10X データを武器にしたネットスーパー売場への挑戦 レポート
10X データを武器にしたネットスーパー売場への挑戦 レポート
データマネージャーがデータ活用について話すという内容だったので、他社のデータマネージャーはどんなことしているのだろうと思って参加してみました。
Stailerという小売りECのプラットフォームアプリを作っている会社で、本日はStailerについての内容について。
発表資料
<公開されていれば後で追加する>
データマネジメント セミナーレポート
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事業成長レバーとデータマネージャーの担う役割
発表者
野口 友熙
概要
ネットスーパーの成長戦略の中で、データマネージャーの主戦場となる4つの重要レバーがある。
店舗/エリア/アクセスの開設
キャパシティの最大化
初回購入者の獲得
品揃え\価格最適化
(ディスカバリー最大化)
(関係の強化)
このレバーに沿って、最高に良い顧客体験を提供する必要がある。
10Xは人とシステムの両面から、お客様に対して重要レバーの推進をサポートしている。
感想
レバーという呼び方を初めて聞いた。要素的な意味なのだろうけど、レバーと呼んでいる意図は何なんだろう。
資料の中で、メンバーが出てきたのだけど、元〇〇社というのをめっちゃ押してくるのが気になった。データの話をしたいのではなくて、有名企業の人がいっぱいいる事を伝えたいのかなと。
10Xはプロダクトマネージャーの事をあえて、データマネージャーと呼んでいると思われるのだが、なぜかという説明はなかったので役割は分かったが、データマネージャーという名称に込めた意図はよくわからなかった。
Growth&Successチームというチーム名はしっくりくる。
10XのデータマネージャーはGrowth&Successとそのためにデータ生成という役割っぽくて、所謂データマネジメントをやる人ではなさそう。
プロダクトのためのデータマネジメントで、データ利活用のためのデータマネジメントではないという感じ。
参加するきっかけがそこだったので、期待外れではあった。
※勝手に期待して、外れただけで10Xは悪くないことを記載しておきます。
商品マスタ生成とは
発表者
天神林 大士
概要
マスタ生成とは?
パートナーからの受領データを加工し、Stailerのマスタデータを生成、プロダクトに反映させること。
Stailerではどの商品をどの売り場で何個売っているというのを、保持してアプリに表示させている。
10Xではエンジニアとは分けて、データを取り扱う部門=データマネージャーがやっている。
ネットスーパーやドラッグストアのデータは特有の難しさがある。
データの複雑性:店舗あたり何万というSKU(品目)、元データが散らばっている
定量化の困難性:店舗にある在庫数を把握できていない、売り方が複数ある、加工されて別商品になる、価格が高頻度で変わる
機能要求の独自性:企業ごとにポイント制度が違う、カテゴリごとに取扱が変わる、法令が絡む商品、カテゴリ表示の柔軟性、カテゴリの軸が色々ある
上のような事象が売り場で必須なので、売り場で行うべきことは死守することが最優先事項。
死守するために、10Xではモダンな技術基盤を武器に試行錯誤をしている。
10Xはパートナー企業とエンドユーザーに向けて新しい価値を提供するハブを目指す。
+dbtライブコーディング
感想
ネットスーパーのマスタ管理の課題は理解できた。
事業によって特有の難しさがあるのは、ネットスーパーに限ったことではないので、ネットスーパーを作りたい人には良いかもしれないが、プロダクトを作る上で普通の事しか言っていない気がする。
具体的にどういうデータをどうやって解決したというのが欲しかった。
データを武器にしたネットスーパー売場への挑戦というタイトルではなくて、「10Xの会社紹介とネットスーパーにおけるマスタ管理方法」とかをタイトルにしたほうがいいのでは。
正直タイトルに対する期待と内容に差があって残念だった。
※勝手に期待して、外れただけで10Xは悪くないことを記載しておきます。
QAセッション
Q.商品マスタでは別々な場所のデータで不整合が発生するなど、品質を担保するのが大変なイメージがあります。何か具体的な取り組みがあれば教えてください?
A.アーキテクチャとテストで解決しています。
Q.生成食品等の在庫管理、配送計画などをどこまでデータで解決できている/できそうなのか
厳しい所はどのくらいで実現できそうなのか。
例えば消費期限等での廃棄基準がある中で、リアル店舗との兼ね合い、在庫管理自動化がどこまでできているのか?
