騒音被害を受け続けると人はどう壊れていくか
最近ネット上で騒音問題が良く話題になっています。狭い土地にひしめき合って生活している日本、騒音問題と無関係でいることは難しくなっていっているということなのかな思います。
今回は実体験やSNSで目にした情報を元に騒音被害者の身体に何が起こるのか説明していきたいと思います。
影響を及ぼす騒音の種類
騒音と言っても様々ですが短期と長期に区別するところから始めます。短期の騒音というのは簡易な方法で解決します。騒音がなくなることです。騒音を受けているその間はイライラしますが終わってしまえばもう忘れてしまう。時間が癒やしてくれるということです。選挙カーなどが例です。
それに対して社会問題となる騒音というのは長期的なものです。いつ終わるかわからない騒音がずっと続く。10年20年あるいはそれ以上。毎日2時間程度でもそれが何年もずっと続く。そういったものも長期的なものと言って良いと思います。具体的にどのぐらいから長期と言っていのか?というのは騒音の質によるので判断が難しいところです。
音に敏感になる
長期的な騒音を受け続けた人はまず音に敏感になります。例えばボールの音ならばボールの音に敏感になり他の人は気づかなくても自分だけは何の種類の音がどこから発生しているのか認識できてしまうという状態になります。
自分の家で奥の部屋のドアが開く音が分かるけど初めてきた他人は言われても分からないなんてことがあると思います。それに近い感覚です。
私の場合は人の声に対する感覚が異常にするどくなり200メートル先で会話をしながら歩いている人に締め切った家の中で気づいてしまうこともありました。しかし、聴覚自体が上がったわけではなく寧ろヘッドフォン生活で聴力は落ちていました。
音を探す
音を探すようになってしまいます。何も音がしてないときにも耳が自動的に不快に思っている音とそれに近い音をサーチするようになります。目でも無意識のうちにどこから音がしているのか確認するようになってしまいます。傍から見たら落ち着きのない人に見えてしまうことでしょう。
近い音まで対象になってしまうのが厄介なところです。自分の鼻息が子供の悲鳴に聴こえたり自分の心臓の音がボールの音に聴こえたりするようになります。幻聴に繋がっていきます。
静寂に対する恐怖
音が見つからない間も今この瞬間に音が聴こえてくるかもしれないという恐怖で頭の中がいっぱいになります。精神的に不安になり他のことが手につかない状態になります。何もしていなくても常に精神がすり減っていく危険な状態です。テレビを付けっぱなしにしたりホワイトノイズを流すのはこの恐怖への対策です。
全てに音に対する心境の変化
今まで全く気にならなかった音に対しても心情の変化が現れます。遠くの工事の音、隣の家から漏れ出てくる生活音、電車の音などあらゆる音が気になってしまうようになります。すべての音に心身が破壊されていくようになります。
”焦点”
音に対する”焦点”が狂います。眼の前で会話している人の声よりも遠くの子供の奇声などにピントがあってしまい、会話の内容が頭に入ってこなくなります。その状況に焦ってしまい混乱します。日常生活に支障がでてきます。
幻聴
幻聴が聞こえるようになります。耳鳴りというレベルではありません。自分が聴こえていると思っている音が現実なのか分からなくなります。深夜など静かな部屋にいてもそこにないはずの音が家の外から聴こえてくるような気がします。
私の場合はこの状態になる前段階がありました。「外で子どもが叫んでいるような気がする。深夜0時を回っているというのに。」そんなはずはないと外を確認すると実際に幼児が走り回っていました。実際にいる場合、実際は居ない場合、これが繰り返されていくうちに幻聴が起こるようになりました。
睡眠障害
精神の疲労は当然肉体へも影響が出てきます。夜眠れなくなります。ずっと頭の中が騒音のことで一杯になるからです。いつ始まるか分からない音に怯えるのもあります。騒音被害者の人たちは睡眠導入剤を使っている人が多いです。
イライラ
日常イライラすることが多くなります。落ち着かない気分がずっと続いてちょっとしたことにもイライラします。これは色んな病気や悩み事にも共通することですが当然騒音被害者の身にも起こります。
常識が揺らぐ
常識が分からなくなります。自分が正しいのか悪いのか分からなくなります。例えば飲食店で騒いでる人たち。飲食店は騒いでも良い場所なのか?食事とは静かに摂るものではないのか?ある程度のお喋りは良いとしてもじゃあどこまで許される?このお店は許されるの?こんなことばかり考えた末に何が常識なのか分からなくなります。
子ども嫌いになる
子どもが嫌いになります。騒音で特に多いのは子どもによる騒音です。だいたいは親など大人が原因であることが指摘されていますが、直接音を出してるのは子どもなので憎悪の対象になっていきます。理性では子どもは悪くないと考えても嫌悪感は拭えなくなります。
子どものSOSに気づくことがなくなります。子どもが危険を知らせるために声を上げてもまた叫んでるわとチラ見して終わりです。叫び続けて居ても状況を確認することはできません。薄情だと思われるかもしれませんが長い時間かけてそのような精神状態にされてしまったのでどうしようもありません。
スポーツ嫌いになる
スポーツも騒音原因の常連です。大好きだったスポーツも観るのが嫌になるほど嫌いになります。スポーツ関係者も大嫌いになります。スポーツ関係者が騒音被害者を叩くようなことを言うことが多いからです。最近だとサッカー選手にそういうことがありました。
天気予報が気になる
天気予報を物凄く気にするようになります。外から出る音に悩まされている場合は雨を願い、集合住宅の場合は外に出ていけと晴れを願い、台風が直撃してくれることを祈り、雷が鳴り響いてると安らぎすら感じるようになります。
半月先までの予報を確認し毎日朝昼晩確認してしまいます。天気予報に一喜一憂し予報が外れるとイライラします。逆に騒いでいた人たちが豪雨を浴びて逃げ帰っていくのを観ると気分が晴れるようになります。人としてどうなの?と思われるでしょうけどそういう余裕も微塵もなくなる状況に追い詰められていくのです。
被害者が加害者へ
騒音被害者の身に起こってしまうもっとも不幸なことは、被害者が加害者になってしまう場合です。心身ともにおかしくなり騒音の原因を暴力で排除しようとしてしまう。今まで度々起こってきました。事件が何回起きようと何の法規制もしない政府がもっとも悪いと思っていますがこのお話はまた別の機会に。
ここまで読んで頂きありがとうございました。貴方の人生が騒音と無縁であることを祈ります。