見出し画像

NHKニュースクリップ(2024年11月24日号)

例年より遅れること1週間、紅白歌合戦の出場歌手発表が行われました。

ラインナップにサプライズは乏しく、また最低視聴率を更新しそうな雰囲気が漂っています。一般の若い世代に話を聞いてみると、特にスタート勢の出演が無いことがマイナスに働いているようです。NHKは公式に否定していますが、先日の「NHKスペシャル」の影響があったことは明白です。

この辺りの動きについて、私の元に入ってくる話はメンバーシップの領域でお伝えします。

兵庫県知事選をNHKはどう伝えたか?

先日の会長会見で兵庫県知事選に関連して、稲葉会長が面白いコメントを発していました。

NHKを始めとするオールドメディアでは、SNSを目の敵にしたような論調が目立っています。

では、当のNHKは兵庫県知事選についてどのように伝えてきたのか?改めて分析してみましょう。

NHK神戸放送局の「ニュース」を遡ってみると、驚くべきことが明らかになりました。

告示日の「第一声」と、11/7に伝えた「各候補者の訴え」以外にまともに情報を伝えていないのです。候補者ひとりあたりに割かれた時間は、選挙期間全てを通して5分にも満たないものです(3分くらいかも)。

と、大袈裟に述べましたがNHKからすれば、これは平常運転。私がローカル局にいたときも知事選や市長選はこんなものでした。

冷静に考えて欲しいのですが、こんな断片的な情報で投票できると思う方がおかしいですよね。ちょっとした家電を買う時だって今や様々な公式・非公式のレビューを参考にした上で、店頭で触れた上で決める人が多いでしょう。生活に直結する可能性がある県知事選なら、もっと慎重に情報を見極めたいと思う人が大勢のはずです。

「そりゃNHKだけ見ても分からないし、各オールドメディアも横並びで全然差が無いから、SNSやWebでもチェックするか」となりますよ。むしろオールドメディアの報道を参考に投票している人がいたら気持ち悪いくらいです。

ネット番組、と侮るなかれ

私も兵庫県知事選には注目していたのでRehacQ討論会を見ましたが、これで少し各候補者の人となりが見えました。選挙戦終了後の、斎藤知事の2時間生出演まで見て、ようやく「あぁ、この人は重度の政策オタクで、コスパ良くお金を使って生活向上できる政策立案と実行が生きがいなんだな」と分かりました。

一方、敗れた稲村氏についても同じく2時間くらいぶっ続けで見て、「この人は、綺麗事の建前ばっかりと思ったけど、基本的には話を聞く人で、前向きな調整型なのかな?」と感じました。

私も番組制作者なのでよくわかりますし、恐らくNHKでも若いうちからPD・記者は指導を受けると思いますが、インタビューは相手の「鎧」だけでなく「皮」まで剥がしに掛かって初めて本質に迫れるものです。

高橋氏は流石の手腕で、スッと相手の懐に入っていって、結果的には「聞きづらいこと」も次々にぶつけて答えを引き出していましたが、通常の番組のロケでも、カメラが回ってないところで慣らした上で、このくらい色々聞いて初めて使えるONをある程度拾えるというものです。

NHKの記者だって、恐らく各陣営にある程度食い込んではいたはずです。RehacQ以上に生々しい本音だって聞けていたのではないでしょうか?

しかし、その取材が「公平」=「尺を揃える」と曲解したようなニュースに加工された結果として、何も伝わらないものを報じているわけです。

いい加減、「尺を揃える」とかクソどうでも良いことは止めて、本当に納得して投票行動を行えるような情報を提供することに舵を切らないと、NHKは「選挙報道」においても見捨てられることになるでしょう。

別に難しいことはせずに、まずはRehacQを真似して県単ローカルでノーカットの討論会でもやったら良いじゃないですか?私がローカルの局長だったら、そこからスタートしますよ。

兵庫県知事選関連 NHKの取材力低下を窺わせる報道が…

と、私も受信契約をする者としてNHKには健全化してもらいたいのですが、根本的にNHKの取材力に懸念を感じてもいます。

私が奇妙だと思ったのが、このニュースです。

丹念に見ないと見落としてしまうかもしれませんが、NHKは次のように報じています。

この中で斎藤知事は、県知事選挙の際に指摘されたSNSでのひぼう中傷などに関連し「もともと、能登半島地震のときの真偽不明の情報など、災害時に間違えた情報が流布することは問題だという認識だ」と述べました。

当該NHKニュースより

普通に考えれば、災害に関しては「災害デマ防止」になるわけで、SNSとの関連がよく理解できません。そこで、朝日新聞をみると、次のようにありました。

――選挙期間中の他候補らへのSNSの誹謗(ひぼう)中傷についてどう思うか

 今回の選挙戦はSNSでいろんな情報が出たということが報道各社で分析されています。私自身はあくまで自分の政策や自分の思いを訴えてきたという戦いでした。やはり心無い誹謗中傷は皆さんの心を傷つけることになるので、ここはやはり変えていくということが大事だと思う。

 SNS条例の制定については、現在、県民生活部の方で検討を進めていると認識している。どういった形でやっていくかというのは引き続き検討を進めていきたい。

 ――知事として、SNSに一定のマナーやルールは必要という意識か

 そうですね、やはり誹謗中傷というものも含めてSNSというのは冷静によく見ながら使っていくことは大事だ。

当該朝日新聞より

朝日新聞の一問一答のような内容だったとしたら理解できます。それにしても、なぜNHKが災害の話を持ち出してきたのか全くわかりません。

投票日と同じく、現場でまともに取材していなかったのでしょうか?

