女子ボートレース 攻略プロジェクト発足
「女子ボートレースを攻略できそうな気がするんだよね」
経済学者の先生がとある日の仕事の打ち合わせ後、目も合わせずにぼそっと言いました。私は何か面倒なことに巻き込まれる予感しかしなかったのですが、全く馴染みのない"ボートレース"しかも"女子"と限定しているところが気になってしまいました。その気配を察してか先生は独り言のように言葉を続けました。
「日本で買える競馬や競輪などの公営ギャンブルはパリミュチュエル方式っという人気に応じて分配額、いわゆるオッズが変わる方式なんだ。もちろんボートレース も。控除率を考えるとこの方式で利益を出すのは至難の技だと思うよ。多分このことは君も知っているだろう?」
いつの間にか私の目をしっかり見て問いかけてくる先生。いよいよ面倒な展開なのですが続きが気になった私はついつい頷いてしまいます。それに気をよくしてますますヒートアップする先生。
「みんなが同じ情報と同じ予想を共有する場合、人気が集中し必然的にオッズは下がる。極端な話、全員が同じ考えに至り同じ投票券を買った場合、払い戻しは控除率を考えると0.75倍になる。掛け金は増えない。減るだけ。じゃあ世界中でなぜこの方式のギャンブルが成立するかというとみんな予想や思惑、持っている情報が違うからな訳だ。逆にいうとそれだけみんなが持っている情報と予想の精度にバラツキがあるというなんだけど…」
「けど…なんですか?」
「女子ボートレース はそれが特に顕著だ。それはもう構造が歪んでいると言っていいほどだと思う。さらにとても日本人気質が反映された多分世界で唯一攻略できる公営ギャンブルだと私は思う。興味があったら是非協力してくれないかな。」
「どんな協力をすればいいんですか?」
「女子選手をトレカ並みのシンプルなデータで表してほしい…、全選手を…、後払いで…。」
そんな2020年吉日、女子戦攻略プロジェクトは開始されました。