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JDMCカンファレンス データマネジメント2021 〜データによる可視化が現実と仮想を繋ぐ〜
JDMCカンファレンス データマネジメント2021 〜データによる可視化が現実と仮想を繋ぐ〜
2021年3月4日(木)に年に一度の[JDMCカンファレンス データマネジメント2021があり、視聴したのでレポートを書く。
開催概要は以下JDMCのデータマネージメント2021の公式サイトにて確認ください。
https://seminar-reg.jp/jdmc/dm2021/index.html
自分が見たのは以下セッションです。
覚えているうちにこれらのセッションについて概要と感想を書いていきます。
・令和2年個人情報保護法改正、その解説と実務への影響
・データガバナンスと活用を両立させ、データドリブン経営を可能にする基盤とは?
・DXの推進原動力となるデータマネジメントの考え方
・データガバナンス入門~いまさら聞けない、DXに必要なデータガバナンスとは?~
・セゾン情報におけるデータドリブンへの挑戦、専門ベンダーでも苦労と試行錯誤がある!
・顧客データ基盤の進化とデータ活用~仕組みを育てるプロセスと施策
・東京海上グループのDXを支える組織・人材戦略
データマネジメント セミナーレポート
データマネジメント関連のセミナーに興味ある人はこちらからどうぞ。
令和2年個人情報保護法改正、その解説と実務への影響
発表者
西村あさひ法律事務所パートナー弁護士福岡 真之介 氏
概要
令和4年に施行される予定の改正個人情報保護法についてビジネス目線での解説をしてくれた。
法律目線の資料は、公式サイトにまとまっているので参照するとよい。
令和2年 改正個人情報保護法について(個人情報保護委員会サイト)
https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/kaiseihogohou/
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ポイント
・仮名加工情報という概念の新設
分析用に名前をID等に置き換えてそれだけでは個人を識別できなくしたものを仮名加工情報として扱うことができて、分析しやるくする仕組み。
IDに置き換えるのはどの会社でもやっていることだと思うけど、それを普通の個人情報として取り扱うこともできる。
仮名加工情報にしたところで取り扱いが面倒な印象をすごい持ったので、使う会社はなさそう。
・個人関連情報というサードパーティーCookieを利用できなくするような概念の新設
渡す元が個人を識別できないが、渡す先は識別できる情報で渡す元がその情報のことを個人関連情報という。
今はその個人関連情報を制約する法律はないので事実上、なんでもOKという状態だけど、それじゃだめだよねって仕組みができた。
Googleとかヤフーとかアドプラットフォームを持っている会社はつらそうだけど、Appleが規制をすでに始めていたのでそういう意味では実務上は対応の必要はなさそう。
・利用停止の請求が可能になった
停止するのめんどくさそう、システム泣かせだな。
・開示請求が書面のみから、データと選択できるようになった
もともとデジタルデータで存在しているのがほとんどだと思うので、いいんじゃないって感じ。
ただアンケートとか紙でとっている会社がデータで請求されたらスキャナでPDF化とかするのだろうか。
・不適切利用の禁止
破産者マップを制約する仕組みを導入した。
昔官報情報をまとめて載せて炎上したようなケースを防ぐルールらしい。
感想
データ利活用をさせたいという点と、炎上したところ防ぎたいという両側面が感じられる改正だと思った。
ただ、利活用させたいというものの実際は仮名加工情報では何も変わらないと予想される。
データガバナンスと活用を両立させ、データドリブン経営を可能にする基盤とは?
発表者
日本電気株式会社デジタルビジネスオファリング本部シニアマネージャー山川 聡 氏
概要
データ利活用をするときに大切なのは3点
・プラットフォーム観点:データへのアクセスが困難
・データ観点:データ品質に伴うところ
・ビジネス観点:データを使って何をしたいのか定まっていない。
その解決のために、データの図書館を作りましょうという話。
図書館は本を集めて、分類されて、維持されて、利用管理されている。
データも同じことをしないといけない。
データを集める(データ統合)
→分類する(DWH構築)
→維持する(データガバナンス)
→利用管理する(セキュリティ)
NECは全ての業務をサポートする体制を持っているのでいつでも相談ください!
