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データ戦略の会社が考える「データ分析の定義と、データ分析のプロが役に立つ例」

データ分析と一言で言っても、Excelで出来るクロス集計からAIを使った画像解析まで、様々なものを指すことが多いです。そのため、データ分析のプロと言っても、アンケートデータの分析のプロから画像に何が写っているかを推定する分析するプロまで、様々なプロが存在します。

一方で、「データ分析をお願いしたが、期待していた成果が得られなかった」ということもあります。そこで、この記事ではデータ分析の定義と、プロの成果を引き出すための例を考えたいと思います。

前提: データ分析とは何か

定義の問題なので様々な考え方がありますが、ここでは大きく2つのものがあると考えます。

①一般的なビジネスパーソンに必要とされる分析
 ・例: 自社のシェアや成約率の改善のための分析
 ・いわゆるExcelで出来る内容

②専門家が必要な分析(いわゆる「データサイエンティスト」による分析)
 ・扱うデータが複雑
 ・統計的・技術的な処理が必要

①の例としては、例えば「自社ブランドのシェアが5%落ちた原因は?」「WEBサイトの成約率をあげるには?」というものです。いわゆるExcelなどのツールで可能です。一方で、扱うデータが複雑だったり、統計的・技術的な処理が必要なときに、②の専門家が必要な分析が発生します。

ここでは、②の「専門家が必要な分析」をデータ分析として定義します。

感覚的には、実際に①と②の割合は9:1 程度ではないかと思いますが、最近のビジネス環境や技術的な進歩によって②が経営に与えるインパクトが大きくなっており、そのため多くの企業が②の重要性を感じ始めています。

専門家が必要なデータ分析とはどんなものか

②についてもう少し具体的に書くと、以下のようなケースがあります。

・扱うデータが複雑
  ・ビッグデータ
  ・自然言語
  ・画像
  ・センサーデータなど
・統計的・技術的な処理が必要
  ・モデル構築・シミュレーション
  ・因果推論、構造推定
  ・機械学習・人工知能・オートメーション
  ・上記を踏まえたシステム開発や業務プロセスの改善

専門家が必要な分析について、よく論点になるのが業種 Industry や 業務 functional との関係性です。業種業態に関係なく横断的に出来るものなのか、特定の業種業態に特化したデータ分析の専門家でないと出来ないのか、ということですね。

現状では広く「データ分析」を一手に引き受けるプレイヤーと、特定の業種・業務に絞った専門的なプレイヤーが混在していると思います。例えば BrainPad社のようなデータ分析を幅広く一手に対応可能な会社もあれば、LPixel社のように医療を中心としたライフサイエンス分野の画像分析に特化した会社もあります。

こうした会社は他にも複数あり、今後は統計・分析という Generic skillと、専門性の分化が進むのではないかと思います。そのため、実施したい分析内容と、得意領域がマッチした適切なプレイヤーに分析をお願いすることが重要になっており、その重要性は今後も高まっていくのではないかと思います。

プロの成果を引き出すための目的設定例

データ分析を行う際には、その目的設定が重要です。「データが溜まっているから何か分析してよ」は、目的ではなくリソースからスタートしてしまっているケースで、多くの場合失敗します。

*ちなみに、データ分析やAI導入の成功確率を高めるの目的設定について、関連記事はこちらにも書きましたのでご覧ください

ここでは、実際に外部のデータ分析のプロフェッショナルに依頼することを想定して、良いデータ分析の目的として3つの例(と、1つの例外)を取り上げたいと思います。

1) 戦略のための仮説構築
2) モニタリング
3) 複雑なデータ間の相互関係を理解する
4) 例外: 目的がない分析

1) 戦略のための仮説構築

試験的に分析のアウトプットを出力して、その後の活用に必要な戦略を整理するための分析です。例えば、実際に予測モデルを構築して実用的な精度が出るかどうかを検証するなど、分析結果が本当にビジネスに貢献できるのかを仮説検証するための分析です。有効性が検証できれば、必要な機能要件やオペレーションに落とし込んでいくことになります。

具体例: 保険会社が、コールセンターでのユーザーサポートの負担が大きいので、回答の自動化・AI化を進めるためにどのようなアプローチが一番有効そうか、過去の問い合わせと回答のデータを分析しながら検証する

2) モニタリング

何らかの施策が導入・実行された後での、定期的な効果の把握のための分析です。課題を随時発見して、対処していくことで成果を伸ばしていきます。この分析は、定期的に(例えば週次〜月次など)行うことになるため、コストをかけすぎないことが重要です。例えばデータ収集とレポーティングの自動化に注力することで、課題解決のための議論に時間を使うようにすることが出来ます。

例: 携帯キャリアが、自社会員の解約予兆を検知するモデルを導入したので、実際に何%の精度でモデルが予測できているのか、またその結果として解約率が下がっているのか、下がっていないとすれば何が原因かを2週間ごとにチェックする

3) 複雑なデータ間の相互関係を理解する

データが複雑なときに、データ間の関係や、データの入り方、特徴などを把握するための分析です。特にデータが複雑な場合は、その後の分析アプローチをみきわめるために、特徴や傾向を把握する必要があります。特にデータ項目が多い場合や、データ間の関係性を事前に把握できていない場合はこうした分析を実施して、データに対する知見をためることが必要になります。

例: 特殊建機メーカーが、センサーデータを活用して建設機械の運転を自動化したいが、約2,000項目あるデータがどのような動きをしているのか把握できていないので、まずは全体の傾向やデータ間の相関関係・因果関係をまず把握したい


4) 例外: 目的がない分析

実はこのパターンも多いのですが、目的設定が曖昧だったり途中でずれてしまったりすることで、データを分析したところ「こんなことがわかりました」という情報提供にとどまってしまうパターンです。

この時によくあるのが「で、なんだっけ?」「で、どうしたら良いんだっけ?」という状況です。こうなってしまった時は、もう一度目的設定に立ち返った上で、どういう結果が得られれば次に進めるのか、得られた結果を部分的にでも活用できるポイントはあるのか、追加で集めるべき情報は何かを整理することで、次に進むことができます。

分析の目的を言語化しておく

1) 〜 3) まで例を紹介しましたが、データ分析に着手する際には「上記のどこを現状でやりたいのか」を明確にして、分析の目的を言語化してチーム内で(特に分析を担当するエンジニアや専門家も一緒に)共有・合意しておくのがおすすめです。

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