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AIが香水製造を変革!AIがもたらす香水製造の未来

2019年にブラジルでAIが作った香水が発売され、ニュースとなりました。
香水を作ったのはドイツの香料メーカーであるsymriseで、IBMとの共同研究で開発されましたが、臭覚のないAIが関わったことで話題となりました。
そこで、香水製造で活用されているAIについて、今回はAIが香りを分類し、新しい香水レシピを作成する仕組みについてご紹介します。


1.はじめに

AIを使った香水作成の仕組みには、主にデータ分析と機械学習の技術が活用されています。AIは人間のように匂いを直接認識することはできませんが、香りの成分や特徴をデータとして処理し、分類・予測することが可能です。

2.香りのデータ化(数値化)

AIは香りを、化学的データとして認識しています。

・化学成分の分析
香料(エッセンシャルオイルや合成香料)の化学式や分子構造、揮発性などのデータを数値化します。例えば、「リナロール(Linalool)」「シトロネロール(Citronellol)」といった匂いの成分が、どの程度含まれているかをデータとして記録します。

・官能評価(ヒューマンテスト)との対応付け
調香師(パフューマー)や一般ユーザーの臭覚評価(フローラル、シトラス、ウッディなど)と、化学成分データを紐付けることで、香りの特徴を分類します。

3.香りの分類基準(オルファクトリーピラミッド)

香水の香りは、一般的に以下のような3層の構造(オルファクトリーピラミッド※)で分類されます。

  • トップノート(最初に香る成分:柑橘系、ハーブ系など)

  • ミドルノート(ハートノート)(数分~数時間後に香る:フローラル、スパイスなど)

  • ベースノート(長時間持続する香り:ムスク、ウッディ、バニラなど)

AIはこれらの香りの組み合わせや持続時間をデータとして学習し、バランスを考慮して予測を行います。

※オルファクトリーピラミッド:香水用語集の「香りのピラミッド」をご参照ください。

4.AIによる香水のレシピ生成

AIは、機械学習(特にディープラーニングや強化学習)を活用し、以下のようなプロセスで香水のレシピを生成します。

①既存の香水データの学習
何千種類もの香水の成分データ、ユーザーの評価、販売実績などを学習。

②ターゲットプロファイルの設定
「爽やかでフルーティーな香り」「高級感のあるウッディな香り」など、ターゲットの香りの特徴を指定。

③成分の組み合わせを最適化
AIが香料の組み合わせを試行し、化学的な相性や過去のデータと化学的相性を考慮し、最適な配合を提案。

④仮想シミュレーションと評価
香りの強度や持続時間などをシミュレーションし、人間の臭覚評価データと比較。

⑤試作と人間によるテスト
実際に調香し、最終的な調整を人間が行う。

5.AIを活用した香水開発の事例

SymriseとIBM の共同研究
AI「Philyra」を使い、消費者の好みに基づいた新しい香水を開発。

Givaudan社の「Carto」
調香師がAIを活用し、直感的に香りをデザインできるシステム。

6.まとめ

AIは、香りを直接「記憶」するのではなく、化学成分+官能評価のデータとして扱い、機械学習を用いて分類・予測・創造を行います。香りの分類にはオルファクトリー・ピラミッドが活用され、AIは過去のデータと組み合わせて最適な香りのレシピを提案しています。
次回は、調香師とAIの関係についてご紹介します。

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#香水 、#アロマ、#香り、#香料

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