作文試験対策に作った予定稿が、日の目を見ない件について。

 最近、ラノベに手を出した。ずーっと読んだことがなかったのだが、食わず嫌いは良くないと思って、転生ものの古典とも言われる「無職転生」を見始めた。
 おもろいやん!でも、すけべの香りが強めな場面があるので、親とは見たくない、絶対にだ。ストーリー展開は割と早いし、何より滑らかだ。はあ?と引っ掛かる場面があまりない。
例えるならフローリング。クイックルワイパーでスイスイすすめる。そして理想的に光を反射して眩しい。夢がある。

 まあそんな感じでラノベに影響されて、それっぽいタイトルをつけるのにハマっているのだ。〇〇な件について。とか、転生したら〇〇でした、とか。いいよね、音がいい。

 そう、音はいい。にも関わらず!現実問題よくない!!作文対策、頑張ってしたのに!下書きを事前に作っておいたのに!全然使わないんだが?あれ?私の半日の努力は???

 頑張ったら褒めて〜という人間なので、ここいらでしっかり自己顕示していきたいと思います。どうも自己承認欲求バリ高子ですが、なにか?

 今回私が作った作文は完全フィクションだ。タイトルは、

「洗脳」


「間山信二様、

お世話になっております。
科学未来大学3年生の畑中リサと申します。
先日はお時間下さりありがとうございました。実はOB訪問をするのは初めてで、非常に緊張していました。間山様でなければこんなにお話できなかったと思います。
その時に伺った「内定までの最短距離!出版就活セミナー」ですが、ぜひ参加したいです。参加には紹介状が必要とのことですが、間山様にお願いしてもよろしいでしょうか。
どうぞよろしくお願い致します。

科学未来大学
文学デザインサイエンス学科
3年 畑中リサ」


「畑中様、

メールありがとう。
いいよ、そんなにかしこまらなくて(笑)
畑中さんとはぜひ一緒に働きたいと感じたので、特別に紹介状を書きます。
本人の署名と印鑑が必要だから、〇月●日18時にチャルメホテルのロビーに来てもらえるかな。
よろしくね。

千間出版
第三編集部
間山信二」

 「釣れました!間山信二、本名山田洋一、〇月●日18時にチャルメホテルのロビーにて畑中と接触予定!」
「よし!このセミナー運営団体は、出版社を目指す就活生を狙うカルト集団だ。原因と結果の見えにくい出版就活を利用して、学習と称し誘拐・洗脳している。山田はその主要メンバーである可能性が高い。いいか、捜査一課の名にかけて逮捕するぞ!」
「「「了解!!」」」
 対策室を飛び出した同僚を見送ると、畑中リサ巡査部長はため息をついた。女子大生を装うとはいえ、香水をつけたのは失敗だった。甘ったるくて吐きそうだ。
 むすっとした彼女に警部が顔をしかめる。
「何が不満なんだ、畑中。」
「就活って嫌ですね。毎年みんな苦しむのに、何も変わらない。」
「なんでこんなに就活が大変なのか知ってるか。」
「サイナビが儲かるからじゃないんですか。」
「学生を、会社のいう事を聞く人間に矯正させるためさ。」
なんてな!と笑う警部を、畑中は茫然と見送った。


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