もしくは、一問一答の文字起こしをニュースデスクもチェックした上で、あのようにNHKは報じたのでしょうか?

いずれにせよ、「フェイク」に近い情報をNHKは発信しているわけで、こんな状態では視聴者の信頼獲得など不可能です。

merchu問題もノーマークか?

今、公職選挙法を巡っても大きなトピックとなっている「merchu問題」についてもNHKはほとんどフォローできていません。

(魚拓)
https://megalodon.jp/2024-1121-0124-57/https://note.com:443/kaede_merchu/n/n32f7194e67e0

NHKは「再選の原動力はSNS」として記事で次のように述べています。

今回、政党からの推薦や支持がなかった斎藤氏は、YouTubeやXなどSNSでの発信にも力を入れ、実績や政策のほかにも、生い立ちや小学校時代のエピソードなども織り交ぜました。

斎藤氏は今回の選挙について「SNSなどを通じて、駅での活動に集まってくれる人が少しずつ増えていった。SNSは1つの大きなポイントだった」と述べました。

当該NHKニュースより

あたかも斎藤氏が自主的にやったようにNHKは報じていますが、明らかにmerchuの主張とズレがあります。

事態がハレーションしたあとの「サタデーウオッチ9」でもこんな状態で、merchu問題にはほとんど触れていません(スタジオで記者がひとこと仄めかした程度)。

それにしても、選挙の取材をしていて、PR会社の存在に気づかないことなんてあるのでしょうか?せいぜい、610のコーナーのPDと事務所中継PDくらいしかやっていない私ですら、選挙の際にPR会社の人と何度も名刺交換しましたよ。

裏で誰かが動いていたのではないか?そこに不適切なカネの流れは無いか?など疑って掛かるのがNHKの取材者の使命だと思います。

当確を出せなかったあたり異常だと思っていましたが、政治に関してまともに取材する気が無いのでしょうね。

改めてNHKの報道を全点検すべき

と、ここまで兵庫県知事選を巡ってNHKの報道を改めておさらいしてきました。改めて、想像をこえたレベルの低さに呆れた方も多いのではないでしょうか?

実は、NHK神戸はローカル局の中でも「格上」です。震災を必ず毎年やらなければならない上に、事件事故が多く、取材エリアも日本海側まで含めれば広大です。ゆえに、比較的レベルが高い人材が送り込まれます。

その神戸ですら、こんな状態なのです。

私はローカルの情報も結構チェックしていますが、神戸の水準にすら達していない局がほとんどです。

民主主義の発展どころか、遅滞・後退を招く放送に受信料をジャブジャブと浪費しているのが現状なのです。

世間にはNHKに対して好意的な論者の方も多数いますけど、本当にNHKの放送をこまめに点検していたら擁護などできないと思いますよ。

30年前のネット黎明期に先祖返り?「放送100年」特設サイト

また幾ら掛けたのかわからない、奇妙なサイトが立ち上がりました。

100じゃなくて、IOC(アイオーシー)に読めませんか?色使いといい、あまりにセンスが無さすぎると思います。

どうせどこかの広告代理店に外注したであろう「ステートメント」の空疎さといい、呆れるばかりですが、衝撃的なものを見つけました。「ラジオ」の特設コーナーです。

公益のため、放送100年ラジオサイトよりスクショ

放送100年というのは、ラジオ放送が始まってから100年ということです。災害時などに備えたライフラインとしての重要性が指摘される中(受信料は取れないのですが)、まるで30年前のWebに戻ったかのような空っぽのページが公開されていました。

こんなことにカネ掛けるより、災害報道を1時間でも、いや1分でも手厚く伝えることの方がよほど重要ですよ。いい加減、目を覚まして頂きたいものです。

【メンバーシップ】ジャニーズ問題「Nスペ」の余波

以下は、NHKではなくて週刊誌業界から聞こえてくる情報です。とりあえず、NHK職員の皆さんは「会長会見要旨」をチェックした上で、この先に進んでください。

ここから先は

685字

スタンダードサポートプラン

¥500 / 月
このメンバーシップの詳細

もし宜しければチップ(サポート)を頂けると幸いです。取材費などNHK健全化の為の取り組みに活用させて頂きます。