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蔵元日記vol.531【WEOY世界大会への参加記】

安倍さんの暗殺事件で日本だけでなく世界がショックを受けたこの数週間でしたが、無情にも時は流れ様々なことが起こります。今回は、本来事件の前に書かなければいけなかった、モナコで開催されましたWEOY(世界アントレプレナー年次大会)の参加記について書きます。

それは特別な体験でした。このアントレプレナーとは起業家と訳されることが多いと思いますが、ただ単純に起業したからこういわれるのではなくこの大会において選ばれているのは
自らの人生において、企業や社会に対して、変革をしなければどうにもならない自らの心の奥から突き動かされる」
ような衝動に自らの起業家人生を捧げている人たちです。

そんな起業家がアフリカ・ヨーロッパ・南北アメリカ・アジアなど世界中から集まりその年の代表者を選ぶのです。モナコの街を歩いていてもその各国代表たちと何人も出会うのです。
また、街のあちこちに世界から選出された代表のフラッグがかかっています。(カジノ・ド・モナコから一本上がった通りに私のフラッグもはためいていました) この体験は言葉に説明できないものでした。

残念ながら「世界大会で優勝して」とはならなかったのですが、このEOYの参加を通して大きな経験と学びを得ることができました。
(ちなみに世界一はアルゼンチンのガストンさんで、アメリカを中心に4千人の従業員を抱えて、主に後進国の顧客に教育することによりインターネット広告への道を開くことが目的の事業をされている方でした)

WEOY2022参加者たちと獺祭を。

日本代表に選ばれた時には
「獺祭が純米大吟醸というそれまで日本にゼロに等しかった市場を作り出し、それと同時にその企業活動がコメ農家の育成につながり、社会の持続可能性にもつながっている」
ことを評価していただいたと単純に思っていました。
しかし、昨年の日本代表選出からここまでの間に考えを深める中で、「手間」という概念にたどり着きました。「手間」は無用なものではなくこれからの科学の発展した社会にとってとても大事なものです。

「美味しい」は世界共通のコミュニケーションツール

この「手間」という概念をさらに推し進め、それを獺祭の品質の真価という事を通して社会にお返しすることが私の大事な一生の仕事と思い至りました。そんな体験をさせて頂いた6月の一週間でした。

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