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NHKニュースクリップ(2023年9/4号)

この1週間もNHKの大小様々な不祥事情報が寄せられました。とりわけ、不正経理に関わるものについては私も重く受け止めています。取材を走らせているので、続報が入り次第お伝えします。

ただ、色々あった中でも、最大のニュースはこれでしょう。

NHKのWeb拡大戦略、事実上の終焉へ

ネット受信料の無条件義務化に失敗し、暗雲立ち込めていたNHKの先行きですが、今度は野放図に拡大してきたWeb業務にも待ったが掛かりました。

総務省は31日、NHKのインターネット業務の「必須業務化」を認める提言案の一部を修正した。ネット配信を認めるテキスト情報のひとつとして示した「時間的制約のために載り切らなかった情報」の記述を削除した。29日の有識者会議で恣意的運用につながるとして修正を求める声があった。

日経新聞より引用

要は、同時配信と見逃し配信以外は認めませんよ、ってことです。NHKでは、無条件徴収のネット受信料ありきで動いていた関係で、意味不明なWebオンリーの配信を次々と始めていました。

新聞記者界隈でも評判が悪い「政治マガジン」以外にも、noteもそうですし、例えば、最近ではこんな教育系?のものもそうです。

中には、「戦争証言アーカイブス」のように有用なものもあるのですが、最近は、放送を作れない/作りたくない連中が集まって好き放題やっていました。ネットワーク報道部とか、デジタルセンターとか、展開センターとか、イノベーションセンターとかね。

Webにおいても、誰も望んでいないものを押し付けて「NHKは情報空間の健全性を保っているから、インターネット利用者は全員受信料を払うべきだ」といった理屈を通そうとしていました。

そのために、40年も前のニュースをあたかも新規ニュースのように伝えていたローカル局までありました。目を疑いましたよ。

このような背信行為にストップが掛かったのは本当に良いことだと私は思います。

NHKは放送局です。公共メディアとか自称してますが、公共放送です。受信料をバックに、独自の放送インフラを築き上げ、その放送を通じて知る権利に奉仕するのが本来の使命です。その使命を疎かにして、Web上でお遊戯会に現を抜かしていたからこそ、Web展開にストップが掛かったんですよ。

これが、もし伝えるべきを伝えて、放送で使命を正しく達成していたら、「Webにも進出すべき」という世論が形成されたことでしょう。

経営企画がどれだけ足掻こうともう終わりです。首都直下や南海トラフ、もしくは戦争などに備えて、緊急報道に耐えうる基盤をもう一度整備するところからNHKの皆さん、出直してください。

どこまでも他人事なジャニーズ問題の報告書

ジャニーズ問題に対して曖昧な態度を続けているNHKが、ここに来て民放と足並みを揃えて、ひとつの報告書を出しました。

公益のため、当該ニュースを下記に引用します。

調査報告書で、ジャニー喜多川氏による性加害について『マスメディアが正面から取りあげてこなかった』などと指摘していることを重く受け止めています」とした上で、「NHKは、職員の行動指針として『人権、人格を尊重する放送を行うこと』を定めており、性暴力について、『決して許されるものではない』という毅然とした態度でこれまで臨んできたところであり、今後もその姿勢にいささかの変更もありません。

NHKニュースより引用

カウアン氏の記者会見で、まさにメディアが正面から取り上げてこなかったことを指摘した報番PDの質問をオンエアしなかった癖に、よくこんなことを言うなと呆れました。

さらに呆れるのは、職員の行動指針なるものです。

先日のニュースウオッチ9を始め、NHKは人権・人格を軽視した放送を繰り返してきました。さらに、性暴力については、「決して許されるものではない」どころか、協会内で起きてきた数多の性暴力も隠蔽してきた歴史があります。ま、この事については現・副会長が一番詳しいでしょうけどね。

このようなコメントを世に出すなら、正すべきを正さないと全く説得力がありません。この空虚なコメントと、一連のニュース枠等での放送にも受信料が浪費されています。その事を肝に銘じて欲しいものです。

