![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/157671062/rectangle_large_type_2_c1dd378cf52a0e035688f482e70e6f47.png?width=1200)
データ分析組織のミッション・ビジョン・バリュー | 注目企業の参考事例付き
データ分析の重要性が叫ばれる昨今、多くの企業でデータ分析チームが設立されています。しかし、チームとして最大限のパフォーマンスを発揮し、企業の成長に貢献するためには、「何のために」「どのように」 データ分析を行うのか、明確な指針が必要です。
その指針となるのが、ミッション・ビジョン・バリューです。データ分析チームが、組織全体の目標と連携し、共通認識を持って業務に取り組むために、これらを明確化することは非常に重要です。
なぜデータ分析チームにミッション・ビジョン・バリューが必要なのか?
データ分析チームは、膨大なデータと向き合い、様々な角度から分析を行うことで、ビジネスの課題解決や意思決定をサポートする重要な役割を担っています。
しかし、その過程で、以下の問題が発生する可能性も少なくありません。
分析結果がビジネスに活かされない
チーム内での方向性が曖昧になり、非効率な作業が発生する
新しいメンバーがチームに馴染みにくい
そこで、ミッション・ビジョン・バリューを明確にすることで、チーム全体が共通認識を持ち、目指すべき方向性や価値観を共有することができます。
ミッション・ビジョン・バリューを明確にするメリット
【メリット1】チームの存在意義と目指す方向性を明確化し、メンバーのモチベーション向上に繋がる
ミッション・ビジョン・バリューを明確にすることで、チームメンバー全員が「なぜ自分たちは存在するのか」「どこを目指しているのか」「どのような行動指針で進むのか」を共有できます。
特にデータ分析は、成果が見えにくく、モチベーション維持が難しい側面もあります。 しかし、「企業の成長に貢献する」「顧客に最高のサービスを届ける」といった明確な目標を共有することで、メンバーのモチベーション向上とパフォーマンス向上に繋がるでしょう。
これは、日々の業務における迷いやズレを減らし、共通の目標に向かって一体感を持ちながら進む原動力となります。
【メリット2】組織全体への貢献を意識することで、より効果的なデータ分析が可能になる
チームのミッション・ビジョン・バリューが組織全体の目標と整合性を持っている場合、データ分析はより効果的になります。
分析軸を組織全体の目標に合わせ、「どのデータが組織目標達成に貢献しているのか」「チームの活動は組織目標にどのように影響しているのか」を明確に把握できるからです。
【メリット3】採用活動やチーム形成において、共通の価値観を持つ人材確保を促進できる
データ分析の重要性が高まるにつれ、優秀なデータ分析人材の獲得競争は激化しています。
明確なミッション・ビジョン・バリューは、企業文化や働き方を求職者にアピールする上で強力な武器となります。
共感できる価値観を持つ人材が集まることで、チームワークが向上し、定着率向上や採用コスト削減にも繋がります。
注目企業のデータ分析組織のミッション・ビジョン・バリュー実例
メルカリ
メルカリのデータ分析チームは、デジタル庁 Chief Analytics Officerの樫田氏を輩出するなど、IT業界の中でも良くベンチマークされます。
ビジョン
メルカリの成長を主導するブレインになる
ミッション
実行可能なインサイトを提供し、より良い意思決定の支援を行う
データの民主化を推し進め、皆の分析力を高めていく
![メルカリ データアナリスト組織のミッション・ビジョン](https://assets.st-note.com/img/1728874133-6Xsy9Pkq0HtrIl4Bhb2vUDfN.png?width=1200)
参考資料
リクルート(データ推進室)
リボンモデル・マッチングサービスのビッグテックカンパニー「リクルート」のデータに関わる分野を推進する組織のビジョンです。
ビジョン
データ推進室の各メンバーがそれぞれの専門性を活かし、リクルートの様々な部門と連携することでデータのもつ価値を最大化する。
そして、プロダクトの成長を加速させるとともに、よりよい未来へ貢献し続けます。
参考資料
SmartHR
高成長SaaSのユニコーンスタートアップとして有名なSmartHRのデータアナリスト組織のミッション・バリューです。
ミッション
データの利活用を通じて、組織の意識・行動を変え、事業成長に最大限貢献する。
バリュー
解くべき課題を見極めよう
主要因にフォーカスしよう
インパクトの大きさにこだわろう
