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短編8 ツヨシ

 母からの手紙

『ツヨシ、元気ですか?…』

 ありきたりな手紙 心配している旨が書かれている

「大丈夫 元気だよ」

 ツヨシは呟いた




「地球なんてどうだろうか」

「母さん 賛成よ」

 ツヨシは母との会話を思い出す

「母さんは“太陽”なんてどうだろうか」

「素敵ね あなたは不思議な子 名前なんてつけて」

 母は優しく笑う 温かい

「いくね 母さん」

 そう言うとツヨシは母から離れて母の周りをクルクルと周りだした



「寂しいな ただ周っているだけなんて」

「そうだ 僕を創ろう」

 ツヨシは目を瞑り自分の体に飛び込んだ

「水…ここからはじめよう」

「綺麗だ」
 
 青くて何もない世界に母の光が差し込む

「話し相手が欲しいな」

 ツヨシは目を瞑り大きな口を創った

「やあ 僕は海」

「やあ」

「大地 君は大地だ」

「僕は大地 ウオーン」

 大地の声が響き渡る

「大地くん 友達をつくろう」

「ウオーン」

 ツヨシは白い龍を創った
 大地の真上を大きな白い龍が流れるように渦巻く

「やあ」

「おう」

「君は 雲」

「俺は 雲! グーン!しゅご~」

 自由に空を飛ぶ雲はとても楽しそうだ


 ツヨシはみんなと楽しく過ごした
 とても温かくて優しい世界だった

 

 そして…時は流れた


 

「生と死は必然だった」

 ツヨシは悲しそうに言った

 大地は割れ 赤いマグマが流れる

「大丈夫…僕は…幸せだった…君は僕で…僕は君…」

「ありがとう…」

 響き渡っていた声も小さく消え入りそうだ

「ありがとう…」

 大地が静かに口を閉じると 緑の小さな芽がポコポコと生えはじめた

「グオーン」

 大地全体に雲の涙が溢れ落ちる
 そして雲も少しずつ消えていく

「悲しいね でも大丈夫 君の涙が大地に命を与えるのだから」

 雲が消え去り母の光が大地を照らす

「僕もいかなきゃね」

 ツヨシの涙は天を駆け上がり白い龍となって空を舞う

 風となって大地を駆け巡り 大地の芽が海に流れる




「ツヨシ 地球っていつからあるか知ってるか?」

「45億年前だっけか?」

「そうそう 想像できないよな」

「ダイチ お前と会ったのはその45億年前だったりしてな」

 ツヨシがそう言うとツヨシの後ろから声がする

「ばーか くだらねえ話ししてんなよ」

「リュウ お前は本当にロマンがないな」

「さっさと 母親に手紙返せよ」

「俺は信じてもいいかな 勿論 リュウもきっとそうだよ」

「はいはい ロマンチストだね~ 君たちは」


『お母さん、僕は元気でやっています…』

 ツヨシのありきたりな手紙が風で揺れている


 その温かい手紙は母にも届くだろう
 ツヨシは周り続けながら そう願った



~ あとがき ~

 むっず~。漫画原作を意識して、1,000文字の読切に挑戦してみたら、絵本になったよ。

 次は普通に小説書いて、漫画原作にリライトしてみよう。

 まあ、ほっこりして悪くないよね!


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