釘付けにさせられた、Nスペ「関東大震災」

と、呆れることばかりのNHKにあって、久々に見ていて言葉を失うほどの内容のNHKスペシャルがオンエアされました。

防災系のNスペには私も少し関与していたことがあるので、朧げには制作について理解しているのですが、今回の「関東大震災」は自分では辿り着けなかった領域だなと思わされました。

改めて資料をひとつひとつ丹念に分析して、首都直下にも繋がる教訓を導き出していたと思いました。8Kカラー化しただけでなく、全てのカットに思いもよらなかった意味づけがなされていて目が離せませんでした。

昔の映像の世紀のように、その映像をきちんと見せる作りも作為性があまり感じられなくて良かったです。それでいて、随所に親子二代に渡る物語が挟まれたりしたりもするんですよね。映像を味わっている感がありました。

私なんかは、見ていて実際にその時何が出来るだろう?と自問自答したわけですが、あらゆるインフラだけでなく、人の良識まで破壊された状況では、とりあえず身一つで生き残ること以外は無理だろうなと思いました。

一応、記録を取ったり、物語を拾い集めて何か映像を構成したりは出来るかもしれませんが、実際は無力なものなんでしょうね。案外、プライベートフィルムこそが将来最も役に立つかも、と考えさせられました。

「関東大震災100年」にはしゃぐアナウンサーと記者

と、私はNスペを見てしんみりしていたのですが、NHKのSNS発信はトーンが全く異なるものでした。

防災は食い扶持だから浮き足立つのも分かるけど、「関東大震災」と「楽しみながら」はやっぱり相性が悪いと思いますよ。普通に「防災の日」とだけしておけばまだ許容できるものを、あの惨状を念頭に置いたら、楽しむのは無理です。

目を疑ったのは、記者デスク(管理職)と思しき、次の投稿です。

「関東大震災フルコース」って、流石に意識の低さに唖然としました。どこまでも、全て「ネタ」としか思っていないから、こういう情報発信を平気でするんでしょうね。

せっかくの放送の後味が悪くなるようなSNS投稿が協会から相次ぎ、非常に残念です。

不審のNスペの背後で動くブランディングプロジェクト

そんなNスペも、世帯視聴率は今や4%以下が当たり前となったきたと聞きます。だからといって、世俗的な作りに走って、余計にドツボにハマっている印象があるのですが、今回の「関東大震災」のような特集を数多く出せば、評判は巡り巡ってブランディングを達成できるはずです。

それが、どうしたことか怪しげなブランディングプロジェクトなるものが立ち上がり、数百万円以上の受信料が注ぎ込まれているというのです。

こちらのWeb記事は、そのブランディングの一環だそうです。NHK退職者が関与しているという情報もあります。これでブランディングが達成できるとは、私には到底思えません。

結局、NHKの最大の価値って「公共」なんですよ。だからこそ、「関東大震災」のNスペでは日本を代表する研究者たちが協力をしてくれたのだと思います。私も、その「公共」の看板のお陰で、世界的権威の方々にも放送に協力して貰うことができました。

Nスペをより高く売る=可処分時間を投資してもらう(ブランディング)ってことに何が必要かと言えば、「公共」のために世界の叡智を結集していることの意義を多くの方に理解して貰うことだと思います。

とすれば、制作者が自分語りするのではなくて、取材に協力して下さった方々にフォーカスすべきではないでしょうかね?そして、取材協力者という僅かに残ったNHKに期待してくれるファン層の方々から、放送の価値を発信して頂けるように働きかけた方が有効だと思います。

「私の作ったNスペ」など、職員ふぜいがおこがましいことをやっていたら絶対にブランディングなど成し遂げることはできません。

所詮は、Nスペだって数ある番組のひとつでしかないんです。NHKにいると「いつかはNスペ」みたいになっちゃいますけど、たかが49分の番組1本ですよ。まずは、その歪んだ協会内ヒエラルキーを外に出すのを止めることから、ブランディングを始めることを強くオススメします。

もし宜しければサポート頂けると幸いです。取材費の他、Twitterのプロモーション費などNHK健全化の為の取り組みに活用させて頂きます。