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【最先端のデータ野球】菊池雄星選手、日米と比べて「データ量が違う」

大リーグ、エンゼルスへの入団が決まった菊池雄星選手が、Pivot公式チャンネルのインタビューに答えていました。その内容は非常に学びの多いものでしたので、今回の投稿では特に「データ」に焦点を当てて、印象的だった部分をシェアしたいと思います。データをどのように活用しているのか、そしてそれが彼の野球人生にどう影響を与えているのか、その奥深い考え方に多くの示唆を得られる内容となっています。

ちなみに、現在「大リーグとデータ」シリーズをNote上で更新しています。MLBのデータや分析方法などに切り込んでいますので、ご興味のある方はこちらのマガジンからどうぞ。

MLBのデータ分析に使ったソースデータとソースコードはKaggle上で公開しています。そちらもご興味のある方は以下のリンクからどうぞ。
MLB Leaderboard 2024
Sabermetrics - Offensive Performance Metrics


日米でのデータ量の決定的な違い

このインタビュー内で、菊池選手はMLBへの移行してからの経験を踏まえて語っています。特に印象的だったのが投球戦略におけるデータの重要な役割についてです。

まずMLBでは、日本とは異なり試合のあらゆる側面に関する膨大なデータをすべて公開しています。全球種、1球1球、ファンも全員がデータにアクセスし見ることができるようになっています。これは、まさにオープンデータの時代に沿っている方針とも言えます。一方で、日本では球団内でしか見ることができないので、菊池選手は両国間のデータ量やその活用方法の決定的な違いを指摘しています。

MLBのピッチングコーチは「目」とデータ

野球はデータの時代に突入しているものの、「目」や「感覚」で勝負することの重要性は今でも変わりません。しかし、MLBではデータと「目」の両方を熟知していなければ、ピッチングコーチを務めることは難しくなっているそうです。両者をバランスよく理解し、状況に応じてどちらを優先するか判断できる能力が、MLBでは最低限求められる条件です。
一方で、日本では利用できるデータの量が圧倒的に少ないため、結果的に「目」や「感覚」に頼らざるを得ない状況が続いています。この差が、選手やコーチのアプローチに与える影響は非常に大きいと言えるでしょう。

毎日データ戦略ミーティング

シーズン中、チームでは毎日1時間の戦略ミーティングが行われており、その内容は対戦相手のデータ分析や統計データに基づいています。選手たちはミーティングで共有されたデータを頭に叩き込み、それを武器に試合に挑むそうです。この1時間のミーティングのうち、半分は投手の癖や傾向を徹底的に分析する時間に充てられています。野手に対しては戦略的に打席に立つための具体的な準備が行われ、相手投手に応じたアプローチを磨き上げる場として機能しています。このように、MLBではデータを基にした準備が勝利の鍵を握る要素の一つとなっていることがよくわかります。

「迷ったときには直観ではなく、データを信じる」

今回のインタビューで特に印象的だった言葉が、次の一節です:

迷ったら直観に従えというが、迷った時点ですでに直観ではない。だから迷った時に頼れるデータを備えておく。

菊池雄星

この言葉は、まさに近年のデータ野球を体現する菊池選手だからこそ出てきたものだと感じます。データを駆使することが当たり前となった現代の野球において、直観や感覚だけに頼るのではなく、迷ったときに戻れる「データ」という確固たる基盤を持つ重要性を見事に言い表しています。この姿勢が、MLBで成功を収めるための秘訣でもあるのでしょう。


正直、エンゼルスに移籍するというニュースを聞いたときは、「え、なんで?」と思わず驚いてしまいました。しかし、彼の野球に対する理論的なアプローチや、常に自分をアップデートし続ける姿勢を見ると、彼ならこの先のエンゼルスを支え、さらなる飛躍へ導いてくれるのではないかと期待が膨らみます。MLBで培った経験とデータ活用の知識が、チームの再建にも大きく貢献することを期待します。


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