NHKニュースクリップ(2024年6/2号)
2024年5月末、衝撃的な「理事会議事録」が公表されました。職員のみならず、ぜひ一般の皆さんにも内容を確認して頂きたいので、まずはこの件からお伝えします。
理事会議事録で発覚 NHK内のシステム更新失敗に対して呆れた責任回避
ここ数年、NHKでは局内のERP(情報を一元管理するシステム)の更新を行っていますが、ほぼ全てで遅延・計画変更などが発生し、事実上は失敗しています。
これは、維持管理費の削減、制度の変更への対応という名目で行われているものです。経費精算、タクシー、労務管理、人事手続きなど、変更範囲は多岐に渡ります。これらに対して、要件定義から失敗してシステムを予定通り稼働させられない事態が頻発しているのです。
ようやく稼働したと思ってもバグや仕様策定の不備だらけで、現場には混乱が広がっています。
この元を辿れば、まるで放送センターの建物のごとく無計画に「建て増し」を繰り返してきたことに問題があるわけで、一連の計画を主導している経営企画局には重大な責任があります。諸々、生じたロスを換算したら億単位の損失でしょうからね。
にも関わらず、会長から出された経営企画局への責任追及に対して、「こんな大変なところを頑張っているんだから、むしろよくやっている」という趣旨の抗弁がなされ、諸々の不備は実質的には不問とされています。
https://www.nhk.or.jp/info/pr/rijikai/assets/pdf/2024/20240507.pdf
私に言わせれば、システムがスパゲティ化していることなど常識。また、いずれのパッケージもNHKのような特殊な組織で使う前提ではないから失敗して当然なのです。NHK側に取り仕切れる人材がいないにも関わらず、対応する能力が無いベンダーに発注した時点で失敗は火を見るより明らかでした。
見かけ上のシステム更新費用だけに囚われ、運用を含めて莫大な損失を出しておいて責任が不問など、受信料という公金で運営されるNHKにおいて許されて良いのでしょうか?私はそうは思いませんね。
「情報空間の参照点」と謎の造語を連発 異常すぎる「会長メッセージ」
NHKのコーポレートサイトに「会長メッセージ」が掲載されています。
実は、この他に、内部向けに撮影・公開された、もうひとつの「会長メッセージ」があります。今回、その内容を入手することができました。
大筋では公開されているものと一緒ですが、異常なほど「情報空間の参照点」という単語を連呼していました。その役割を果たせない限り「NHKに明日はありません」とまで稲葉会長はカメラの前で述べています。
「情報空間の参照点」とは何か?
そもそも、「情報空間の参照点」とは一体何なのでしょうか?調べても使用例は全然出てきませんので、NHKの造語のようです。
稲葉会長のメッセージによれば、次のようなことらしいです。
端的に言えば、「情報空間の参照点=信頼できる基本的な情報」というわけです。経済学でよく使われる「プロスペクト理論」において利得と損失の判断を分ける基準点のことを「参照点」と呼ぶそうなので、人々の判断基準となるような情報というニュアンスが入っているのかもしれません。
「情報空間の参照点」=NHKの存在意義の否定にも繋がる懸念
数年前に突如として湧いて出たこの「情報空間の参照点」なる造語、私の調べでは、「Iという放送外職種の職員が言い出したらしい」という情報が得られましたが、急拵えの造語のせいか、大きな懸念があります。
放送を担う職員ならわかると思いますが、そもそもNHKが伝える内容は、同じテーマでも枠や担当者が異なれば正反対ということもありえます。
例えば、ニュースとETV特集などの番組では同じ事象でも全く違う描き方をすることがあるのは、一般の皆さんでもよくご承知の通りかと思います(最近は、「共同親権」についても番組の方が踏み込んでいたケースがありましたね)。
この他、ちょっとしたレシピなどの生活情報でも、ある放送で「ベストは揚げ物だ」と伝えたと思ったら、別の放送では「煮物に限る」など異なる見解を伝えることはよくあります。
では、なぜ枠によって言うことが変わっても良いかといえば、放送番組の編成(放送法上は「編集」と表記)全体を通して、多様な論点を伝えることが「知る権利」に応えるためには重要だからです。
一方、「参照点」と言い出すとどうなるか?そう言うからには、全ての放送内容が厳格に統一されている必要があるでしょう。
しかし、NHKは「NHK全体としてあるテーマに対してこう伝える」という統一方針を持っていません。それは、ある意味「バラバラ」であることを良しとしてきたからです。その方が、少数意見も網羅できますしね。
「参照点」と言い出すと、今まではポジティブだった放送内容の多様性が、「ブレ」として「排除すべきもの」になる懸念があるのです。
大体、「参照点」的なものは、普通の理解では政府や企業等が出す一次情報ではないでしょうか?それらに対して疑いの目を持って批判的に分析し、真相を炙り出すのがNHKのような報道機関の使命のはずです。
「参照点」よりは、多様なフィルターを提供するのがNHKに本来期待される役割でしょう。
確かに、昔から「ニュースはどう伝えているか?」を重視して、それに倣うのが放送全般の基本方針でした。しかし、自身が伝えてきた内容も常に批判的に分析した上で、より正しく有益な情報を伝えるのがNHKの使命だと私は思います。
「参照点」などと言い出すと、ますます一度伝えた情報の「ちゃぶ台返し」を忌避する動きが強まり、結果として国民の知る権利に対して今以上に応えられなくなるでしょう。それがニュースウオッチ9の捏造報道の根源にもあったことを忘れてはいけません。
地方から顕著に NHKの放送崩壊
6月3日の朝に起きた地震の中継も酷かったですが、他にも呆れるほど酷い事例が多数あります。
「さいたま」を「さいまた」と誤表記した件、こんなもの手打ちすること事態がおかしいんですよね。放送局・報道室・支局は限られてるんですから、プルダウンで選択式にすれば済む話です。
手打ちして確認を漏らして「お詫び」をするなど愚かなことです。
内容どころか音声も破綻 事故同然の放送
最近、フォロワーの方から情報提供を受けてローカル局の放送をチェックすることがあるのですが、衝撃的なものもありました。
こちら、放送を確認してみると、アナウンサーの声がVTR中で立てるべき音声(ON)とぶつかるわ、スタジオとのクロストークもグチャグチャになって破綻するわと、ほぼ「放送事故」レベルでした。
本当に何言ってるかわからないんですよ。VTR中にアナウンサーが口に物を入れたままモゴモゴ喋るようなシーンもオンエアされていて、チェック機能が働いていないことが明白でした。
一体、何のための放送だったのでしょうか?誰も見ていないから批判の声も届かないとたかを括って、雑な放送を出しているケースが特にローカルで頻発しています。
何だかわからない放送を出して「参照点」を自称するなど、社会に対しての背信行為ですので、今すぐ改めるべきだと思います。
【メンバーシップ】放送センター建替に暗雲か?
最近、方々からよく聞かれるのが、放送センター建替の件です。理事会の議事録でも暗示されていますので、まずはご一読を。
https://www.nhk.or.jp/info/pr/rijikai/assets/pdf/2024/20240514.pdf
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