データマネジメント担当者(データマネージャー)の確立とスキル
はじめに
データ利活用のためにはデータマネジメントが必要だと注目され始めて久しいが、じゃあデータマネジメント担当者(データマネージャー)が持つべきスキルってなんだろうか?
スキルを考えて習得したところで役割として確立しないとキャリアとして活かすことができない。
今後役割として確立されそうな専任のデータマネージャーが持つべきスキルとキャリアの行く末を考えてみる。
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データ業界の市況感
2018年に経済産業省が出したDXレポート以降、データ活用はIT企業を中心からエンタープライズ企業へと広がっていったように感じる。
これは第三次データサイエンティストブームとも呼ばれていて、大学にもデータサイエンス学部ができて業界を志望する人も増えた。
そんな感じで2018年から今までの5年位の間は各社が競合に置いてかれまいと必死に投資してきた。
投資というのは回収を見込んでやるものであり、いつまでも投資し続けられるものではない。
ある程度データ活用によってできること、できないことが見えてきて、データ活用は投資から定着へのフェーズが変わろうとしているように感じる。
定着となれば、今まではニーズがあり多く採用されていたデータサイエンティストが絞られて、成果を出せる人のみが生き残っていくだろう。
データ活用が厳しいためか、変化に対応できている人は生成AIに主戦場を切り替えている人も多い。
この先生き残っていくためにはデータ分析のスペシャリストか、広義のAIを扱えるジェネラリストである必要がありそうだ。
データマネジメント担当者の役割としての確立
データマネジメントから見る一面としては、今までは投資としてPoCと呼ばれている検証が続いていたフェーズだったのでデータの管理面はあまり重視されてこなかったが、定着となるとコスト意識が働くためデータを正しく管理するところがフォーカスされてくる。
そういう意味ではデータマネジメント担当者の需要は一足遅れ、データサイエンティストが一段落した今のタイミングから増えてくると思われる。
データサイエンティストが5万人くらいとすると、その1割の5000人くらいは必要とされるだろう。
今はまだ確立されたと感じないが、近い未来に求人サイトでデータマネジメントと検索すると相当数ヒットするようになると感じている。
必要なスキルセット
データマネジメント担当者の役割は今後確立されるだろうと書いたが、どのようなスキルセットが求められるのか考える。
自分の経験上、専任データマネジメント担当者に必要な能力は、データマネジメント+プロジェクトマネジメント能力だと思っていて、データマネジメント知ってますだとあまりニーズはないのかなとおもう。
なぜならデータマネジメントは実行されないと意味がなくて、実行するために必要なのはプロジェクトマネジメント能力が必要になるからである。
もう少し補足すると今は求める側の環境がデータマネジメントがされてない状況なので、実行力を求められるが、成熟してくるとデータマネジメント知ってます、のニーズが高まっていくとも考えている。
ということで、近い未来に確立されたときに必要なスキルセットはデータマネジメント領域を総合的に習得しており、それを実現するためのプロジェクトマネジメント能力となる。
データマネジメントの各領域を個別に見るとほぼスペシャリストが存在するため、データマネジメント担当者としての価値を出すためにはプロジェクトマネジメント能力こそが大事。
データマネジメント担当者のキャリア
データマネジメント担当者は今後のキャリアとして明るいのかというと、ある程度増えた後はデータサイエンティストのように絞られていくのだろうと思っている。
残る人はどういう人かというと、広義のデータ活用自体はなくなることは無く、例えば生成AIはもっと日常生活や業務に溶け込んでいくだろう。
そういった近い未来にも、生成AIのためのデータマネジメントが必要になることは想像できる。
データマネジメントの対象やスコープは時代によって変化していくので、変化に適応できる人が生き残っていくだろう。
データマネジメントに限った話ではないが、vucaの時代にはこれをやれば安泰というものは無くてある程度のベクトルだけをもって後は変化に適応できないと難しい時代になってきている。
今の段階ではマニアックなデータマネジメントに興味をもって取り組んでいる人は時代に対応できていると言っても良い気はしてますけどね(笑)
おわりに
自分の知識をまとめるためと今後誰かがデータマネジメントをやってみたいと思った時のきっかけとなるためにnoteを書くことにしました。
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