【実録】株主数を2年間で約2.3倍にした「バーベキューお肉理論」IR戦略
【はじめに】
こんにちは!初めまして。
「企業と社会のデータをつなげる」をミッションとする会社データ・アプリケーションにて広報・IRを担当している石山と申します。(何をしている会社なのか?詳しくご紹介している記事はこちらをご覧ください)
今回、IR界隈で注目されている「IR系 Advent Calendar 2024」にエントリーすることができ、大変嬉しく思います。実は2023年はエントリー枠がすぐ埋まり、参加を逃してしまった経験がありました。今年こそは!と意気込んで主催の重松さんに予約をオファーしましたが、予約制度はないとのこと。それから1年間、エントリー解禁を心待ちにしていました。そしてついに、念願の枠を確保!
そんなIR系 Advent Calendar 2024のテーマは、こちらも1年間温めていたテーマ
についてです!!
<背景:テーマを選んだ理由>
2023年、IR系イベントに多数参加し、他社のIR担当者の皆様と情報交換をする中で、「あのツールはどうだった?」「この施策の効果は?」といった共通の悩みを抱えていることを強く実感しました。特に、当社のような時価総額100億以下のベンチャーサイズの企業では、リソースが限られる中でどのように成果を出すかが大きな課題です。
そこで、思考錯誤をしながらも、個人株主数を約2.3倍に増やした当社のIR活動の軌跡を共有し、同じような悩みを抱える企業の参考になればと思い、今回の記事を書くことにしました。
【自己紹介と当社IR体制】
私は芸術系大学を卒業後、マスコミや音声認識技術企業での広報を経て、データ・アプリケーションのマーケティング本部に入社しました。広報や制作を通じて人に何かを伝える仕事が好きで、現在は経営企画管理本部にてIRを務めています。実は、IRはほぼ未経験で、最初は決算短信をきちんと読むことすら出来ず、「はじめての財務3表」という本を読み込むところからスタートしました・・・。
また、当社のIR体制は、私と銀行出身の上司という2人3脚で運営しています。「広報のプロ×お金のプロ」、暗中模索ながら、これが功を奏し、それぞれの強みを活かしたIR活動を進めてきました。
【IR活動のフレームワーク】
まず、活動を進める中で気づいたのは、IRは 「広報×マーケティング×営業」 の複合的な要素を持つということです。
具体的には以下の流れです。
認知の拡大(広報)
当社を知らない人に存在を知ってもらう。ファン化(マーケティング)
投資家候補に当社の魅力を感じてもらう。株式購入(営業)
実際に株を購入していただく。
この3ステップがIR活動の基本的な流れであり、これを念頭に施策を設計しました。
【課題の認識】
当社が直面していた課題は以下の3点です。
株式の流動性が低い
株価が低迷している
成長戦略が分かりづらい
これらの課題の根本には、「市場での認知度が低い」という問題があると考えました。そのため、まずはフレームワークのステップ1である認知度の拡大に注力することにしました。
【方針:目指せ時価総額100億】
また、施策の方向性として、以下の方針を掲げました。
個人投資家への注力
個人投資家に対し、わかりやすい情報発信を重視。機関投資家へのアプローチ
国内外の中小型ファンドや独立系ファンドを対象に、当社の成長ポテンシャルを訴求。
【ペルソナ設定】
マーケティングにおいて、重要なペルソナ設定を行いました。ペルソナとは、具体的な状況を想定し、設定する架空の顧客像を指します。当社としては当初、機関投資家の増加を課題としていましたが、機関投資家に買っていただくには、まだ時価総額や流動性がたりません。
その結果、当社のIR活動におけるペルソナとして「当社の事業を理解していただきやすい、IT感度が高めの30~40代男性の個人投資家」を設定しました。このペルソナを想定し、行動やニーズに合った戦略を立てていきます。
【バーベキューのお肉理論作戦】
ここで登場するのが「バーベキューのお肉理論」です。この理論は弁証法に基づき、自分をバーベキューのお肉に見立て、「味付け」や「焼き方」を得意な他者に任せるという発想です。つまり、自分ひとりの力だけでなく、他者の力を上手に活用するという考え方です。
具体的には、次のような施策を実践しています。
影響力のあるインフルエンサーの活用
第三者の視点で当社を紹介していただくことで、信頼性を高めます。投資家が集まるプラットフォームの活用
自社媒体だけでなく、IRnoteマガジンのような多くの投資家が集まる場で情報発信を行います。また、記事や投稿から当社の公式サイトへ誘導する動線を工夫し、さらなる情報提供につなげます。
これにより、情報の拡散力を高め、より多くの人に当社を知ってもらうことを目指しました。
