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データマネジメント組織の立ち上げと成功のポイント

データマネジメント組織はなぜ必要?

近年データ活用において、データマネジメントの重要性に気が付き、データマネジメント組織を立ち上げる会社が増えてきました。

ひとえにデータマネジメントと言っても、データマネジメントの領域は広いため組織のミッションは多岐に渡ります。

データマネジメント組織の立ち上げを考える会社は、すでにデータ利活用を行いデータマネジメントの必要性に気が付いてると思われます。

データ利活用を爆速に進めるために必要なデータマネジメント活用は何かというのを考えると、なぜ必要なのかがわかります。

そんなデータマネジメント組織の立ち上げ方と成功させるためのポイントを書きます。

データマネジメント記事の紹介

データマネジメントについて、いろいろな記事を書いてます。
気になった方はnoteを参照ください。

データマネジメント組織の目的

データマネジメント組織を立ち上げる目的は次の4つです。
同じ単語である「データマネジメント」と呼ばれますが、組織によって目的は違い多岐に渡るため、どの目的の組織なのか意識する必要があります。

データガバナンスのため

全社のデータガバナンスの実効を目的とした組織です。

内部統制組織であり、データ戦略を策定し実行します。
全社が守るべきデータマネジメント基準を作り、守らせる部署です。
CDOの直下に配置されて、攻めの視点でデータ利活用を推進します。

プライバシーの対応のため

全社のデータプライバシーの実効を目的とした組織です。CDOが攻めのデータガバナンスに対して、DPOは守りのデータガバナンスと呼ばれることもあります。

内部統制組織であり、データプライバシー戦略を策定し実行します。
全社が守るべきデータプライバシー基準を作り、守らせる部署です。
DPOの直下に配置されて、守りの視点でデータ利活用を推進します。

データの管理のため

横断的なデータ品質やメタデータの管理を目的とした組織です。

この目的の組織を立ち上げる場合は、データエンジニア組織が技術的な部分を担当し、データマネジメント組織が業務的な部分を担当します。

データを用いたビジネスの変革のため

ビジネスに沿ったデータ品質やメタデータの管理を目的とした組織です。

この目的の組織を立ち上げる場合は、ビジネス組織がデータを用いたビジネスを検討し、データマネジメント組織がデータスチュワードとしてビジネス組織のデータ活用の支援をします。

データマネジメント組織の3タイプ

データマネジメント組織は4つの目的があると書きましたが、目的に沿って一番目的の遂行がしやすい場所に設置することが成功させるためのポイントの一つです。

CDO・DPO直下

CDO・DPOの直下に設置され、データガバナンスを行います。

CDO、DPOは組織の責任者としてデータガバナンスを行う権限を持っているため、トップダウンでデータガバナンスを推進することができます。
ただし、全社組織のため事業やドメインの知識が弱く、いざ実行するとなると難しいため、現場の部門と協力しながら進めていくことが重要になってきます。

この部門のメンバーには、法律の理解、セキュリティの理解、規定類の文書執筆、経営陣を交えたガバナンス会議の実行スキルなどが必要となります。

CDO・DPOについてはコチラを参考にしてください。

部門直下

本部に紐づく形で、設置されて部門が保持するデータの管理を行います。

本部に紐づく形で設置されるため、データマネジメントの対象となる事業領域が限定されます。
部門直下のデータマネジメント組織は、データマネジメントの実行部隊として、データとドメイン知識を理解したうえで部門が推進すべきデータマネジメントを推進します。

この部門のメンバーには、データ基盤構築技術、メタデータ管理、データ品質管理、プロジェクトマネジメント能力などが必要となります。

ビジネス部門と並列

マーケティング部門やプロダクト部門等のビジネス部門に紐づく形で、データを用いてビジネス部門を変革する(支援)ためにデータの利活用を行います。

部門に紐づくデータマネジメント組織は、明確なビジネス目的があり、ビジネス目的を実現する手段としてデータ利活用が必要となり、データ利活用のためのデータマネジメントを整備します。

