東方Projectの月の都を聖地巡礼したいから月面ツアーの展示をやっている日本科学未来館に行ってきた
東方Projectの聖地巡礼地といえばどういったところを思い浮かべるでしょうか。妖怪の伝承が残る土地、神様を祀る神社、背景と同じ風景の場所などでしょうか。
私は東方儚月抄や東方紺珠伝が好きなので、あの場所に行きたいです。
そう、月です。
…といっても「よし行くか!」と言ってすぐ行ける場所ではないし、なんなら私が生きている間に月に行く機会が一度もない可能性もあります。正直、この聖地巡礼はかなり諦めモードです。
それはそれとして、久しぶりにまとまった休みが取れた先日の話。せっかくだからどこか行きたいなーと思って興味ありそうな施設などを調べていました。そこで見つけたのがこの展示企画。
「♪月面ツアーへようこそ」だー!
「これは久しぶりのまとまった休みを消費するのにふさわしい展示だ!」「月に聖地巡礼できる可能性があるか分かるかも?」「もし聖地巡礼するとしたらどんな感じになるのかな?」「東方儚月抄や東方紺珠伝の考察に役立つ情報があるかも?」と思い、さっそく行ってきました。
ちなみに場所は日本科学未来館でゆりかもめで行けるので、ビックサイトでのイベント関連でついでに寄れるかも。でも10時~17時なのでイベントと被りやすいかも。今週末の5月7日はちょうど例大祭がありますね。
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時は2040年。月に行くまで4日間。
その月面着陸計画の名はアルテミス計画。アルテミスはギリシャ神話の月の女神で、東方関連で言うとヘカテーと同一視されてたりする。(ヘカテーはヘカーティア・ラピスラズリの元ネタ)
地球を飛び立った宇宙船はいったん月周回ステーションとドッキングする。そして月着陸船に乗り換えて月面着陸しに行く。帰りはまた月着陸船から月周回ステーションに戻り、月周回ステーションから分離した宇宙船で地球に戻る。月周回ステーションにはカフェテラスとかサテライトアイスコーヒーとかあるかなあ。(大空魔術のブックレットに出てくる奴です。♪衛星カフェテラス)
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ということで乗り換えをはさんで月面基地へ到着。
月では当然ながら地上と環境が全く異なる。
まず重力が小さい。
高いジャンプができてたーのしー!と思いきや、体が重力で固定されづらく体の慣性や足と床の摩擦を利用して押したり引く動作で力をかけにくいらしい。さらにトイレでは便秘になる人もいるらしい。確かに言われてみれば排泄って重力めっちゃ使ってるな。あと筋力が衰えるため毎日ストレッチしないといけない。私がすごく苦手な奴。
ということで生活用品は基本重力に頼らない。食器は壁に貼り付けるタイプだったり、ガス圧で書くペンだったり。
重力って予想以上にいろんなところで大事なんだな。
解決策の一つとして建物を20秒に1周回転させて遠心力で重力相当の力を生じさせる「ルナグラス」構想というのもある。これが実現すれば月に何年も暮らすこともできるそうだ。さらにそこに地球の生き物を移す「コアバイオーム」の計画もある。完全にSFの世界だ。
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食事は精神状態に大きく関わるため、おいしい食事が並んでいる。一方で、食材は何でも用意できるわけではなく、一部の作物や細胞培養肉やユーグレナのような藻類がある。植物はLEDの光と私たちの排泄物などで育てる。資源が限られているのでまあそうなるよね。
ちなみに売店で売ってる宇宙食のエビグラタン味を食べたらおいしかった。こういうのは高いけど経験値を買ったと思えば安いもの。
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地上との通信には片道1.3秒、往復で2.6秒かかる。めっちゃラグいので使う機会は少なそう。ということは地上とインターネットを繋げるのも難しそう。阿部寛のホームページもさすがに時間がかかるかもしれない。強制インターネットやめろ。
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そして地上と大きく違うのは昼夜の時間。学校で月の公転とかで習ったかもしれないが、月は1か月で地球を一周する。つまり太陽の向きも約1か月で1周する。つまり昼と夜が入れ替わるのに約1か月かかる。ということで、
月の1日=地上の29.5日=708時間
締切に追われている人は月に行くことをオススメします!!
たぶんインターネットも繋がらないので集中できます!!