感想
NECがAWS使って、データ基盤作る。データ基盤の運用は任せてくださいって話が合って、ハード屋さんじゃなくなっている!?って思った。
データの図書館はメタデータを図書館の索引って言ったりするので、その流れから図書館ってのはそんなもんだなって思った。
DXの推進原動力となるデータマネジメントの考え方
発表者
第一生命保険株式会社ITビジネスプロセス企画部データマネジメント室長板谷 健司 氏
概要
第一生命のDXの話。
データ戦略を作って進めていこうとする中に、課題はあって整えながら進めていった。
BIとAIのコミッティを作ってデータ利活用を推進している。
Pythonで書いたロジスティック回帰のモデルより、DataRobotのXGBoostのモデルのほうがめっちゃ精度がいい。DataRobot最高!
だと思いきや、アルゴリズムというより、使うデータが大事だから業務を巻き込んでデータの選別が大事。
一流のデータサイエンティストでもデータが糞だと結果は出ない。データをきれいにする仕組みを作っていこうぜ。
感想
本題とは関係ないけど、この人のスライドは著作物を勝手に使用していて、データの担当者としての意識が低くねって思った。
ほかの会社のセミナーではロゴ全部外したとか言っていたし、そっちが普通でしょ。
内容は普通のことを書いてあるのだけど、アルゴリズムの比較のところだったり、Tableau+Infomartica+DataRobotとか何となく外部のコンサルに牛耳されているのではないかというにおいが感じられた。
データガバナンス入門~いまさら聞けない、DXに必要なデータガバナンスとは?
発表者
Metafindコンサルティング株式会社シニアコンサルタント高橋 章 氏
概要
データマネジメントを専門にした会社で、今日はデータガバナンスの話をするよ。
データの価値を高めるためにはこれらが必要
・統合化:ほしいときにすぐ使える:データ統合基盤の構築
・標準化:形式や構造が統一されている:データの標準化
・目録化:どこに何があるのかわかること:データ仕様の可視化
・品質管理:不正確・欠損がないこと:高品質なデータの提供
・法令順守:プライバシーや気密性が守られること:適切な権限の付与
物や体制を作って終わりじゃなくてルールがなければ放置される。
データガバナンスとはルールを作って、ルールを守り続けること。
データガバナンスの3要素
・守るべきルールを作る
・守らせるための仕組み・体制を作る
・守られているか監視する
感想
データガバナンスをDMBOKに書いてあるデータガバナンスのような説明をしている珍しいケース。
よくデータガバナンスを語るものを見ると、個人情報保護の話とかプライバシーの話とかを見るけどそれではなかった。よく理解しているのだろう。
マニュアル作って、体制作って監査するというのは法令順守するために行うことは多いけど、データを資産として管理するためにはそれと同等の仕組み化が必要だなっていつも思ってます。
~セゾン情報におけるデータドリブンへの挑戦、専門ベンダーでも苦労と試行錯誤がある!
発表者
株式会社セゾン情報システムズテクノベーションセンター 先端技術部木村 裕之 氏
株式会社セゾン情報システムズテクノベーションセンター 製品開発部吉崎 智明 氏
概要
BtoBのデータマネジメントについて。
データにおけるBtoCの常識をBtoBでも同じだと思っていると痛い目みるよ。
全然違って、BtoBは人手が当たり前で品質も整ってなくて、雑な感じ。
それらを乗り越えて、データのクレンジングを行って分析した結果の使い方もBtoCとBtoBは全然違う。
BtoBは人がアクションするケースが多いので、予測の理由がより大事になってくる。
感想
BtoBという観点が新鮮だったので面白かった。
データマネジメントの本を読むと読み手によって違うのかなって思っている。
IT企業は「分析データ×BtoC」だと思い込んでデータマネジメントを解釈しているケースが多いなって思うけど、実は会社によって全然違うんだなって最近は思っている。
・分析データ×BtoC
・分析データ×BtoB
・業務データ×BtoC
・業務データ×BtoB
クレディセゾンの基幹システム刷新失敗の話とか期待していたら全然違った。
顧客データ基盤の進化とデータ活用~仕組みを育てるプロセスと施策
発表者
全日本空輸株式会社業務プロセス改革室イノベーション推進部部長野村 泰一 氏
概要
ANAは伝統的に、自分のデータを自分がデータ分析して業務改善のためにデータは使われていた。いわゆるサイロ化という状態だった。
IT部門もレガシーな組織で、受け身な組織で言われたことしかやらない感じ。
統合データ環境を作って、横断的に顧客のエンゲージを最大化できる仕組みを作って、IT部門のマインドを変革するために5輪の書を作ったり、ナレッジを横断的に蓄える仕組みを作ったり奮闘している。
