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データ分析組織のミッション・ビジョン・バリュー | 注目企業の参考事例付き

データ分析の重要性が叫ばれる昨今、多くの企業でデータ分析チームが設立されています。しかし、チームとして最大限のパフォーマンスを発揮し、企業の成長に貢献するためには、「何のために」「どのように」 データ分析を行うのか、明確な指針が必要です。
その指針となるのが、ミッション・ビジョン・バリューです。データ分析チームが、組織全体の目標と連携し、共通認識を持って業務に取り組むために、これらを明確化することは非常に重要です。


なぜデータ分析チームにミッション・ビジョン・バリューが必要なのか?

データ分析チームは、膨大なデータと向き合い、様々な角度から分析を行うことで、ビジネスの課題解決や意思決定をサポートする重要な役割を担っています。
しかし、その過程で、以下の問題が発生する可能性も少なくありません。

  • 分析結果がビジネスに活かされない

  • チーム内での方向性が曖昧になり、非効率な作業が発生する

  • 新しいメンバーがチームに馴染みにくい

そこで、ミッション・ビジョン・バリューを明確にすることで、チーム全体が共通認識を持ち、目指すべき方向性や価値観を共有することができます。

ミッション・ビジョン・バリューを明確にするメリット

【メリット1】チームの存在意義と目指す方向性を明確化し、メンバーのモチベーション向上に繋がる

ミッション・ビジョン・バリューを明確にすることで、チームメンバー全員が「なぜ自分たちは存在するのか」「どこを目指しているのか」「どのような行動指針で進むのか」を共有できます。

特にデータ分析は、成果が見えにくく、モチベーション維持が難しい側面もあります。 しかし、「企業の成長に貢献する」「顧客に最高のサービスを届ける」といった明確な目標を共有することで、メンバーのモチベーション向上とパフォーマンス向上に繋がるでしょう。

これは、日々の業務における迷いやズレを減らし、共通の目標に向かって一体感を持ちながら進む原動力となります。

【メリット2】組織全体への貢献を意識することで、より効果的なデータ分析が可能になる

チームのミッション・ビジョン・バリューが組織全体の目標と整合性を持っている場合、データ分析はより効果的になります。
分析軸を組織全体の目標に合わせ、「どのデータが組織目標達成に貢献しているのか」「チームの活動は組織目標にどのように影響しているのか」を明確に把握できるからです。

【メリット3】採用活動やチーム形成において、共通の価値観を持つ人材確保を促進できる

データ分析の重要性が高まるにつれ、優秀なデータ分析人材の獲得競争は激化しています。

明確なミッション・ビジョン・バリューは、企業文化や働き方を求職者にアピールする上で強力な武器となります。
共感できる価値観を持つ人材が集まることで、チームワークが向上し、定着率向上や採用コスト削減にも繋がります。

注目企業のデータ分析組織のミッション・ビジョン・バリュー実例

メルカリ

メルカリのデータ分析チームは、デジタル庁 Chief Analytics Officerの樫田氏を輩出するなど、IT業界の中でも良くベンチマークされます。

  • ビジョン

    • メルカリの成長を主導するブレインになる

  • ミッション

    • 実行可能なインサイトを提供し、より良い意思決定の支援を行う

    • データの民主化を推し進め、皆の分析力を高めていく

メルカリ データアナリスト組織のミッション・ビジョン

参考資料

リクルート(データ推進室)

リボンモデル・マッチングサービスのビッグテックカンパニー「リクルート」のデータに関わる分野を推進する組織のビジョンです。

  • ビジョン

    • データ推進室の各メンバーがそれぞれの専門性を活かし、リクルートの様々な部門と連携することでデータのもつ価値を最大化する。

    • そして、プロダクトの成長を加速させるとともに、よりよい未来へ貢献し続けます。

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SmartHR

高成長SaaSのユニコーンスタートアップとして有名なSmartHRのデータアナリスト組織のミッション・バリューです。

  • ミッション

    • データの利活用を通じて、組織の意識・行動を変え、事業成長に最大限貢献する。

  • バリュー

    • 解くべき課題を見極めよう

    • 主要因にフォーカスしよう

    • インパクトの大きさにこだわろう

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Sansan(Eight)

