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地方データセンターのポイントとは?〜政府の地方都市でのデータセンター整備に向けて

政府が地方にデータセンターを整備するという記事がでていました(下記引用を参照)が、どのようなデータセンターを建設し運用していくか戦略的に考える必要があります。

 通信サービスの利用拡大を見据え、政府がデータセンターの整備に乗り出す。地方都市を中心に5か所程度の有望地を選定し、進出企業や自治体を資金支援する方向だ。デジタル社会の基盤を整備するとともに、大都市に集中しているデータセンターの分散を図る。
経済産業省が月内にも方向性を示し、政府として6月にもとりまとめる成長戦略に盛り込む。(2021/5/26 読売新聞記事

昨今のデータセンター建設の需要は、GAFAなど巨大クラウド事業者向けのハイパースケールデータセンター*とよばれる超大規模なものとなっています。データセンターの建設には構想、計画から完成まで数年かかり、数十~数百億円の投資です。

地方でのデータセンター計画には、以下のポイントを考える必要があるでしょう。

1.今後のマーケット(データセンターの需要)にあっているか

首都圏や近畿圏外の地方でのデータセンターには、今後、どのような需要があるか注意深く分析する必要があります。そして、需要に見合った規模のデータセンターとする必要があります。
(考えられる需要の例)
 ・地域データセンターでの分散クラウド配置
 ・スマートシティの基盤
 ・地域企業・地方公共団体向けのコロケーション需要
 ・BCP、バックアップデータセンター

2.用地、受電容量、ネットワークの確保

データセンター用地選定(特区、補助金などの優遇)・取得や、地域の電力会社からの電力の調達、通信キャリアからのネットワークの確保には時間がかかります。

3.魅力的価値による差別化要素

競業する事業者との差別化も重要です。使いやすさだけでなく、2050年カーボンニュートラル達成に向けた取り組みなどへの先進的な取り組みが評価されるでしょう。
データセンターは非常に大量の電力を消費します。持続可能な社会の実現向けての取り組みはCSRという面だけでなく今後重要な要素となるでしょう。

2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略
・DX推進に伴う、グリーンなデータセンターの国内立地推進、次世代情報通信インフラの整備
・2030年までに全ての新設データセンターを30%省エネ化、データセンター使用電力の一部再エネ化義務づけを検討
(2020年12月経済産業省)

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では、具体的にどのようなデータセンターを構想すべきでしょうか?

モジュール型データセンター:コンポーネントすることで、改善がフィードバックされるため改善の蓄積が期待でき、すでにパーツとして製品化されているため構築が迅速になること、電力効率が高く、必要性に応じたコンポーネントの追加や強化が柔軟にできます。
構築短期化のモジュール設計を極めた大規模/大容量データセンター――IIJ 白井データセンターキャンパス

環境配慮型データセンター:消費電力が高効率なデータセンターは環境にやさしいだけでなく運用コスト(電気代)の削減にもつながります。また、データセンターのカーボンニュートラル化に向けた取り組みも重要です。
さくらの石狩データセンターに見る、高効率データセンターの現在と未来

・IoTやAIを活用したデータセンターの自律運用による運用コスト削減、運用品質向上

参照URL:
1.データセンター建設をトータルサポートするデータセンター建設エンジニアリングソリューション(インターネットイニシアティブ)
2.次世代データセンターの姿(清水建設)
3.データセンター事業立上げ及び建設支援(シーエムプラス)

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*ハイパースケールデータセンターとは、空間、パワー、クーリング、および大規模なデータとクラウドコンピューティングの要件を支えるために必要な技術インフラストラクチャーを提供する巨大環境のことを指します。5,000を超えるサーバーを格納し、平均25MW以上の電力容量を有する1000㎡以上の施設です。(By Colt

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