そんな感じで頑張っていたら、システム部が感謝されるようになってきた。
受け身の状態だとやって当たり前で「ご苦労様」しかなかったが、攻めの状態になると「ありがとう」に変わっていった。
データの活用で一番大事であり、一番時間がかかるのは人財であり、そこにスコープをあてて施策を実行するのは大事。
感想
データ利活用の刷新にマインドが重要というのはひしひしと感じている。
個々のマインドと、会社のマインドを変えていかないとデータ利活用でビジネスの変革なんて絶対できない。
65点でも進めようというときに、怒る人がいると成り立たないので上層部は変革の志を持って進めないとだめよね。
東京海上グループのDXを支える組織・人材戦略
発表者
東京海上日動火災保険株式会社IT企画部 部長村野 剛太 氏
概要
東京海上日動ではDXの取り組みは大きく2つと定めている。
社内体制の変革
・業務プロセス、オペレーションのDX
・企業文化、風土のDX
価値提供の変革
・新たな成長に向けたビジネスモデルのDX
・社会課題解決のDX
いろいろやっているけど、今回は人材育成について話をしていた。
270時間、1年かけてリテラシーを身に着けるという口座を開講している。
今は外部にも売り出しているので、興味のある方はぜひどうぞ。
データスチュワードはデータサイエンティストとビジネスを橋渡しをする役割としている。なのでスキルはジェネラリスト系。
感想
社員教育に270時間もかけてやるっていうのが会社として合意を得ているのがすごいことだなって思う。
これだけスキルの必要性に経営が気が付いているのであればDXの推進はさぞやりやすいのではないかなと。
おそらく、一朝一夕にそういう体制ができたのではなくて、DX推進組織の人が経営陣にインプットを続けて構築していったのだろうと思料する。
データスチュワードをデータマネジメントの管理者とするケースが多いけど、橋渡しに近い説明だったのはこの会社の特色かもしれない。
おわりに
自分の知識をまとめるためと今後誰かがデータマネジメントをやってみたいと思った時のきっかけとなるためにnoteを書くことにしました。
モチベーションのために役にたったという人はぜひ、フォロー&スキをお願いします。
ツイッターでもデータマネジメントに係る情報をつぶやいてますので、よろしくお願いします。
コツコツ書いてます。
— よしむら@データマネジメント担当 (@FP92754991) October 28, 2021
データマネジメント知識体系ガイドDMBOK要約・解説|データマネジメント担当 よしむら #note https://t.co/G9R0eeatZd
データマネジメントを学ぶ人が抑えておきたい本
DXを成功に導くデータマネジメント
DXを成し遂げるために必要なデータをどうマネジメントしていけばよいかが書かれている。
データ環境より、セキュリティの観点であったり、プライバシーの観点であったりといった非技術者向けの内容が多く書かれている。
データマネージメントに興味を持った人はまずは読んでみるとデータマネジメントでなすべき概要が理解できる。
実践的データ基盤への処方箋
データ利活用を行うために必要なデータ基盤の考え方と、利活用するためにはデータをどのようにマネジメントしていけば良いかを具体的な例を用いて説明されている。
技術が中心になるので現在データ技術に係る人がデータマネージメントに興味を持った時には、まず手に取ることをおすすめする。
個人データ戦略活用 ステップでわかる改正個人情報保護法実務ガイドブック
個人情報保護法を順守するための基本的な考え方が実務ベースで書かれている。2022年4月に施工される改正個人情報保護法で新たに追加される概念も同様に記載されている。
政府の出しているガイドラインよりも俯瞰的に読めるためデータプライバシーにかかわる人、データを使ったビジネスを推進する人は読んでおくとスムーズに業務が進められる。
データマネジメント知識体系ガイド(DMBOK)
自分も要約・解説記事を書いているDMBOK。データマネジメントに興味を持った人がまず手に取ると挫折することは間違いないほどのボリュームがある。
読めば読むほど味が出てくるので、データマネジメントを進めようとしている人は各家庭に1冊は是非買っておきたい。
データマネジメントが30分でわかる本
本の著者もDMBOKを読むためには非常にボリュームが多く読み解くには苦労するので、かみ砕いた解説書をまとめたと書いてある通り、DMBOKを独自解釈してわかりやすく書かれている。
DMBOKを技術者目線で読み解いた内容になっているので、実践的データ基盤への処方箋と同様データ技術に係る人におすすめする。