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40歳限界OL、エルメスを買う

私は宝飾品が好きだ。

服に合わせて指輪・ネックレス・ピアスを選び、状況によって時計やブレスレットを追加する。着替えるときはこれが大体ルーティンとなっていた。

仕事はPCかじりつきが多いものの、外に出るときはよその会社の人や顧客と会うことが多い。また、資産運用に関する仕事をしているので、上品ながらも「ちゃんとお金持ってる人間」に見える服装をするのは重要だった。

とはいえ、ブランド物で固められるほど給料が良いわけでも、買ってくれるパパママがいるわけでもない。
自分の給料でこつこつ集めた宝飾品と、ハイブランドではないけれども、自分が買える範囲でそこそこ値段のする服で、

「信頼できそうな、お金をもってそうな人間のコスプレ」

をしていたのである。

仕事でなくとも宝飾品は好きなので、友達と出かけるときでもしっかり身に着けていた。身に着けているものの話を、同じく宝飾品好きの友達とするのも楽しいものだ。

これが色々変わったのがコロナ禍だった。
大体のことはオンライン。よその人とコミュニケーションをとらないときは部屋着で過ごす日々。朝から仕事が立て込めば、起床即パジャマで長時間労働となった。宝飾品の出る幕はない。

そんな生活が長く続き、しばらく宝飾品も余所行きの服も買わない日々を過ごしていたが、2022年になって出社や客先訪問なども増えてきた。そしてイベントも増えてきた。

そう、「宝飾品の展示即売会」的なイベントである。

先日、友人とそうした展示即売会のイベントに行ってきた。都内某所のラグジュアリーホテルのホワイエで行われていた。私達の目当てはいわゆるアンティークジュエリーのお店で、賞味1時間くらい見せてもらっていたように思う。

私は1900年前後のネックレスとブレスレットが気に入り、その美しさとお値段の高貴さに、うんうん唸りながら迷っていた。一緒にいった友人は友人で、ハイブランドのアンティークリングの購入を迷っていた。

結論からいうと、一旦休憩してお茶飲みながらおしゃべりしてる間に頭が冷え、「今回はともに見送ろう」という話になったのだった。

理由は

「とても素敵だったけど、なくても死なない」

だった。

コロナ禍でつけていく機会も減ったしね。デパートで化粧品でもひやかして帰るか!と近くのデパートへ向かった。
その行った先にあったのがエルメス。

友人が「以前からほしいものがあるんだよね」ということだったので、じゃあ見てみようということで入店した。

気づいたら私、買ってた。

カレジェアン 《グラン・テアトル・ヌーヴォー》のブルー/ゴールド/白※

柄・色ともに大変使いやすそうで、バリエーションもつけやすそうで、なおかつカシミアシルクが肌触り良すぎた。
エルメスで自分で買ったの初めてだし、てゆかこんな高価なストール買ったことないよ・・・!

さっき悩んでた宝飾品よりは断然安い。しかし、客観的に高い。
ところが、気が付いたら「なくても死なない」めちゃくちゃ高価なストールにカード切ってた。人の欲とは恐ろしいものだ。

ということで、40歳になって限界OLはエルメス自腹デビューしたのであった。宝飾品やアクセサリーなどは、なくても死なないが、あると人生が潤うのである(したり顔)。

ちなみに帰宅した際、夕飯作りながら無邪気に「何買ってきたのー?」と聞いてきたオットには、エルメスの袋も箱も外した状態で、

「大判のストール買っちゃった!」

とシレっと見せたのである。
彼はひとしきり褒めたあと、「とても高そう」と一言述べた。
私は「お目が高い。人生で一番高価なストールです」と返した。

彼は、値段を聞こうとはしなかった。
そうして家庭の平和は守られた。

※UP後、カレ140、カシシルっていうと通っぽいよ!ってお友達から呪文を教えてもらいました。ベイ子覚えた。


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ダースベイ子
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