「データマネジメント成熟度アセスメント」データマネジメント知識体系(DMBOK)第15章の解説
はじめに
これまでの章でデータマネジメントの知識領域が定義されたDAMAホイール図から一つ一つの領域ごとにまとめられていた。
十五章はデータマネジメントの成し遂げるために必要なアセスメントについて書かれている。
データマネジメント成熟度アセスメントこそが、データマネジメントをデータガバナンスするためのKPIとなり、向上させるための計画を立てることができる。
自分が今の組織でデータマネジメントを推進することになったときはこのデータマネジメント成熟度アセスメントと、独自に作成したデータ利活用機運アセスメントを行い、自社のKPIとして進めた。
DMBOKの各章の要約・解説
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データマネジメント知識体系(DMBOK)第15章「データマネジメント成熟度アセスメント」について
データマネージメントデータ成熟度アセスメントとは
アセスメントはDAMAホイールの11の軸と6つのレベルによって評価する。
EY Japanが506社に対してデータガバナンスサーベイとして調査を行った結果が公開されている。これを見るとどのようなものが成果物として作られるのかイメージしやすい。
多くの企業では「データストレージとオペレーション」と「データセキュリティ」が高い傾向にあるようだ。
ただし、回答者がコーポレート部門が中心のため、データマネジメントの概念を理解している人が回答しているのか疑問ではあり、データマネジメントの評価が正しくできていないサーベイの結果だと思っている。
アセスメントレベルとは
DMBOKにはアセスメントレベルは以下のように定義されているが、いまいちしっくりこなかったため、自社のアセスメントは各領域の成果物と成果物がどのように運用されているかで行った。
EY Japanもレベル0が無くなっており、文言も違うものになっているので何かしらしっくりこなかったのではないかと思われる。
DMBOKのアセスメントレベルの定義
・レベル0.遂行能力が欠如している
・レベル1.初期段階か場当たり的:成功は個人の能力に依存している
・レベル2.反復可能:プロセスに最低限の統制が行われている
・レベル3.定義された:基準が設定され守られている
・レベル4.管理された:プロセスが数値化され統制されている
・レベル5.最適化された:プロセス改善のゴールが数値化されている
各知識領域の成果物
自社のデータマネジメント成熟度アセスメントを行ったときの成果物について記載する。
データガバナンス:実効性があるデータマネジメントができる態勢
データアーキテクチャ:データの青写真
データモデリングとデザイン:ER図
データストレージとオペレーション:DWH等データ基盤の運用体制
データセキュリティ:データの区分と活用ルール
データ統合と相互運用:ETLツール
ドキュメントとコンテンツ管理:データに関するナレッジ
参照データとマスターデータ:コード定義書
データウェアハウジングとビジネスインテリジェンス:DWHとBIツール
メタデータ:データカタログ
データ品質:ビジネス側のデータ要求
成果物をベースにしたアセスメントレベル
上記成果物がどのように運用されているのかで、アセスメントを行った。レベル2と3の間にはかなりの溝があり、ここを埋められるとやっとデータマネジメントがビジネス成果につながってくる。
レベル0.存在しない
レベル1.存在する
レベル2.公開されている
レベル3.メンテされている
レベル4.苦労なくビジネス活用されている
レベル5.常に改善されている
データマネジメント成熟度アセスメントのビジネス的意義
データマネジメントを行うためには、データマネジメント成熟度アセスメントが不可欠である。
アセスメントを行わないとデータマネジメントの現状を把握することができず、どの軸をどの順番で進めるのか、重要な課題が後回しになっていないかといった全体像を把握することができない。
データマネジメントがビジネス的に意義がある活動であるならば、おのずとデータマネジメント成熟度アセスメントを行い、定量的に状況を把握し意思決定を行い進めていく必要がある。
データマネジメント成熟度アセスメントのゴール
データマネジメント成熟度アセスメントは組織内で実施されているデータ関連業務に対してランク付けする方法。データマネジメントの現状とそれが組織に与える影響を明らかにする。
組織を横断して重要なデータマネジメント・アクティビティを見つけ、総合的に評価されており
データマネジメントの概念、原則、実践についてステークホルダーに教育が行われている
データの作成者から管理者まで含む広範囲な領域の中で、それぞれの役割と責任も明らかにされている
企業全体で組織の業務や戦略的ゴールを支える継続可能なデータマネジメント・プログラムを確立して強化されている
データマネジメント成熟度アセスメントの進め方
常々思っていることとして、データ利活用する人はビジネス的なテーマにはKPIを定めてKPIに対して事象がどのようになっているかを特定しているが、自分たちのデータ利活用の組織的活動についてはKPIを定めずに行っていることが多いように感じる。
データに係る人こそ、きちんと目的を定めて計画し、達成すべきKPIは何なのかを定め、KPIを向上させるために活動すべきだと思っている。
アセスメントアクティビティを計画する
データマネジメント成熟度アセスメントを実施することは目的ではなくて手段である。ではなぜアセスメントを実施することにしたのかという目的を定義する。
目的に沿ってスコープを定めて、データマネジメントに必要な関係者を集めアセスメントチームの体制を構築する。体制を構築したらコミュニケーション経路を確立して、関係者が滞りなくアセスメントを実行できるようにする。
成熟度アセスメントを実行する
アセスメントを実行するためには、DAMAホイール図の軸に沿った情報を集める必要がある。情報とはシステム、設計書、業務マニュアル、規定類といったものである・
集めた情報を定義されたレベルの基準によってレベル付けをする。定めたレベルはなぜそのレベルにしたのかを関係者に対して説明し合意する必要がある。
評価結果を吟味する
何度も書くようにレベル付けをするのがアセスメントのゴールではない。
評価した結果をもとにどの指標をどの水準まで上げられれば組織戦略に貢献できるのかを特定し、改善活動を計画する
アセスメントの結果と評価をまとめ経営幹部向け報告書を作成する。
アセスメントチームは現状及び、費用対効果を踏まえ次目指すべき姿はどういうものか、その姿を実現したらビジネス的にどのような効果があるのかを説明する。
アセスメントを正しく評価し、データマネジメント活動を行うためのスポンサーを獲得し予算とリソースを確保する。
改善を達成するためのターゲットプログラムを作成する
スポンサーを確保した後は、ITチームと業務チームといった関係者と共に目指す姿の実現に向けたアクションを実行しなくてはならない。
ロードマップは目指す姿につながるアクションを取り組むことと、関係者が必要だと思う活動を優先的に行うことを前提に作成する。
成熟度を再評価する
データマネジメント成熟度アセスメントは定期的に再評価を行うべきである。再評価は継続的な改善サイクルの一部である。
定期的な再評価をすることで、改善への取り組みが再度活性化されることと、法規制やユーザーの関心度などその時の情勢によって優先度を調整しアプローチを変えられるようになる。
データマネジメント成熟度アセスメントの成果物
わかりやすい成果物は各軸のレベルを評価したレーダーチャートがあるが、あくまでも行いたいのは現状評価ではなく、今後のビジョンとどのようなロードマップで実現していくのかという計画が重要である。
格付けとランク
成熟度の基準ライン
準備状況の評価
リスクの評価
リソースの手配能力
投資と成果の選択肢
ロードマップ
おわりに
自分の知識をまとめるためと今後誰かがデータマネジメントをやってみたいと思った時のきっかけとなるためにnoteを書くことにしました。
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