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#ダースレイダーの音楽話 #52 音楽の輪廻が巡りビートルズがウータンと出会う

Wu-Tang Clan/8 Diagrams

ビートルズ音源を正式にサンプル使用するのは不可能だと言われてきた。音楽業界の唯一無二の偉人たちはアンタッチャブルだ。
だが、それを可能にしたのはニューヨーク、スタッテンの荒くれ集団、ウータン・クラン!
93年「燃えよ!ウータン」でヒップホップどころか世界の音楽の常識を引っくり返し、粗いサンプル
に奇妙な音の数々、カンフーなどの効果音、そしてトンでもなくキャラの立ったラッパーたちのゲッ
トー直送の歌詞を世界に蔓延させた。
首謀者RZAはその後も実験的な音に挑戦を続け、ビートルズの消化にも取り掛かる。
突破口となったのはジョージの息子、ダーニ。
彼はウータン・クランのファンであった為、父の名曲「WHILE MY GUITAR GENTLY WEEPS」のサンプル使用許可が下りたのだ。
ダーニもギターで参加し、ジョン・フルシャンテも
作曲に協力、エリカ・バドウが歌う豪華セッションとなった。
これは音楽の輪廻の物語の一つだが、
ウータンがビートルズ並みに音楽で世界を震撼させた1stが物語の序章で、やはり聴くならそこからがオススメです!
ね、ダーニ?

ちなみに同時期にGhostface Killahがソロアルバム「Big Doe Rehab」を出している。ウータン勢のマイクリレーは正直そちらの方がいつもの調子でノリが良い。
今作はヒップホップのメインストリームトレンドからウータンが確実に離れてしまったことを特にサウンド面で示していて、まあそれはそれとして時代の流れを感じる。
RZAは自分仕事ではここからまた徐々に快調になって行く。
メンバーの中で特にメインストリーム勢との交流が多いRaekwonはテンション低いがGZAとInspectah Deckはそもそも独特の詩世界を持っているので、相変わらず渋いラップを聴かせてくれる。
ビートルズ使用は話題と物語としてOKだが、ウータンの魅力はこうした大ネタを正面から扱うところにはない。
RZAの頭の中で鳴っている不思議で強力なナニカだ。その片鱗が見えるとば僕は興奮してしまうのだ。


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