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スーダン日記2018.8.20(4)
友人の奥様の運転でスーク(市場)に到着。道は犠牲祭前の買い出しで混雑していた。
東京でいえば御徒町のアメ横のような雰囲気の市場を歩く。いくつもの通路が交差し、モノが積み上がってぶつかり合いながら人々が行き交っている。
この時期は品物の値段が高くなるけれど、犠牲祭の前なので多くの人が新しい洋服などを買うのだそうだ。日本の年末セールや初売りみたいなのはないのかな。
アニマル柄の靴!男物の靴が積み上がるワゴンの前で立ち止まる。以前に「男性の正装時の靴は豹柄」という記事を読んで、どんな靴かと思っていた。
昨日、アイス屋でテーブルの下を覗いたら一緒に座っていたオッチャンがまさにヒョウ柄の靴を履いていて妹と大笑いしたのだ。このワゴンは蛇柄がたくさん。
「喉も渇いたし、コーヒーでも飲みに行こう」と車に戻り、ナイル川にかかる橋を渡って首都の中心部を走る。スーダンも首都中心部となれば道は平ら。街灯も綺麗についてオムドゥルマンの住宅街とは大違いだ。
同乗の3人のスーダン人の会話を聞きながらのドライブ。
奥さんが話を聞きながら低めの声で「アーィ、アーィ」と相槌を打つのが女性的(アーィというのはアラビア語スーダン方言で「そうだね」とか「そうね」といった感じ)。
時折、アーィが「アイワー!」になる。こちらは、「なるほど!」とか「激しく同意!」のようなニュアンス。
3人が相互に個性あるアーィを連発するのが面白くてこっそり妹と目を合わせる。高低差のあるアーィとか、声が裏返ったアーィとか。声をひそめながらお腹を抱えて笑う。
ナイル川沿いを走るうちに欧米人が立ち寄りそうなカフェが並ぶ一角に出た。この辺りは地元民のデートスポットでもあるようで、実際ご夫婦も婚約期間中にお茶しにきていたとか。
カフェの一つに入り青ナイルに浮かぶテラスで5人揃ってカフェラテを頼む。
川の流れが意外に速くて驚いた。ワニが来るぞと脅されながら南スーダンのワニ猟のYouTubeでひとしきり盛り上がる。店の隅の方ではエチオピア人らしき若い女性店員たちもおしゃべりに講じている。
店を出たのは夜中の0時だった。これから羊探しだ。
かなり眠い。重い瞼が閉じるたびに「ナスリーン!」と助手席から私の名前を呼ぶ声が飛んでくる。
ガイドブックに載るような場所が点在する首都の中心部なので、有名どころを指差して教えてくれるのだが…とにかく眠い。ウトウトしかけたところで眼を覚ますタイミングの良さに、助手席の彼を「眠眠打破」と名付ける。
橋を渡って再び羊が道の両脇に群がるエリアに戻ってきた。羊飼いたちは羊と一緒に路上で夜を明かすのか?
羊の塊に車を寄せてドライバー氏と眠眠打破氏の2人は外に出て行く。
どうやら気に入ったのがいたようでトランクに羊が積み込まれた。どさっゴトッ。バタンとトランクが閉まりばたばたばたと羊が暴れて壁に足を当てる音がする。
狭くて息苦しいだろうに…。「人間で良かった」と心底思う。
私たちは二頭必要なはずなのだが、ここでは一頭しか買わなかった。次の群れに移動する。羊がトランクの中で時折メェーと鳴く。
まだまだ家には帰れなさそうだ。