ビジネス部門に紐づくデータマネジメント組織は、データ利活用の専門部隊としてデータ利活用とデータマネジメントを推進します。

この部門のメンバーには、データサイエンススキル、データ分析スキルなどが必要となります。

データマネジメント組織を立ち上げ時に行う事

データマネジメントを実施することをミッションとすると、領域が広範囲になり何をすべきかわからなくなるため、立ち上げる時には以下の流れに沿って立ち上げを行います。

ミッション・ビジョンを作る

会社がデータマネジメント組織を立ち上げることになった背景を認識し、会社からの期待値と、自分がデータマネジメント組織で実現したいことを踏まえてミッション、ビジョンを作るとよいです。

ミッション・ビジョンを作るときに、そもそもミッション、ビジョンとはという認識があっていないことがあるので、アイスブレイクがてら以下のページをメンバー同士で眺めてみることをお勧めします。

組織戦略と成果物作り

前段でビジョンを作ることができたら、ビジョンに向けてどう進めるのかという組織戦略を作ります。

組織戦略はビジョンを実現するための軸と軸に対して成果物を明確にしていく作業となります。

組織戦略と成果物は以下の軸で検討するとよいです。

  • 組織が生み出すプロダクトとは何か?どのように作り上げていくのか

  • 組織に必要なケイパビリティとはどのような状態か?どのように育成していくのか

  • 組織が必要な人材とはどのような人材か?どうやって獲得していくのか

費用対効果の確認

組織戦略と成果物を作成したあとは、実行するためのコストを明確にしていきます。
この時やることとしては、費用対効果を明確にして、感覚値として組織の戦略は理にかなっていることを確認してください。

データマネジメント組織はコストセンターにみられないように、ビジネス的な価値を明確にして費用対効果が出るようにしていく必要があります。
コストセンターではなくプロフィットセンターと定義してかないと、データマネジメントへの投資熱が冷めた時に、組織存続の危機に陥るために非常に大切なポイントです。

経営陣のコミットメント

費用対効果が出る計画が立てられたタイミングで、経営陣など組織を設置した人にレビューをしてもらい、組織としての合意を得ましょう。

今後戦略を実行するために、ヒト・カネ・モノへの投資を支援してもらう必要があるため、経営陣へコミットメントを求めておくことが重要です。

データマネジメントを推進するための手順

組織の役割が明確になった後は、戦略に沿って粛々と実現に向けて行動していきます。どのように行動していくのか手順を記載します。

現状把握のためデータマネジメント成熟度アセスメントをする

まずは、現状を把握するためにデータマネジメント成熟度アセスメントを行います。
データマネジメント成熟度アセスメントについては、以前noteを書いたことがあるので、そちらを参照してください。

成熟度アセスメントも全領域行うのもよいですが、定めた役割に沿った領域のアセスメントを行うだけでもよいです。

組織編成

アセスメントを行い現状を把握したら、目標となる数値を定め向上させるための組織を編成します。

領域ごとにリーダーとなる人と、必要な人数をアサインします。

DX戦略実現のための施策をプランニングする

領域ごとのリーダーとメンバーは具体的にどのようにして目標を達成するのかをプランニングしていきます。

プランニング手法はおそらくいろいろありますが、一般的にはブレインストーミングを用いてアイデアを発散させてから、目標を軸にプライオリティを付けて行う施策を決めていくという流れになります。

施策の実行

担当者は定めた施策を実行します。
施策は数日~数カ月程度のものがあると思われるので、PMBOKなどを参考にしっかりプロジェクトマネジメントを行う必要があります。

効果測定・PDCAサイクルを回す

施策を行った結果はデータを用いて結果を検証します。

データ組織は自身の業務についてはデータを使わないというのがよくあるので、施策を行った結果、狙った数値の向上につながっているのかを検証し、次の施策に向けて取り入れることは取り入れてPDCAを回すことを心がけましょう。

