加速型rTMSは強すぎてダメです
脳に磁場をかけて「うつ病」を5日で改善!自宅で出来る治療法の開発という記事について
最初に結論: ダメです
理由の解説:
記事のもとになった論文を確認したところ、難しい理由、危険な理由があるので記します。
この研究では、治療抵抗性うつ病(TRD)患者75名を対象に、5日間で合計20セッションの反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)を実施しました。具体的には、1日あたり4セッションを行い、各セッションでは以下の手順が採用されました:
右側外側眼窩前頭皮質(lOFC)への連続シータバースト刺激(cTBS):600パルスを70%から100%の運動閾値(rMT)で適用。
5分間の休憩。
左側背外側前頭前野(dlPFC)への20Hz rTMS:1秒間に90パルスの刺激を10秒間隔で90回、合計1800パルスを100%のrMTで適用。
これにより、各セッションで合計2400パルス(lOFCへの600パルス+dlPFCへの1800パルス)が施行されました。1日4セッションを5日間行ったため、総計で48,000パルスが適用されたことになります。
これに対して保険適用が可能なNeurostarのガイドラインは以下です。
1日当たり複数回実施することをそもそも保険適用では想定していないため、一日あたり一セッションと仮置きした場合、5日間で15,000パルスとなります。
よって、この加速型rTMSは48000/15000で適正使用基準の3.2倍のパルスを打ち込むことになります。
いくら非侵襲治療とは言え、この量は再考を促したいです。
使用機器について:
韓国remed社のTAMASが使われたようです。
かなりの大きさと重量のため一般のご家庭に滞在できるのは5日間程度が限界でしょう。電源工事も必要かもしれません。バッテリーでは4セッション分も動作させられません。
ということで結論は家庭でやるのも、短期間でやるのもかなりの無理があります。