#ダースレイダーの音楽話 #23 生に肉薄したラッパーが死に向かっていく
The Notorious B.I.G. 『Ready to Die』(1994)
いつでも死ぬ準備は出来ている。
そう言ってしまえば格好良いんだけど、僕はこの時期はなにがなんでも生きてやるぞ!という気概で臨んでいた。
須永辰緒さんと話した時に「なんでそこまで生きようと出来るのか、不思議だよね。無理はしないでね」と言われた。
でも、多分死に肉薄した自覚があるからこそ、その逆側に向かって行くことが出来たんだと思う。
ビギーは、それこそ生に肉薄したのではないか? このアルバムにおける生き生きとしたラップは、死に向かっているようでもある。
悲劇的な最期を知っているからこそ、かもしれない。
でも生死は表裏一体を教えてくれる傑作だ。
この原稿を書いて10年後にLAコールドケースというビギーの死を捜査した刑事の映画が公開された。
クライムサスペンスとしても面白いがこうしてビギーは再生され続けていく。
Biggie Smalls is the illest!
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