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NHKニュースクリップ(2025年2月2日号)
フジテレビ問題がハレーションし続けています。私が親しくさせて頂いている各社の記者やメディア関係者との会話も、ほとんどがフジテレビ問題です。
特に10時間半に及んだ記者会見は、恐らく、テレビメディアの権威失墜を決定づけた出来事として将来に渡って語り継がれると思います。関係者がどう感じたかも資料的価値があると思われますので、会見を見て感じたことを書き残しておきました。
私のnoteをご覧のメディア関係者の皆さんも、記憶が鮮明なうちに何らかの形でメモでも残しておかれることをオススメします。
NHKにも大きく関係するので、今週もフジテレビ問題を中心に考えてみます。
フジテレビ問題 NHKへの影響
フジテレビ問題を捉える視点は幾つかありますが、次のような切り口だとNHKにも深く関わってくるかと思います。
公共メディアの説明責任
組織的人権侵害の放置
自主自律と第三者委員会
文春依存とメディア相互批判
権威失墜のエンターテインメント化
公共メディアの説明責任
恐らく、一番はこの「説明責任」でしょう。NHKは会長が好きな「アカウンタブル」という概念を持ち出していますが、全く説明責任を果たしていません。
例えば、皆さんの記憶にも新しい「国際放送ジャック事件」。事態が起きた経緯も、発表内容が二転三転した理由も、コエツ氏の調査状況も何も公開されていません。
NHKが発表したことといえば、「突然のことで驚いたからフェーダーを下げられなかった」という言い訳くらいです。
「日本の視座」を伝えると経営計画で宣言していながら「中国の視座」を伝えたことの「補償」もしていませんし、それを可能にした業務システムについても「AI音声」という表層的な対応しかしていません。
当然、個別の記者会見も行われていません。定例会見の中で若干説明した上で質問に応えた程度で、フジテレビの当初のクローズド会見を非難できる立場ではないのです。
番組内の問題点について問い合わせても「取材の過程についてはお答えしていません」と返してくるのが当然となっていて、NHKには「説明責任」という概念がほとんどありません。
直近でも、「ラスプーチン」の問題がまだ決着していません。
秘匿できるという考えは捨てないと、フジテレビの二の舞になることは必至でしょう。
組織的人権侵害の放置
NHKには人権侵害が蔓延しています。特に、報道職場でのパワハラは今なお苛烈なものがあるでしょう。制作系も営業も色々あるかと思います。
被害者がその事案を「呑み込んだ」ら、人事的にも優遇されるという因習も恐らくNHKには残っています。
何なら、パワハラの当事者として糾弾された者が、対応策として「セクハラ被害を受けた」と訴え出て、矛を収めることで自らの罪を「帳消し」にするようなテクニックまで弄されています。
被害を受けた者が割を食い、加害者が出世していく様には露骨なものがあります。
実は私自身も、NHKによる人権侵害の被害者だと思っています。前田会長時代の人事制度改革では、不当な人事評価を受けた上に、事前に約束されていた理由も説明も一切なされませんでしたが、これは組織が制度というシステムを使って執行した人権侵害です。
私の怒りの理由
2022年以降もNHKの経営を担う基幹職(管理職)の不正が次々に明らかになり、処分されています。例えば、報道局の組織的不正経理の責任者たちや昨年末のラスプーチン問題は、震源地が経営幹部となっています。
さらに、飲酒運転で免職された基幹職記者や(恐らく)不倫と不正経理の合わせ技で降格処分になった者、私的目的でスタッフを労働させた上に放送素材を転用したとされる者など、個人のレベルでは多数います。
この他にも、表に出ていないセクハラ・パワハラの当事者も大勢いますし、職務専念義務に違反する管理職も数えきれないほどいます。
あの人事制度改革で登用されてしまった者の中にも、捏造報道を主導しながら降格さえしていない者や、不正の常習者が多数います。
端的に言えば、そのような不正者達よりも私は実務において劣るとレッテルを貼られ、その根拠も決して示して貰えなかったことで辞めたわけですが(それを受け入れることはできず、辞めざるを得なかった)、これも人権侵害と言って差し支えないと私は考えています。
と、人権侵害もグラデーションですが、細かく点検していけば幾らでも人権侵害疑い事案は出てきます。そして、NHKがいかにそれと向き合わずに来たかも明らかになるでしょう。
自主自律と第三者委員会
これも私はXで再三指摘していることですが、報道機関が第三者委員会に真相究明を委ねるなど、あってはならないことだと思います。
なぜなら、報道機関とは自主自律のもとで、社会的な課題について真相を明らかにすることに存在意義を持つ組織だからです。
「第三者委員会がこう言ってます」は、「政府公式発表はこうです」以上何も掘り下げないのと同じようなスタンスですからね。
それに、フジテレビの問題は、恐らく第三者委員会では詳らかにはなりません。
早期退職制度を敷いている関係で古くからの事情を知る人たちの多くは退職していますし、何より、人間は自らが不利になることは言わないものですから、第三者委員会に素直に協力する者はごく少数でしょう。
仮定の話ですが、フジテレビの仕事を多く受けている制作会社が、新たな取引先を見つけぬうちに真相を話したりするでしょうか?また、中居氏や被害女性が聞き取りに応じるでしょうか?