俳優 松重 豊さんのテレビCM「それ、早く言ってよ〜」で有名なSansan(Eight)のデータ分析チームのミッションです。

  • ミッション

    • Eightが保有するあらゆるデータを活用して、プロダクト開発とビジネス開発をドライブすることで、Eight事業部のグロースのスピードと質を上げていくこと

参考資料

タイミー

2024年7月に上場したスキマバイトアプリ「Timee(タイミー)」のデータアナリティクス部のミッションです。

  • ミッション

    • 社内のデータ駆動型意思決定を推進しビジネス・プロダクト各方面にてデータ分析を通した事業成長に貢献する

参考資料

STORES

2022年10月に「hey(ヘイ)」から「STORES(ストアーズ)」へ社名変更しました。
STORESのデータ分析チームのミッションは、意思決定スピードと利益への貢献が挙げられています。

  • ミッション

    • データ分析を通じて意思決定のスピードをあげる

    • データそのものを活用し売上向上/コスト削減に貢献する

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マネーフォワード

バックオフィス全般に関するクラウド型サービスを提供するマネーフォワードのミッションです。
主にプロダクト開発への貢献を見据えたミッションのようです。

  • ミッション

    • データをサービス作りに生かし、よりUser Focusな顧客体験を実現すること

    • AI・機械学習を活用した非連続的な提供価値を創りだすこと

参考資料

データ分析組織のミッション・ビジョン・バリュー策定のポイント

上記のような企業の事例を参考に、自社のデータ分析組織のミッション・ビジョン・バリューを策定する際のポイントは以下4点が挙げられます。

1. 企業理念・ビジョンとの整合性

データ分析組織は、企業全体の目標達成に貢献するために存在します。
そのため、データ分析組織のミッション・ビジョン・バリューは、企業全体の理念やビジョンと整合性が取れている必要があります。

<具体例>
企業理念:「革新的な技術で社会に貢献する」
データ分析組織のミッション: 「データ分析を通じて、新たな顧客価値を創造し、社会の発展に寄与する」

上記のように、企業理念とデータ分析組織のミッションが連携していることで、組織全体が同じ方向を向き、シナジーを生み出すことができます。

2. 具体性と実現可能性

抽象的な表現ではなく、具体的な行動指針となるような、実現可能な内容であることが重要です。

<悪い例>
ミッション:「データで世界を変える」
ビジョン:「データ分析のリーディングカンパニーになる」

上記のような抽象的な表現では、メンバーは何をすればいいのか具体的に理解できません。

<良い例>
ミッション:「顧客行動分析に基づいた、最適なマーケティング施策を実行し、売上目標達成に貢献する」
ビジョン:「3年以内に、データ分析に基づいた新サービスを開発し、新規顧客獲得数〇〇%増を目指す」

このように、具体的な数値目標や期限を設定することで、メンバーが共通認識を持ち、行動に移しやすくなります。

3. メンバーの参画

ミッション・ビジョン・バリューは、トップダウンで決めるのではなく、メンバーの意見を反映させることで、より共感を得やすく、浸透しやすいものになります。

<具体的な取り組み例>
・ワークショップやアンケートを通じて、メンバーから意見を収集する。
・策定プロセスをオープンにし、メンバーが自由に意見交換できる場を設ける。
・決定事項とその理由を明確に伝え、メンバーの理解と納得を得る。

メンバーが参画することで、主体性や帰属意識が高まり、組織全体のパフォーマンス向上に繋がります。

4. 定期的な見直し

ビジネス環境や組織の状況は常に変化していくため、策定したミッション・ビジョン・バリューも、定期的に見直しを行い、常に最適な状態を保つことが重要です。

<見直し頻度の目安>
・1年に1回程度
・大きな組織変更や事業戦略の転換時

<見直しポイント>
・現状のミッション・ビジョン・バリューが、組織の現状や方向性に合致しているか。
・メンバーの意識や行動に、変化が見られるか。
・社内外におけるデータ活用動向や最新技術を踏まえ、改善点はないか。

定期的な見直しを行うことで、変化に柔軟に対応できる組織体制を構築し、データ分析を通して、持続的な成長を実現できるようになります。

文末

データ分析組織がその真価を発揮し、企業の成長に貢献するためには、明確なミッション・ビジョン・バリューに基づいた組織作りが欠かせません。

ぜひnoteで紹介した内容を参考に、自社のデータ分析組織のミッション・ビジョン・バリューを策定し、組織の強化、そして企業のさらなる発展を目指しましょう。

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