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緩やかな空気の楽園-ネタバレなしで好きな作品をお勧めする①-

 今年はなるべく文章を書いていこうと思って、下書きをしてから…早数ヶ月。
 まあ、気が向いたときに思いついたときに思ったことをだらだらと書き留めていく程度でできたらよいなあ、と。
 ひとまず、ネタバレなしで好きなものを紹介してみたりしようかと思います。今後も?


今回お勧めする作品は

 WEB漫画の「あことバンビ」!
 作者は『堀さんと宮村くん』のHEROさん。
 書籍版も発売されましたし、英語翻訳版も出版されるようで推し作品がいろいろな形で広がっていくのは何ともうれしいことです。
 HEROさんのサイト「読解アヘン」やPixivでも読むことができます。
 物語は完結したのですが、「堀宮」のように番外編が不定期で更新されているのもまた魅力の一つ。
 私の癖(へき)の一つなのですが、一つの物語世界を気に入ってしまうとそこから離れたくなくなるのです。なので、同じ物語を何周もしてしまうのですが、番外編のように物語世界の本編で語られなかった部分が公開されると世界が広がったようでわくわく感もまた広がっていくのです。
 そういうの大好きw

緩やかな空気の楽園

 「Perspective」というYMOの曲があります。
 メロディラインが本当に切なく美しい曲に「毎日、私は窓を開ける。毎日、私は歯を磨く。」と淡々と日々の移ろいを語る歌詞が載せられる不思議な曲です。私の大好きな曲の一つなのですが「あことバンビ」には「Perspective」と同じような切なくて、美しくて、愛おしい世界観を感じるのです。
 世界設定的には少し不思議なSFのような部分もあるのですが、現実世界と変わりないような当たり前の日常の中で、優しく傷つきやすい登場人物たちが、繊細に、丁寧に生きている。その緩やかな空気感があまりに柔らかくて
、陳腐な表現ですが泣きたくなる。

独特のHERO世界観

 「堀宮」もそうでしたが、基本的には登場人物たちの軽妙なやり取りがとても特徴的です。
 そしてHEROさんの作品の登場人物たちはそれぞれの優しさを持ち合わせていて、それぞれのスタイルで誰かを傷つけないように思いやろうと悩んで、自分が傷ついて、成長していくように私は感じています。
 自分が傷つくかもしれないことって本当に怖いことなんですが、彼らはそれを受け容れる芯の強さを段々と身に着けていくのです。その成長の過程を包む優しい世界観がHEROさんの作品の最大の特徴であり、最高に愛おしい世界だと思うのです。

私の住む日常のすぐ近くにある楽園

 派手な冒険譚でも、ビッグスケールなオペラでもなく、彼らの過ごす楽園は私の住む日常にすぐ隣り合わせで存在するような錯覚を覚えます。
 その錯覚の心地よさを味わうことが本作の一番の魅力なのかもしれません。
 「あことバンビ」
 大変におすすめな一作なのであります!

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