それに、仮に協力が得られたとしても、短期間で明らかに出来る範囲には限りがあります。
ここで、NHKを舞台に行われた第三者委員会の調査結果を見てみましょう。
報道局職員の不正な経費請求に関する 調査報告書
https://www.nhk.or.jp/keiei-iinkai/giji/shiryou/1438_kaicho01-4.pdf
NHKによる内部統制の不備ゆえに起きた、と組織の責任を指摘してはいますが、元職員である私の実感に照らして、明らかになった不正が過少です。当該職員のほか2名しかいないわけがないのです。
限られた期間で効率的に調査するためにスクリーニングは必要だったとはいえ、被害が大きくなることを恐れて調査範囲を狭めたのではないか?と私は疑っています(そういう声は職員からも多数ありました)。
実際、第三者委員会の報告書にも「おことわり」があります。
本報告書における事実認定は、取材源の秘匿への配慮等が必要な中で実施した調査の結果に基づくものであり、調査チームが収集した以外の資料等が存在し、新たな事実関係が発覚した場合には、本報告書における事実認定が変更される可能性を否定しない。
本来なら、NHKという公共的組織における不正経費請求は全国的な関心事ですから、NHK自身が他社や国に対して行う以上に厳しい調査報道を行い、原因究明と対策の提言、さらには、その対策が正しく機能しているかの点検も行うべきです。
しかし、NHKはそのような責任を取っていません。
話をフジテレビに戻しますと、恐らくNHKと同じように、部分的にしか事案について明らかになりません。
そのとき、「知る権利」や「取材源の秘匿」などに守られた報道機関に対しての第三者委員会の調査の限界がクローズアップされるでしょう。
すると、第三者委員会による調査を多数受け入れてきたNHKにも必然的に注目が集まると思います。そうなったら、寝た子を起こさずにはNHKも切り抜けられないわけで、今から準備した方が良いと思いますね。
ちなみに、先ほどの不正経費請求の件が話し合われた「経営委員会議事録」は非常に面白いので職員の皆さんは是非読んでみてください。
文春や毎日新聞で報じられ、今も尾を引く「コンサルフィー」の問題や、ニュースウオッチ9の捏造報道についても議論されています。フジテレビどころでは済まない異常性が浮かび上がる議事録です。
文春依存とメディア相互批判
NHKが目を疑うようなニュースを出稿していました。
私が懸念したのは、専門家の言葉を借りた以下の箇所です。
また、週刊文春の記事をほかのメディアが引用して報道していたことについて「慎重にしなければいけないというある種の警告になるとは思う。SNSが普及している今、既存のメディアが報じたものは事実として拡散していくので、事実に基づかないものを報じることの影響は大きく、従来にも増して事実確認が求められる」と指摘しました。
実質的には、文春の「本質には関わらない枝葉の訂正」について批判するようなニュースを出しているわけですが、NHKも文春をまるで提携パートナーのように使ってきたケースがあります。
ちなみにNHKもジャニーズ(クロ現、Nスペ)の時にがっつり頭から文春とタイアップしてましたね https://t.co/CAAOuntgJk pic.twitter.com/9WHcsIDcM0
— ももん🌹٩(„❛ ֊ ❛ 🎈🐇🐱🎸🎀🍓🤍🕊✒📷🎼🎨 (@psacoiswhere) January 30, 2025
旧ジャニーズ問題については、NHK自身が報じた「局内トイレ性加害」も含めて、真偽が疑わしい情報も多数あります。NHKとして正面から取材するのが難しい事案も多く、詳しい記者に教えを請うこと自体は「ありうる」とは思います(推奨はできませんが)。
この問題以外でも、フットワーク軽く動ける週刊誌記者をエージェントのように使ったり、バーターでNHKから秘密裏に情報提供をすることはよくあります。
何なら、私のローカル時代の先輩記者は、「NHKでやりにくいことは、ネタを週刊誌記者に渡して火をつけてもらってからやる」とはっきり明言していました。NHK記者と週刊誌記者の飲み会もよくやってますよね。
と、実のところ文春など週刊誌に取材の一部を依存しつつも、こんなスタンスのニュースを出すのはどうなの?と思います。
この問題に限らず、週刊誌記者の多くは、泥臭く関係者を追い、這って情報を集めて記事を作っています。特に、週刊文春は数少ない被害者当人からもコメントを取れている媒体です。
フジテレビ問題でそのような汗をかく取材を行っていないNHKには、文春批判をする権利は無いでしょう。
記者会見で問題になった文春依存はNHKにも言えることなので、今後、冒頭に挙げたジャニーズの件など次々に掘り起こされると、ブーメランになります。
また、今回のフジテレビの件をもって、「メディア相互批判の時代」が幕開けとなりました。今までは暗黙の了解で殴り合いを避けてきたテレビ同士も、平然とバトルをしています。