まあ室内であれば24時間単位で消灯時間が決まっていそうだけれども。
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そして月には大気が無いことによって起きる危険性がある。
隕石が音もなくそのままの弾丸以上の速度で落ちてくる。被弾したらたぶん即死。建物にぶつかっても相当な被害が出るだろう。
放射線や太陽光線がそのまま降り注ぐ。月の民ってそういう放射線太陽光線カットボディクリームとか塗ってるのかな。
さらに寒暖差がすごい大きい。日向は120℃、日陰はー170~ー70℃になる。月の都は快適な気温らしいのでそこら辺の対策はしてそう。
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宇宙で大切な資源となるのが水。月面上に水があるかどうかはまだわかっていないが、その探査計画である「LUPEX」が進んでいたり、水が存在するとしたらどこにあるのかは予測されていたりする。それが月の南極やクレーターで常に影となっている永久影などだ。日向では蒸発し日陰では凝固するため集まってくると思われる。
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東方Projectで登場した月の地名は実際の月の地名からとってきている。これに関しては私が発表した「月の民の東方紺珠伝」でまとめたスライドで説明しよう。
最後の画像の「嵐の大洋→賢者の海」は漫画版東方儚月抄では海に潜って辿り着いていることから、地球における日本からブラジルのように月の内部を通って逆側に出ていると考えた。
この描写と繋がる話がこの展示であったので紹介したい。
「静かの海」と「嵐の大洋」と「賢者の海」には”縦穴”があるのだ。
月にはクレーターと呼ばれるくぼみがたくさんあるが、この縦穴はクレーターとは異なる。それぞれ溶岩トンネルに繋がっていると考えられているが、お互いの縦穴が繋がっているか分かってない。
しかしこの縦穴が繋がっているとするなら月の内部を通る「嵐の大洋→賢者の海」の道筋に納得がいく。この話は私が「月の民の東方紺珠伝」の発表をしたときには知らず、ここで初めて知ってものすごく納得がいった。ZUN氏はこの縦穴を知ったうえで「嵐の大洋→賢者の海」というルートを話に盛り込んだのだろうか。
とにかく、この縦穴の内部はとても気になる。どうなっているのか今後の調査に期待したい。
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ところでこの縦穴を見つけたのはJAXAの月周回衛星「かぐや」である。他にも月面探査における大きな実績を残したレジェンド的な衛星や探査機があり、その名前は東方Projectに関わるものも多い。展示で名前が出てきた一部を紹介する。(ここら辺は詳しく語ると長くなるうえに他に有識者がいると思うので本当に聞きかじった程度に一部だけ紹介する)
まずは月の裏側の撮影に成功したレジェンドを紹介する。
1959年 旧ソ連の「ルナ3号」が月の裏側を撮影
1968年 アメリカの「アポロ8号」の船員が月の裏側を観察
2007年 日本の「かぐや」が月の表裏の鮮明な写真を撮影
「ルナ」は月を意味する言葉で、東方Projectで言えば「ルナティック」の語源、「アポロ」はクラウンピースのスペルカードの「フェイクアポロ」、「かぐや」は竹取物語の登場人物の名前で東方Projectでは「蓬莱山輝夜」として登場する。
次は月面着陸に成功したレジェンドを紹介する。
1969年 アメリカの「アポロ11号 イーグル」が有人月面着陸に成功
2019年 中国の「嫦娥4号」が月の裏側に着陸
「アポロ11号 イーグル」の着陸したことを伝えた英文は日本語で「鷹は舞い降りた」と意訳され東方Projectでは曲名の「♪兎は舞い降りた」で引用されている。また着陸した場所は「静かの海」であり、東方紺珠伝の5面6面の舞台である。
「嫦娥」は中国の伝説上の人物で東方Projectでも「嫦娥」として登場する。(なお東方Projectの嫦娥は名前だけで出てきていて容姿は分からない。)「嫦娥4号」は着陸した後に「玉兎2号」という月面車を走らせている。中国の伝説では「嫦娥」に「玉兎」が仕えているものがあり、東方Projectでも嫦娥に玉兎は仕えている。
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ここまで実績を残してきた月面探査機について話したが、最近話題になったこの月面探査機についても話があったので触れておこう
2023年4月26日 民間の「HAKUTO-R」が月面着陸予定だった
残念ながらこの月面着陸のミッションは直前で通信が途絶え完了できなかった。しかしミッション完了に至るまでのSuccess1~10までのうち、Success8完了しており、民間による宇宙開発は間違いなく進展している。
秘封倶楽部の世界のような、一般人でも月面旅行できる未来は現実として近づいているようだ。(ツアーの費用も秘封倶楽部の世界と同じように高額かもしれないが…)
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さて、月面に行ったら見てみたいのが地球である。なぜなら、東方儚月抄においても東方紺珠伝においても月面の空に浮かぶ地球という構図が用いられており、月面にいることを表現する代表的な風景であるからだ。
特に東方紺珠伝では静かの海の水面にも地球が写っており、その道中曲の名の通り「故郷の星が映る海」となっている。
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とまあ、こんな感じで東方Projectや秘封倶楽部にちょっと関係したりしなかったりする話があったりして展示を楽しみました。東方Projectや秘封倶楽部とあまり関係しない話はこの記事には載せてませんが、そういった話も月面ツアーというロマンあふれる話なので満足度は高かったです。(あと私がかつて科学大好き少年だったのもある)
2040年まで約20年。月の都を聖地巡礼できる未来は来ているのだろうか。費用や身体の適性の都合上で月面に行くことは出来なくても、そうなった未来まではなんとかして生きたいものである。