらスタへ(その3)
さて、前回・前々回と「維新みらいふスタジアム(みらスタ)に行くのも、自家用車だけじゃなくて公共交通機関も使ったほうがクラブにも都合がいいよ」「何ならみらスタは公共交通機関で便利なスタジアムだよ」という話をしましたが、今回はみらスタの交通事情、バス編です。
みらスタのバス事情
さて、みらスタまでのバスですが、新山口駅からのバスでのアクセスには大きく分けて2種類あります。
どちらも、山口県の提供するウェブサイト「ぶらやま」でバスチケットを購入できて(防長バスは回数券、シャトルバスは往復のみ)ドリンクチケットなどの特典も付与されるのですが、話がややこしくなるので、今回はいったん横に置いておきます。
防長バス
2018年に出来た新山口駅北口のバスターミナル4番のりばからのバスに乗れば、行き先を問わずほぼ全ての便が「陸上競技場前」まで行きます。
(同じ防長バスの山口市内方面行きでも、5番のりばからのバスは「陸上競技場前」を経由しません)
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平日も休日も日中20分に1本運行されているので、割と利用しやすい。
到着バス停はメインスタンドの目の前です。
運賃は440円。支払いは基本的に現金かバスカードのみで、交通系ICカードは来年(2024年)春から利用可能になる予定。
湯田温泉方面からも、同じ路線の逆方向の便を利用できます。
維新公園南側の県道宮野大歳線を経由するため、維新公園付近で駐車場から出入りする車などによる渋滞の影響を受けやすく、特に試合後の便は新山口駅行・山口市内方面行共に遅れが目立つ傾向があります。
(防長バスの運行時刻など詳しくは、レノファの記事でおなじみの上田真之介さんが運営を手がけている「キララバスナビ」でどうぞ。)
シャトルバス
防長バスとは逆の、新山口駅南口(新幹線口)の団体バス発着場から発車します。途中、パナソニック臨時駐車場の下で停車するのみで、スタジアム北まで直行します。(なので、パナソニック臨時駐車場からのバーク&ライドバスを兼ねてもいるわけです)
レノファの選手バスも運行しているオフィシャルパートナーの山口観光交通さんがわざわざシャトルバスのために路線バス型の専用車両を用意する(路線バスを運行していないのに)ほど気合いが入っています。
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30分間隔で7本程度運行され、料金は300円。現地支払いの場合は現金のみ。
防長バスと異なりバイパスを経由するので、比較的渋滞に巻き込まれにくい特徴があります。
どこのスタジアムでもそうですが、シャトルバスを運行する場合はクラブが運行経費の一部を負担していることが通例です。
なので、シャトルバスを利用しないとクラブ側に無用の負担が増えることになるため、クラブも景品をつけたりして利用喚起に躍起になっていたりするんですよね。
ガイナーレ鳥取や愛媛FCは、経費と実績が合わないのか、シャトルバスの運行を止めてしまいましたし。
両者が競合しているということ
ただ、まずいことに、今のレノファのシャトルバスは防長バスと完全な競合関係になっちゃっているんですよね。
どういう事情があってこういう運行体系になったのかはよくわかっていないのですが、両者の運賃の違いやら、新山口駅の乗り場が防長バスとシャトルバスで全然違う場所というのも、お客さんをスタジアムに案内するという面であまりよろしくないかな、と。
もっとも、防長バス(路線バス)は土日のナイトゲーム後のバスが市内方面の1本しかない(21:26発宮野車庫行き)という状況で、新山口駅行きは試合終了前の20:45が最終。
以前は陸上競技場前発の臨時便が運行されていましたが、シャトルバスの運行を開始してからは臨時便の設定を止めています。
防長バスの運転手さんがレノファのTシャツを着て応援してくれていたというのもありましたが、それもなくなっちゃいましたし。
いずれにしても、防長バスがシャトルバスの運行にあまりいい顔をしていないのは確かなようです。(シャトルバスの運行開始と防長の協力取りやめのどっちが先かが判らないので一概には言えませんが)
とはいえ、クラブが経費を掛けてシャトルバスを運行させている以上、シャトルバスの運行方法をもうちょっとだけ工夫して、既存の路線バスも上手く活用して効率的な運行になると、お互いにWin-Winの関係を築けるのに、なんか勿体ないなぁとは思う次第です。
じゃあ、どうにかして両者を上手く生かせないのか、という話になるのですが、考えられるのは「共存共栄」と「棲み分け」かな、と。
「共存共栄」ってのは、簡単に言えば、新山口駅から競技場の間は防長バスとシャトルバスで「新山口駅と競技場の乗り場を揃える」「運賃を同じにする」ことで、両者が同じ条件で運行できないだろうかって話です。
(運輸局の許可とかいろいろ面倒な話は出てくる可能性はありますが)利用者にとっては単純に「(同じ場所から乗る)バスの本数が増える」って話になって利便性も増すんじゃないかな、と。
「棲み分け」に関しては、要は防長バスとシャトルバスで競合にならないような運行形態にするということで、例えばシャトルバスをパーク&ライドに特化したような運行形態に変更する(新山口駅発着にしない)ようなことが考えられるかな、と。
ただ、恐らくは「新山口駅⇔みらスタ間」のシャトルバス利用が圧倒的に多いはずで(実際にシャトルバスの利用状況が公表されていないので断定は出来ないですが)、そこを返上するというのはクラブにとってもバス会社(山口観光交通)にとっても難しい話だとは思いますが。
いずれにしても、バスに関しては今でもかなり便利だし、もうちょっと工夫するともっと便利になるかもねぇ、とは思う次第です。
駐車場の問題よりは解決が簡単なような気がします。
次回はスタジアムの「立地」の話の予定です。