![](https://assets.st-note.com/img/1728913920-CNr58lhBxefT1t2s6KIASYoy.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1728913928-ghfjxd7EPGVycALzaWr0e8vt.png?width=1200)
参考資料
Sansan(Eight)
俳優 松重 豊さんのテレビCM「それ、早く言ってよ〜」で有名なSansan(Eight)のデータ分析チームのミッションです。
ミッション
Eightが保有するあらゆるデータを活用して、プロダクト開発とビジネス開発をドライブすることで、Eight事業部のグロースのスピードと質を上げていくこと
参考資料
タイミー
2024年7月に上場したスキマバイトアプリ「Timee(タイミー)」のデータアナリティクス部のミッションです。
ミッション
社内のデータ駆動型意思決定を推進しビジネス・プロダクト各方面にてデータ分析を通した事業成長に貢献する
参考資料
STORES
2022年10月に「hey(ヘイ)」から「STORES(ストアーズ)」へ社名変更しました。
STORESのデータ分析チームのミッションは、意思決定スピードと利益への貢献が挙げられています。
ミッション
データ分析を通じて意思決定のスピードをあげる
データそのものを活用し売上向上/コスト削減に貢献する
参考資料
マネーフォワード
バックオフィス全般に関するクラウド型サービスを提供するマネーフォワードのミッションです。
主にプロダクト開発への貢献を見据えたミッションのようです。
ミッション
データをサービス作りに生かし、よりUser Focusな顧客体験を実現すること
AI・機械学習を活用した非連続的な提供価値を創りだすこと
参考資料
データ分析組織のミッション・ビジョン・バリュー策定のポイント
上記のような企業の事例を参考に、自社のデータ分析組織のミッション・ビジョン・バリューを策定する際のポイントは以下4点が挙げられます。
1. 企業理念・ビジョンとの整合性
データ分析組織は、企業全体の目標達成に貢献するために存在します。
そのため、データ分析組織のミッション・ビジョン・バリューは、企業全体の理念やビジョンと整合性が取れている必要があります。
<具体例>
企業理念:「革新的な技術で社会に貢献する」
データ分析組織のミッション: 「データ分析を通じて、新たな顧客価値を創造し、社会の発展に寄与する」
上記のように、企業理念とデータ分析組織のミッションが連携していることで、組織全体が同じ方向を向き、シナジーを生み出すことができます。
2. 具体性と実現可能性
抽象的な表現ではなく、具体的な行動指針となるような、実現可能な内容であることが重要です。
<悪い例>
ミッション:「データで世界を変える」
ビジョン:「データ分析のリーディングカンパニーになる」
上記のような抽象的な表現では、メンバーは何をすればいいのか具体的に理解できません。
<良い例>
ミッション:「顧客行動分析に基づいた、最適なマーケティング施策を実行し、売上目標達成に貢献する」
ビジョン:「3年以内に、データ分析に基づいた新サービスを開発し、新規顧客獲得数〇〇%増を目指す」
このように、具体的な数値目標や期限を設定することで、メンバーが共通認識を持ち、行動に移しやすくなります。
3. メンバーの参画
ミッション・ビジョン・バリューは、トップダウンで決めるのではなく、メンバーの意見を反映させることで、より共感を得やすく、浸透しやすいものになります。
<具体的な取り組み例>
・ワークショップやアンケートを通じて、メンバーから意見を収集する。
・策定プロセスをオープンにし、メンバーが自由に意見交換できる場を設ける。
・決定事項とその理由を明確に伝え、メンバーの理解と納得を得る。
メンバーが参画することで、主体性や帰属意識が高まり、組織全体のパフォーマンス向上に繋がります。
4. 定期的な見直し
ビジネス環境や組織の状況は常に変化していくため、策定したミッション・ビジョン・バリューも、定期的に見直しを行い、常に最適な状態を保つことが重要です。
<見直し頻度の目安>
・1年に1回程度
・大きな組織変更や事業戦略の転換時
<見直しポイント>
・現状のミッション・ビジョン・バリューが、組織の現状や方向性に合致しているか。
・メンバーの意識や行動に、変化が見られるか。
・社内外におけるデータ活用動向や最新技術を踏まえ、改善点はないか。
定期的な見直しを行うことで、変化に柔軟に対応できる組織体制を構築し、データ分析を通して、持続的な成長を実現できるようになります。
文末
データ分析組織がその真価を発揮し、企業の成長に貢献するためには、明確なミッション・ビジョン・バリューに基づいた組織作りが欠かせません。
ぜひnoteで紹介した内容を参考に、自社のデータ分析組織のミッション・ビジョン・バリューを策定し、組織の強化、そして企業のさらなる発展を目指しましょう。