銘柄同士の相関分析をClaude analysis toolで~数学者が検証!?
前回記事に引き続き、Claudeのデータ分析機能analysis toolの能力を検証していきます。今回は株式銘柄間の相関分析に挑戦します。
検証の概要
目的:Claudeの分析精度と実用性の検証
方法:既存の統計ソフト(R)との比較
データ:米国市場上場時価総額上位10(2024/11/15時点)
(エヌビディア, アップル, マイクロソフト, アマゾン・ドット・コム, メタ・プラットフォームズ A, テスラ, アルファベット A, アルファベット C, ブロードコム, イーライリリー)
の2023/11/1 ~ 2024/10/31の株価データ
Claudeの設定
左下隅のイニシャル > [Settings] > [Profile] > Enable artifactsを有効化
左下隅のイニシャル > [Feature Preview] > [Analysis tool]を有効化
※今回は有料版で確かめていますが、無料版でも上記の設定を行えば同様の分析ができます。
株価の相関
投資において重要な概念の一つが「相関」です。相関係数は-1から1の間の値を取り、
1に近いほど:2つの銘柄の値動きが似ている
0に近いほど:2つの銘柄の値動きに関係性が薄い
-1に近いほど:2つの銘柄の値動きが逆方向
を意味します。
ポートフォリオ構築において、相関の低い(あるいは負の相関がある)銘柄を組み合わせることで、リスク分散効果が期待できます。
銘柄間の相関を求める
各銘柄の日次リターンを計算し、銘柄同士の相関を分析
相関行列は値の大小を色調で表したヒートマップで出力されていて見やすいです。
濃い青色ほど正の相関が強く、薄い色ほど相関が弱いことを示しています。
統計ソフトRでの出力結果と比較しても、計算結果は正確です。小数点以下4桁まで一致していることが確認できます。
Claudeの出力には、銘柄同士の相関係数に関する解釈も含まれています.
計算結果との齟齬もなく問題ないレベルです.
日次リターン、ボラティリティ
各銘柄の日次リターン、ボラティリティ(値動きの大きさ. 日次リターンの標準偏差で計算)も算出できます
日次リターンとボラティリティを表に
出力結果は以下の通りです:
こちらもRでの結果と比較してみると、日次リターン・ボラティリティともに小数点2位までほぼ正確に計算できました(丸め誤差除く).
検証結果の考察
銘柄間相関の分析から、以下のような興味深い発見がありました:
テクノロジー銘柄間(NVDA, AAPL, MSFT, META等)の強い正の相関
製薬企業(LLY)と他業種との比較的弱い相関
同じ企業の異なる株式クラス(GOOGL, GOOG)間の完全な相関
これらの結果は、業界や企業特性を反映した妥当なものと言えます。
Claude analysis toolでアナリストは不要になる!?
ここまでの結果から、Claude analysis toolによって複数株価の日次推移データから銘柄同士の相関、日次リターン、ボラティリティの算出ができることがわかりました. これらを組み合わせると、ポートフォリオの運用・リスクの分析なども行うことができるでしょう. アナリストの分析仕事は現在のレベルのClaude analysis toolによって代替可能だと考えられます.
まとめ
精度:10株価の相関分析・日次リターン・ボラティリティを統計ソフトRと大きく劣らない精度の分析が可能(小数点2桁までほぼ一致)
ヒートマップ:よる相関性の可視化
示唆:テック銘柄間の強い相関や、製薬銘柄との弱い相関など、業界特性を反映した妥当な結果
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