データマネジメント組織を成功させる組織作りのポイント

組織づくりを成功させるためのポイントをいくつか記載します。

モチベーションのある人材を集結させる

データマネジメント組織という一般的ではない組織を作るためには、自身がモチベーション高く推進していく必要があり、周りに否定的な助言を言われることもあるが、そこでダメにならないようにモチベーションを保てるチームであるとよいです。

外部リソースを利用する

立ち上げ時に必要な人材を全てそろえることは不可能です。
そのため、立ち上げ時にはスポットで外部リソースを利用するとよいです。

ただし、外部リソースに頼り切るとロックイン状態になることもあるので、どの領域をどのようなことの実現のために外部リソースを借りるということを明確にして、正しく管理してください。
一度ロックインしてしまうと、解除するのがかなり困難になります。

社内を横断した協力体制を整える

データマネジメントの実現のためには、社内の様々な組織との協業が必要となります。
各組織のミッションを理解して、横断した協力体制を整える努力をするとよいでしょう。

全社的にデータマネジメントの意欲を高める

データマネジメントを実現するというのは、データマネジメントが浸透していない段階では意欲の低い組織もあり、全社挙げての支援を求めるのは難しいです。
そのため、全社への広報活動を粘り強く行い、意欲を高めていくことが成功のポイントになります。

おわりに

自分の知識をまとめるためと今後誰かがデータマネジメントをやってみたいと思った時のきっかけとなるためにnoteを書くことにしました。
モチベーションのために役にたったという人はぜひ、フォロー&スキをお願いします。

ツイッターでもデータマネジメントに係る情報をつぶやいてますので、よろしくお願いします。

データマネジメントを学ぶ人が抑えておきたい本

今すぐわかるデータマネジメントの進め方
著者のDMBOKを用いてCDO室を立ち上げデータマネジメントを推進した経験を基にデータマネジメントの進め方をまとめたkindle本を執筆しました。

データマネジメントが30分でわかる本
著者もDMBOKを読むためには非常にボリュームが多く読み解くには苦労するので、かみ砕いた解説書をまとめたと書いてある通り、DMBOKを独自解釈してわかりやすく書かれている。
DMBOKを技術者目線で読み解いた内容になっているので、実践的データ基盤への処方箋と同様データ技術に係る人におすすめする。

DXを成功に導くデータマネジメント
DXを成し遂げるために必要なデータをどうマネジメントしていけばよいかが書かれている。
データ環境より、セキュリティの観点であったり、プライバシーの観点であったりといった非技術者向けの内容が多く書かれている。
データマネージメントに興味を持った人はまずは読んでみるとデータマネジメントでなすべき概要が理解できる。

実践的データ基盤への処方箋
データ利活用を行うために必要なデータ基盤の考え方と、利活用するためにはデータをどのようにマネジメントしていけば良いかを具体的な例を用いて説明されている。
技術が中心になるので現在データ技術に係る人がデータマネージメントに興味を持った時には、まず手に取ることをおすすめする。

個人データ戦略活用 ステップでわかる改正個人情報保護法実務ガイドブック
個人情報保護法を順守するための基本的な考え方が実務ベースで書かれている。2022年4月に施工される改正個人情報保護法で新たに追加される概念も同様に記載されている。
政府の出しているガイドラインよりも俯瞰的に読めるためデータプライバシーにかかわる人、データを使ったビジネスを推進する人は読んでおくとスムーズに業務が進められる。

データマネジメント知識体系ガイド(DMBOK)
自分も要約・解説記事を書いているDMBOK。データマネジメントに興味を持った人がまず手に取ると挫折することは間違いないほどのボリュームがある。
読めば読むほど味が出てくるので、データマネジメントを進めようとしている人は各家庭に1冊は是非買っておきたい。


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