NHKニュースクリップ(2024年5/26号)
NHKを巡る最近のトピックといえば、ネットサービスの必須業務化と、今後のスマホ受信料の徴収範囲の行方でしょう。
NHKネットサービスを巡る“誤解”
まずはネットサービスの必須業務化についてですが、稲葉会長は次のように述べています。
ネットサービスが、放送と同じ情報内容や同じ価値を提供しなければならない=ネットサービスではなくて、「放送がより重要」ということです。つまり、相対的にはネットサービスの位置付けは低くなります。
なぜかと言えば、ネット独自の”コンテンツ”は原則許容されない以上、今後ネット契約を取る=放送のレベル向上が必要だからです。この点が、どうも「ネットサービス」を切り離して論じられているケースが多く、私としては懸念しています。
スマホ受信料の行末
NHKはひたすら「スマホやPCを持っただけではネット受信料対象にならない」と強調しています。この言い分をどこのメディアもそのまま伝えていますが、本当にそうなのか?一度冷静に考える必要があります。
ネット受信料については、3月の会長会見で記者に「大して契約は取れないのでは?」と問われて、収益のプラスにはならないと事実上認めています。
先日の5月会見でも明確に述べてはいませんが、スタンスが変わっていないことが確認できます。
NHK等の質問から会長を庇って株を上げた小池専務理事も「現在のNHKプラス会員登録数は約520万。テレビを持たないネットオンリー契約がどれほどになるか推計するのは難しい」と質問をかわそうとしています。
NHK受信契約数は約4000万。これだけ広告費をかけて周知してもNHKプラスは520万件と、全体の15%にも及んでいません。要は、受信契約者というNHKシンパの中でさえ、NHK自体のニーズが相当減っていることは明白なのです。
最悪の場合、近い将来、NHKの収入は1000億円くらいまで落ち込むとさえ見込まれています。
その場合、どうやって肥大化したNHKを維持するのでしょうか?国際放送に広告を入れるスキームが検討されていますが、民放化したとしても不可能でしょう。
前置きが長くなりましたが、そもそも「強制ネット受信料」無くして現在のNHKの維持は不可能なんです。
だからこそ、フェイク対策の何の、アテンションエコノミーが何の、そして「情報空間の参照点」などと理屈を捏ねまわして、「日本に生きるものはあまねくNHKの便益を受けて、健全な情報空間を享受できている」=「受信料を払うべき」というロジックを作ろうとしているわけです。
もちろん、NHKという事業体の存続を重視するのも一定理解できます。すでにNHKそのものが巨大産業となっていて、NHKが崩壊すれば職を失う方も数万単位で発生するでしょう。この点で、NHKが自身の事業規模の維持に執心するのは当然です。
しかし、それが本当に日本にとって良いのか?は別問題です。私は、もはやNHKの果たすべき役割は完璧に民間サービスに取って代わられたと思っています。ゆえに、NHKが今のままなら消滅して、別にミニマムな国営放送でも設立した方が良いという立場です。
「まさか、元旦に地震があるとは」NHK金沢局長の衝撃の発言
なぜ「今のままなら」と注釈をつけるかというと、既にNHKは緊急報道を担う意識を失くしているからです。先日の文研フォーラムに参加された方が、次のようなPostをしていました。
私は、ローカル局時代なんて、いつ緊急報道があるかもわからないから盆暮正月だろうと局舎周辺でスタンバイさせられていました。県外に出るのにも、いちいちお伺いを立てさせられていました。災害や戦争は「いつでも起こりうる」というのはNHK職員が持っていた共通認識なのです。
それが、局長ともあろうものが「まさか元旦に地震があるとは」と公式の場で述べるのは異常です。
「元旦も地震は起きる可能性があるから、いつでも対応できるようにスタンバイしておく」というスタンスは、NHKが高額の受信料を得て、またNHK職員が世間一般より高給を得る根拠そのものです。
こんなだったらNHKなんか不要なわけですよ。24時間配信しているウェザーニュースや、常に更新されているYahoo!の方がよほど重要です。
【メンバーシップ】辻公平記者の「トランプ再熱狂の正体」は発売延期か?
先週お伝えした「トランプ再熱狂の正体」について、依然として新潮社のサイトには何も掲載されていませんが、一部のサイトで発売日が表示されていました。
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