A.正直難しい領域で、苦戦しながら取り組んでいる。店舗型ではデータを組み合わせたり係数を掛けたりすることで、リアル店舗と食い合わないように在庫数を定義している。
センター型はまた取り組み方が異なる。
Q.データ基盤の構築、運用のプラクティスや工夫は?事前にサーバーを増設する等の対策をしているか?
A.クラウドを使うことでスケールの担保ができている。BigQueryとかGCPという巨人の肩に乗っかれば、やるべきことに集中できる。
需要予測的なテーマで運用されるとして計算量、データ量で困ることはない。
Q.売り場に出すロジックは10Xで決めているのか、売り場が決めているのか?
A.多いケースで言うと、パートナーと10Xで討議して決めるケースが多い。
Q.データアナリストからデータマネージャーにキャリアチェンジした理由?
A.何かキャリアチェンジした感覚はなくて、必要なことを実現するためにキャッチアップした結果。そもそもデータ関連の役割名はよくわからない、マーケティングの定義を見た時に人とか社会が持っているニーズをマーケティングと定義する。結果、特に何か変わった感覚はない。
A.先日ブログを書いたのでそれを見てください。というのはあれですが、いろいろなことをやってみたら、人とコミュニケーションとりながら物事を進めるのが得意だという事がわかった。役割としてのデータマネージャーというより、10Xのデータマネージャーにフィットする感覚があった。
Q.よい顧客体験を意識したデータ分析基盤を定義するとしたら?データ利活用をワークわせるためには?
A.パートナーも顧客として考えていて、その人たちがどのような環境だったら使いやすいのか考えている。
在庫を提供するという業務の中で品質は必須になってくる。品質大事。
Q.dbtを導入するにあたって比較したツールは?dbtの衝撃は?
A.パイプラインに課題を感じていて、コミュニティの大きさだったり改善活動が盛んかつ、SQLでパイプラインがかけ利用者が使えるツールであるdbtを採用した。
Q.どんな技術負債がありますか?
A.技術負債は作った段階では負債と考えないが、数をこなした結果負債と見なされる。
データパイプラインもそんな感じで、今はdbtがベストプラクティスと考えているが、数をこなしていく中でまた汎用的なアーキテクチャを採用することになるだろう。
明示的なリファクタリングデーというものはないが、リファクタリングは小さなごみは即時拾うという精神で、大きな問題になる前に気になるところを改善するという事を心掛けている。
Q.データ基盤の構築や運用について、構築前段階の戦略・分析設計をどのように行われたのかお話聞かせてください。
A.今日の話は在庫のデータをプロダクションに乗せるという話だったが、ユーザーログを検証するというのが10Xには別にあります。
ユースケースを洗い出したうえでそれを満たせたデータセットを作ることをやっている。
何でもできるデータセットを作ろうとすると結局何もできないデータセットができることはよくあるので、ちゃんとユースケースを満たすものを作っている。
Q.データマネージャーに求める素養と経験
A.結構ばらばらな経験をバックグラウンドに持っている人がなっていて、いろいろな領域を知っていて、その中でも強みがあるとよい。
データの1レコードにこだわれる人がよい。顧客分析だと1レコードくらいはよいが、ユーザーに届くプロダクトの場合はこだわらないといけない。
使うためのデータを作るのが職務で、そこに対してエンジニアリングの知見を活かして開発をしていく。実際ビジネスだったりプロダクトだったりデータの変換だったりそういうところで引っかかる人がよい。
おわりに
自分の知識をまとめるためと今後誰かがデータマネジメントをやってみたいと思った時のきっかけとなるためにnoteを書くことにしました。
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ツイッターでもデータマネジメントに係る情報をつぶやいてますので、よろしくお願いします。
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著者のDMBOKを用いてCDO室を立ち上げデータマネジメントを推進した経験を基にデータマネジメントの進め方をまとめたkindle本を執筆しました。
DXを成功に導くデータマネジメント
DXを成し遂げるために必要なデータをどうマネジメントしていけばよいかが書かれている。
データ環境より、セキュリティの観点であったり、プライバシーの観点であったりといった非技術者向けの内容が多く書かれている。
データマネージメントに興味を持った人はまずは読んでみるとデータマネジメントでなすべき概要が理解できる。
実践的データ基盤への処方箋
データ利活用を行うために必要なデータ基盤の考え方と、利活用するためにはデータをどのようにマネジメントしていけば良いかを具体的な例を用いて説明されている。
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