*認知度拡大
費用を抑えつつ、株式関連の媒体にアプローチし、掲載を実現しました。媒体に直接メールや電話で連絡をとり、アポイントを取得します。初回のご挨拶を通じて、事業を丁寧に説明し、媒体特性に合わせたプレスリリースの送付や企画提案を行いました。この取り組みにより、「株探」や「株主手帳」、「ラジオNIKKEI」「日本インタビュ新聞」など多くの媒体への掲載を実現しています。
*WEBマーケティングの活用
発信方法は、WEBマーケティングを中心とした施策にシフトしました。
リソースが限られていることもあり、費用対効果の高いオンラインイベントを活用しています。大手企業であればオフラインイベントでブースを訪れてもらいやすいですが、当社規模の場合は準備工数や当日の対応に比べ、リーチ可能な顧客数が限定的です。一方、オンラインでは準備負担が少なく、より広範なターゲット層に効率よくアプローチできるため、レバレッジが効くと判断しました。
*インフルエンサーマーケティング
ターゲット層と視聴者層が一致する「1UP投資部屋」様にご協力いただき、当社事業を第三者の投資家目線で分かりやすく解説いただいています。また、決算当日には「1UP投資部屋ラジオ」に出演し、視聴者へリアルタイムで情報を発信するなど、インフルエンサーマーケティングを積極的にしています。
*その他で効果的だったIR施策:「キーワードはコスパ💰」
・株式会社フィスコの企業調査レポート
年1回の企業レポート作成に加え、ニュースリリースをYahoo!ファイナンスなどに配信するサービスを活用。タイムリーな情報発信が可能で、コストパフォーマンスが高いと感じています。
・ログミー株式会社のログミーファイナンスでの書き起こし
IRの世界では文字文化が根強いため、決算説明会の内容をログミーファイナンスで書き起こしをしていただいています。この書き起こしもYahoo!ファイナンスに配信されるため、ニュースとして取り上げられるメリットがあります。
・株式会社IR RoboticsのIRTV(決算説明会動画作成)
決算説明会の動画はIRTV様のサービスを利用しています。スタジオに行くだけで「手ぶらで収録」できるため効率的です。動画を通じ、文字だけでは伝えきれない当社の事業内容を分かりやすく発信しています。
・note株式会社のnote
SNSを活用した訴求の一環として、IRnoteマガジンに参画しています。自由度の高いフォーマットで、当社のカラーを活かした記事を発信しています。たとえば、SDGs のマテリアリティが決まるまでのプロセスを公開したり、CM放送をテーマにした記事が反響を呼び、宣伝会議様のイベントに招かれるという効果もありました。また、無料で記事を公開できる点も大きな魅力です。
<加えてお肉を食べやすくするための施策>
「バーベキューのお肉理論」を推進のうえで、お肉を食べやすくし、お肉のつけあわせを添える以下の施策も同時に行いました。
・資本政策(株式分割)
投資単位の引き下げにより投資家層の拡大と流動性向上を図るため、1株につき2株の割合で株式分割を行いました。
・株主優待制度の導入
中長期的に株式を保有していただける株主様を増やすため、株主優待制度を新たに導入しました。
<その他の取り組み>
・インターン制度を導入し、社内活性化、SDGsへの貢献を目指します。
・DX企業としてバーチャル株主総会にもチャレンジしています。
・株主様との積極的な対話を目的に、質疑応答集を作成し、QAステーションにてデータベース形式で公開予定です。
<これから>
いかがでしたでしょうか?
この2年間、試行錯誤を重ねながら推進してきた「バーベキューのお肉理論・IR戦略」は、皆さまの参考になりましたでしょうか。もし参考になりましたら、ぜひ「いいね」をお願いいたします。
個人株主数は増加しましたが、時価総額100億円にはまだ届いていない現状です。
2025年の目標は、どんな状況でも当社を支えてくださる「ロイヤル株主様」の増加です。他社IRの皆さまともコラボレーションを検討しておりますので、その際はぜひよろしくお願いいたします。一緒に美味しい「お肉」を焼いていきましょう!
当社はまだまだ発展途上ではありますが、2025年に向けて株主様との対話を強化し、IR業界全体を盛り上げていきたいと考えています。今後ともよろしくお願いいたします。
12月13日のIR系 Advent Calendar 2024は、マーケットエンタープライズ さんです!こちらもお楽しみに★
<公式サイト>
コーポレートサイト
IRサイト
当記事に関するお問い合わせはir@dal.co.jpまでお願いいたします。
(ご留意事項)
本記事は、情報提供のみを目的として作成しており、有価証券の販売の勧誘や購入の勧誘を目的としたものではございません。