職人さん冬の時代
土木や建築というお仕事は、
1.欲しいものがある人がいる
↓
2.構想を考える人がいる
↓
3.具体的な計画を立てる人がいる
↓
4.作る人がいる
↓
5.使う人がいる
と、言う風に役割分担があるうちの、2~4を担当している一連のお仕事になります。
世間様からチヤホヤされることが多いのが2の仕事をしている人たちで、そこそこ厚遇されているのが3の人たちです。
4の人たちは工事現場で実際に土木施設や建物を作る【職人さん】と呼ばれる人たちになります。
この職人さん、バブル前までは貰うお金も多く、独立する人も多く、肩で風切って工事現場を渡り歩いていました。
しかしバブル崩壊後の効率化や合理化というの名のもと、報酬は削られ美味しい仕事はなくなり、限界まで仕事を詰め込んでようやく仕事として成り立つ流れに三十年間放り込まれました。
結果今起こっているのは後継者不足に新規就労者の激減です。現在新規就労者の数は、ピーク時の二割ほど。少子化でこの先さらに減るのも見えている状況です。
未来の無いと思われている職種に人は集まりません。現在の建設業は、リタイア組が再雇用で仕事を廻し、経験不足の若手を何とか支えているという現場が数多くあると思います。
そうなると職人さんや施工会社にお金を廻すように社会が動かないと現状の維持すら覚束ないのですが、残念な事にまだ新規に職人になろうと人を惹きつけるほどには魅力がないと思います。
それどころか不足を補うため、研修生という名の外国人労働者に頼らないといけないのが現実です。
業界の衰退と職人さんの減少、それを如実に感じるのが災害対応のときです。阪神大震災の時は数年で復興の基礎を作りました。東日本大震災は引退した職人も搔き集めて復興作業を行えました。しかし今年の能登地震では、条件の厳しさがあるにせよ、遅々として進まない復旧に苛立つ人も多いと思います。政府のやる気の問題もありますが、投下する労働力がないのも大きな問題なのです。
高度成長を支えた世代も、現場に出て指導するのも難しくなってきました。昔ではありえない凡ミスも多発し、確実に施工能力も低下していると思われます。
技術や知識の継承も、受け継ぐべき最前線の職人が外国人頼りでは、まともな継承も出来ません。
かつて技術と経験、解決能力を有し現場に君臨していた職人さんたち、そういった人々に相応の見返りを提供する社会に戻らないと、皆さんの住んでいる快適な住まいはいずれ維持できなくなります。
自分で日曜大工やりますか?
多分、無理ですよ。
datoko