【基本】自編(じへん)でVTRを作る際に注意すべき点
今回は異動期も近いですので、改めて「自編」についてポイントを抑えてみることにしました。
「自編」とは「自分で編集する」ことで、編集マンの手を借りずに自らPrunusやfinalcutを使ってロケ素材を編集して仕上げることを指しています。ディレクターが編集することが当たり前の民放などには存在しない、NHK独自の用語かもしれません。
というのも、最近は新人の本部や拠点への配属が増えて、自らありったけの時間を注いで自分でPrunusと格闘して編集する機会は無くなりました。勤務時間的な意味でも、リソース管理的な意味でも自編は推奨できないからです。
しかし、慢性的にリソースが足らないローカル局では自編の機会も出てきます。また、編集マンのスキルや得意分野の関係で、ネタによっては自編した方が良い仕上がりが良い場合もあります。
私も自編は嫌いだった
かくいう私がNHK職員になった頃は、自編は当たり前でした。
思い返せば、Prunusがちょうどローカル局で実験されていたころでしたね。引くほど不安定で、今とは比べ物にならないほど落ちたり、タイムラインがぶっ壊れたりすることが頻繁にありました。
HDCAMのリニア編集を強いられた思い出
それでも、徐々にアップデートを重ねてPrunusの安定度も上がってはいきました。しかし最悪なことに、自主建設計画のタイミングでPrunusを増設すれば良いところ、なぜか上司のCPが本当にキチガイで、HDCAMのリニア編集機が増設されたりもしました。CP本人がノンリニア編集機を一切触れないからという理由です。
そのリニア編集機はデッキ2台だった関係で、DVCPROでロケした素材を、HDCAMにコピーした上でしか編集できませんでした。しかも、純粋なカット編集しか出来ないという最悪に最悪を重ねたような環境だったのです。
というわけで、私は自編に対して最悪な思い出しかありません。
ただ、そのクソ最悪な環境を強いられたこともあって、多少は自編に対しての耐性があります。
自編の難易度はロケ素材の充実度で決まる
まず皆さんに知っておいて頂きたいのはコレです。
もちろん、台本をきっちり固めてロケに臨んでいたら、相性の悪いカメラマンと組むことになっても最低限の歩留まりは確保できます。
が、若手の皆さんの場合、さすがに一言一句、秒単位で事前に全てのカットを設計してからロケに臨むなど不可能だと思います。私がそれを出来るようになったのは10年目を超えたくらいですからね。どんなに優秀な方でも、3年目以下でそれが出来る方はまずいないと思います。
となると、大事なのはロケです。構成と台本がクソでも、ロケ素材がある程度揃っていたら何とかなります。
コメントバックのカットバリエーションを稼げ
難しいことはさておき、ロケ時に大事なのはカットバリエーションを稼いでおくことです。それも、コメントバックのカットです。
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