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On Cloudstratus

 長距離シーズンも佳境に入り、走行距離はゆるゆると延びている。11月には初のハーフマラソンを迎え、1:16'台でのゴールを果たした。普段のジョグを延ばして耐性を作っていたにしてもよく出来たタイムだったと思う。しかし、そのタイム自体には満足出来ない。やはり、自分より強い選手は当たり前にもっと早いタイムでフィニッシュしている。そこに憧れて、そこを目指さないと強くはなれないし、やってても楽しくない。

 話は逸れたがとにかく10月以降は距離をだいぶ踏んできた。月平均は250km後半を維持し、普段のイージージョグも10kmは軽くこなせるし、1hのジョグも時間的長さを感じずに走ることができるようになった。同時にシューズの劣化も早くなった。8月中に買った、Hokaoneone Mach5は有能なミッドソールと通気性の高いアッパーが魅力的で正直ジョグから軽いPRであればこなせる万能シューズであった。

Hokaoneone Mach5 


ただ軽さを追求したためかソールがEVA丸出しで、なんらアウトソールと呼べる補強がなかったのは残念な点だった。ミッドソール「PROFLY+」がかなり柔らかいために多少アウトソールをつけても問題ないのでは?と思うのだが、Hokaoneoneのシューズはいまいま思えば、スピードモデルのほとんどがアウトソールなしにデザインされていた。確かにミッドソールと比較すれば硬めのアウトソールであったが、消耗が激しかったと感じざるを得ない。特にロードではそれが顕著であった。また、その消耗具合に対して、高価格な点がネックでもある。クーポン使用で16'000円で購入したが、定価であれば17`600円と少々強気な値段設定になっている。確かに唯一無二なシューズであることには間違いないのだが、いかんせんコストパフォーマンスが良いとは言えない点が残念だ。

 またまた話が回れ右をしてしまったが、本題は「On [🇨🇭] Cloudstratus」

On Cloudstratus


新たに普段使いもできて、イージーの幅も利くシューズを探していた。
以前からそのデザイン性の高さで気になっていた「On」。独自特許を持つ「Cloudtec」という見た人誰もが一度は「なんだあれ?」と興味を惹かれる穴の空いた構造のミッドソール、ユーズシーンを広げる多様かつ多彩なシューズデザイン。カジュアルからフォーマル、ランニングからトレイルまでユーラシア大陸ばりの広大なニーズに応えるその姿勢は、他のメーカーにはない強みであることは間違いない。しかし、まだまだシェアが低いのでは?と思ってしまう一面もある。SNSインフルエンサーである三津家さんも履かれてはいるが、あまり注目されていないというのも私観として感じている。正直それもそのはず、多様なニーズに応えることは、ある意味での汎用性が広がるということ。特異性を高めたランニングシューズに勝ることは難しい。

と思っていた。全然そんなことなかった。これはまだファーストインプレッションの段階だが、まるっきり「ランニングシューズ」に+α「デザイン性」だ。両方を両立・均等にしようとするあまりニーズへのアンサーがブレて、迷走しているようなことは全く無かった。ことごとく良い意味で期待を裏切ってもらった。「すごいなぁ」という心からの感嘆が出るのに一呼吸も必要なかった。たった一回足を入れただけでOnのファンになってしまった。

 感傷リプレイはここまでにして、改めて細かなレビューをしていく。[あくまでファーストインプレッションであることを忘れずに。これからのさらなる嬉しい裏切りを期待したい]

  • ミッドソール…クッション 9/10
    さすがの[Cloudtec]2層、ごつごつした容姿からは信じられないぐらいフニフニした柔らかな弾力を生んでいる。それらを、前足部は多層多量に、後足部は多層少量にすることで、バランスの取りやすさ、バウンド性に大きく貢献している。弾むところは弾み、軸を作るところはブレず。なんとも言えない絶妙な安定性とバウンド性を両立している。
    これは、ミッドソールに搭載されている「Speedboard」というしっかりと強度を持ったプレートの効果によるものでもあるのだろう。加わった推進力を余すことなく、前に流す。気持ちのいいライド感を生む。
    ロッキング構造に近いのか、足を前に転がしていくと、およそMP関節あたりから「カックン」とした推進力の補助をしてくれる形状にもなっている。
    また、今回は「On Tokyo Flagship」にて購入させていただいたのだが、店員の方も履かれていて、「ずっと立っていても疲れない」とのコメントをしていた。やはり、素晴らしくデザインされた安定性は誰もが驚嘆し、依存してしまうものなのだろう。

  • アウトソール…グリップ 6/10
    ここに関しては、正直言葉のままだがあまり褒めようがない。路面によりけりだとは思うが、「うーん。まあまあ」が感想だ。ただこれは、良い悪いどちらの意味でも捉えることができる。良く言えば無駄なグリップはない。路面に吸い付くような高すぎるグリップは、無駄な力感やダメージの原因になるだろう。また、たたいて走るようなランナーにはむしろスムーズな脚運びをサポートしてくれる。ただ、雨のシーンではどうなるか。特にマンホールの上なんかを踏んでしまった時には、かっ滑ってしまうのではないだろうか。これは、雨の日に履いてみての楽しみにしておく。劣化の具合も後日更新に。

  • アッパー…通気性 8/10
    ここにもOnのテクノロジーが詰まっていた。On店内には、モニュメントとして(アートとして?)テクノロジーを実感できるように拡大・視覚化させたブースがある。[Speedboard]というミッドソールに搭載されているシューズごとに異なる強度のプレート。前述した独特な穴を使ったソール[Cloudtec]。通気性・防水性、それぞれに特化したアッパー。それぞれが確実にテクノロジーを直感的に認識できるようにデザインされていて、Onの「魅せる」うまさをここでも痛感させられた。
    アッパーは、薄く二重構造のエンジニアードメッシュ。シュータンとアッパーの一体型で、中足部のアーチサポートが必要な部分には、固めで補強をした別皮のアッパーがある。サポート感は間違いなく高い。無駄にフィットしすぎず、ゴワつかず。ヒールカウンターも強固で、まるで誰かが踵をがっちりとつかんでいるような感覚になる。ここにも安定性の高さの理由があるのだろう。街履きにも、トレイルにも参入できる理由が分かるアッパーテクノロジーの高さがそこにはあった。

 半分はHokaoneoneの感想になってしまった。正直かなり気に入っていたために愛着はあったし、内心「次もこのシューズかなぁ」と思っていた。が、今回のOnへの試みは、間違いなく有意義なものとなった。Cloudstratus以外にも多数のシューズを試させていただいた。そこかしこにOnの魅力を感じたし、Onだけにしかないテクノロジーや、構造、スタンスからは多くのインスピレーションと気づきを受けた。この機会を与えてくれた友人に感謝している。やはり新たな領域に参画、挑戦していくことは不安や心配が付きものだが、その先にはさらに楽しみを加速させるサプライズが待っている。


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