NHKも、その危機を事前に察知したのか各メディアとの「共存共栄」を経営計画にも盛り込み、懐柔工作に余念がありませんが、文春をはじめとする様々なメディアを敵に回すことになったら間違いなく深傷を負います。
権威失墜のエンターテインメント化
今、正しいことをやって、手続き的にも問題無く訂正したはずの文春が叩かれる展開になっていますが、その背景には「権威失墜のエンターテインメント化」があと私は感じています。
単純に面白いですよね。既得権に守られて、悠々と貴族然としていた連中がカメラの前で「タコ殴り」にされて崩れていく様は。
フジテレビに次いで文春がターゲットになったのには、文春もまた「権威」と化してきた側面があるからです。これがもし、「女性セブン」だったらそうはなりません。いくら女性誌の中で最も格上だとしても。
当然、権威だけで存続しているに等しいNHKも、一度ターゲットになれば、エンタメとして消費され尽くされるのは確実です。
特に、「オープン記者会見」という新たな劇場が生まれてしまったことは大きく、NHKも回避は難しいはずです。例えば、横田氏に切り込まれてNHKは耐えられますかね?まず無理でしょう。顔や仕草に全て表れます。
大衆は常に新しいターゲットを求めるものです。国民の大半が立花氏のように「NHKを消費する」時代はすぐそこに迫っています。そして、その時はNHKが今のようなスタイルで存続するのは困難となり、国営放送化するシナリオが現実味をおびてきます。
BSP4Kと8Kに蔓延する「フェイク」
フジテレビ問題の影に隠れてしまっていますが、NHKがBSP4Kと8Kを巡って「フェイク」を連発しています(そもそも、普及度合いについて、実視聴者数ではなく、機器出荷台数を持ち出した時点でフェイク同然ですが)。
特に私が懸念したのはこちらです。
【#御宿かわせみ】
— NHKドラマ (@nhk_dramas) January 28, 2025
第1シリーズ(1980年版)を4KリマスターしてBS8Kで放送!
2/5~26 毎週水曜
3/4~26 毎週火曜・水曜
午後5時 2話ずつ放送(全24話)
BS8K
原作:平岩弓枝
脚本:大西信行 金子成人 東條正年
音楽:池辺晋一郎
出演:真野響子 小野寺昭 ほかhttps://t.co/dAozuPhKvq
SD画質を前提としていた放送を8Kにまで引き伸ばしているわけですが、それを「8K」と称するのは流石に詐欺ではないでしょうか?
普通、8K放送ときけば、横8000ピクセル以上の精細感を想像するかと思います(実際には、7680×4320なので8Kに及びませんが)。
SD画質を横525ピクセルとすると、約15倍にも引き延ばしていることになります。
もちろん、元素材がフィルム収録なら、理論上はフィルムスキャンの時点で4Kに近い解像感が担保はされますが、実際に映像を見ると4Kというにはかなり甘いものです(私の感覚ではHD程度が限度)。
8K放送の視聴者など数人のレベルでしょうけど、放送を出すと約束してしまったから、こんな詐欺のような放送を出して視聴者を欺いているのです。
同様のことは、紅白歌合戦でも起きています。
どうやったって4K画質にはなりません。せいぜい、市場に普及する4K対応テレビモニターで「それっぽく見える」レベルが限界です。また、リマスターにあたってAI等による補正を多用すると、現実から乖離してしまいます。
いわゆる「いつ誰がどこで何をした」みたいなことだけでなく、目の前に映し出される「画」も重要な「情報」だと私は思います。その意味では、このような4K・8K放送は「偽情報」です。
情報の参照点とか偽情報対策を高らかに謳うNHKが、莫大な受信料を投じて「フェイク映像」を放送するのはおかしなことです。
百歩譲って認めるにせよ、せいぜい総合・教育・BSのHD放送で素直に流すくらいが許容できる範囲だと思います。
ちなみに、2年前の記事でも指摘したように、BS8Kは明らかに失敗しています。
即座に失敗を認め、停波すべきです。既に作ったコンテンツは4KダウンコンしてNODで売ることで1円でも回収するのが経営的には正しい姿勢でしょう。
【メンバーシップ】フジテレビ問題・見過ごされている論点
再びフジテレビ問題です。
どうしても記者会見・中居氏・被害女性へと注目が集まりがちですが、私はこの「現役アナ」の告発をより重視しています。
何ならこの報道が真実なら、それだけでもA氏もフジテレビもアウト。フジテレビは広告を引き上げられて当然でしょう。
また、関連して、元アナの長谷川氏の動画が注目されています。
部外者として見ると、真実もある程度含まれているように思ってしまうのですが、この動画をどう受け止めたのか?A氏や長谷川氏を知る何人かのフジ関係者に聞いてみました。
もし宜しければチップ(サポート)を頂けると幸いです。取材費などNHK健全化の為の取り組みに活用させて頂きます。