AIはアニメを鑑賞できるか? チ。 -地球の運動について-第1話をAIで感情分析してみた(ネタバレなし)
『チ。 -地球の運動について-』は、NHK総合、ABEMAなどの動画配信サイトで放送/配信中の2024年秋アニメの大注目作品です。Netflixの今日のTV番組TOP10(日本)では1位(10月8日)です。[16+][暴力]のレギュレーション付きで、壮絶なシーンで始まる第1話ではラファウ、フベルト、ポトツキ、ノヴァクという第1章の登場人物が紹介されました。タイトルに至るアバン回(タイトルが表示される前の導入部の意味)といってもいいでしょう。
AIはアニメを鑑賞できるか?
さて、データ分析ラボのテーマはAIやデータ分析に関する情報やノウハウをお届けすることです。そこで今回は『チ。』を題材に「AIはアニメを鑑賞できるか?」を検討してみます。
もちろん、AIは人間のように笑ったり怖がったりはできませんが、ストーリーを追いかけ、感情の起伏を疑似的には再現できます。また、AIでストーリーを分析することで、原作者、制作者が、視聴者の感情をどう揺さぶろうとしているのか、その巧みさにも迫れるはずです。
下のグラフは、第1話「『地動説』、とでも呼ぼうか」の感情曲線です。「あぁ」「えぇ」などのフィラーを除いた283行のセリフの感情をGPT-4o miniで分析し、グラフ化しました。
折れ線に感情をあてはめる
折れ線グラフの上り、下りをひとつのシーンと捉えると、第1話には計12シーンあるとわかります。シーン1は、00:00〜03:50くらいまでの痛い場面。人によっては痛くてみていられないでしょうが、AIもこのシーンは「苦痛」「苦悩」と感じ取りました。シーン2は学校内、03:50〜07:46あたりまで。ちょうど校内でラファウが調子に乗っている場面です。AIはこのシーンの感情を「自信」「皮肉」と読み取りました。
こんなふうに、AIはストーリーを感情で分割し、シーンとして認識し、シーン別にどんな感情が入り交じっているかを判定できます。この手法で、第1話の12シーンを分析したのが以下です。
00:00〜03:50 苦痛、苦悩 ノヴァクの登場
03:50〜07:46 自信、皮肉 ラファウの登場
07:46〜08:18 驚き、怒り ラファウの性格
08:18〜09:41 厳格さ、期待感 ポトツキの頼み事
09:41〜12:20 混乱、失望 ラファウの葛藤
12:20〜15:17 緊張感、興味 フベルトとの出会い
15:17〜16:32 混乱、恐怖 フベルトの秘密
16:32〜17:05 信頼、期待 フベルトの提案
17:05〜17:43 否定、失望 ラファウの葛藤
17:43〜19:54 興奮、好奇心 ラファウの転向
19:54〜21:50 葛藤 フベルトの問いかけ
21:50〜23:32 探究・挑戦 フベルトの思想
こうして感情面でシーン分けしてみると、第1話はポジティブな感情とネガティブな感情を1〜4分ごとに切り替え、視聴者をタイトルまで引っ張っていく意図があるとわかります。壮絶なシーンで始まってはいますが本当に残酷な絵を見せないのは、「早くこのキツイがシーンが終わってー」と思わせつつ、本当に見るのを辞めさせないための配慮でしょうし、そのあとで主人公の人生が絶頂であると表現することで対比が生まれ、いっきにAパートを見終わってしまいます。Bパートはややネガティブな印象がありますが、その中にも感情がポジティブに動く場面があり、第2話に誘因するよう締めくくっています。
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いかがでしょうか。アニメって、視聴者の心をここまで揺さぶるものなんですね。今回第1話と第2話が同時配信されましたが、第2話の分析は次回です。
©魚豊/小学館/チ。 ―地球の運動について―製作委員会
カバー画像出典:数々の漫画賞を席巻した超話題作、初のアニメ化作品『チ。 ー地球の運動についてー』「ABEMA」で無料独占・見放題最速配信決定!10月5日(土)から毎週土曜日夜24時10分より無料配信開始