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NHKニュースクリップ(2024年11月17日号)

私はこれまで、特にNHKの緊急報道の劣化について指摘を繰り返してきました。能登半島地震や相次いだ豪雨災害の報道の薄さ・遅さは皆様の記憶にも新しいかと思います。

選挙もまた緊急報道の延長線上にあるものです。

しかし、先日の衆院選ではNHKの当確が非常に遅く、事務所中継の現場ではクレームが相次いだとのことです。

さすがに全国的に注目が集まる兵庫県知事選は大丈夫だろうと思っていたら、悪い意味で大きく裏切られました。

なんと、一部の民放が20:00に「ゼロ打ち」し、朝日新聞等も軒並み早い段階で当確を出していたにも関わらず、NHKは23:00を過ぎてもまだ当確を出せずにいたのです。

確かに接戦ではありましたが、最終的な結果を見れば約20万票の大差をつけて斉藤氏の当選。私が知っているNHKの選挙報道体制からすると、こんなに当確が遅れるのは奇妙なことです。

NHK内部から幾らか声が聞こえてきたので、こちらはメンバーシップで詳報します。

「紅白歌合戦」出場歌手発表が異例の後ろ倒し

去年は11月13日に発表されていた「紅白歌合戦」の出場歌手。今年は後ろ倒しとなっています。先日のNHKスペシャルが影響していると見て良いでしょう(他にも理由はあるでしょうが)。

あの放送は補償体制が不十分かのように誘導する内容でしたから、起用再開を発表した記者会見とも乖離があります。

では、各社が旧ジャニーズは無しとか一部内定とか報じていますが、実際のところはどうなのでしょうか?

あくまで私の予想ですが、出演ゼロじゃないでしょうかね?タレント側にとってもNHKにとっても「紅白歌合戦」に旧ジャニーズ勢が出演することにはメリットが無いと思います。1グループだけだと視聴者だけでなく、他事務所からも「なぜ?」となりますしね。

※11/19追記 旧ジャニーズ=スタタレの意で書いていましたが、TOBEも含むような書き方で申し訳無いです。

音楽業界自体もシュリンクする中、NHKからすると「タイプロ」などに乗っかりたいんじゃないか?と思われますが、そんな甘い話はなさそうです。

メルカリ問題 新プロジェクトXとは何だったのか?

以前、私が試写で警告したメルカリの件に進展がありました。

私自身、メルカリ自体は有益なプラットフォームかとは思いますが、プラットフォーマーとしての責任を十分に果たしているとは言えない側面があるのは周知の事実です。

新プロジェクトXでは、偽札の出品について少し触れましたが、「すり替え」等の現在進行形の問題についてはノータッチ。

さらに、アメリカ事業も好調かのように錯覚させる内容で、実質的には企業広報に番組が「利用された」ような形となっていました。

担当した外部プロダクションのPDの手記(私の試写記事にもリンクがあります)を読む限り、そもそもこうした問題に対して担当PDもCPも無知だった可能性もあります。だとしたら、さすがにジャーナリスト失格ですが…

新プロジェクトXは、旧作、後継番組の「プロフェッショナル」と同様に、取材対象を神格化して礼賛する危険性が高いフォーマットです。成功者がハイライトされて、過去の失敗や苦悩に少し触れて、現在進行中の取り組みを盛り立てるという、「バカでも作れるフォーマット(責任者のひとり談)」ゆえに、現実の複雑な事象を描くことは出来ないのです。

問題意識を持っているNHK職員やメディア関係者の皆さま。今、この状況で改めて当該「新プロジェクトX」を試写してみてください。株主総会対策に作られた広報番組のように見えてくるのではないでしょうか?

地震速報 遅過ぎ問題

先日、地震速報が大幅に遅れる事案がありました。

原発など原子力関係の施設がある青森県・陸奥湾で、11/16 21:22ごろ震度4の地震が発生しました。

当日、NHKは「サタデーウオッチ9」の放送中でしたが、地震から10分経ってようやく天カメ映像を全中で報じるような緩慢な対応だったのです。

X上でもNHKの速報の遅さに呆れる声が上がっていました。これだったら、NERVのアプリでも入れておいた方がよほど安全です。

選挙の速報もですが、最近のNHKは速報性を捨てています。内部では、「丁寧に報じた」として美談になっていると聞きます。今、NHKの存在意義に対して疑義が投げかけられる中、緊急報道は唯一社会の支持を集めるための「チャンス」のはずです。

休日だから、労務管理が面倒だから、取材コストが掛かるから など理由をつけてNHKは速報性を捨てています。

しかし、10000人以上もいる職員のうち1000人でも緊急報道ができるように教育したら人員の問題は無くなるでしょう。そして、バックオフィス・コーポレートの明らかに無駄な経費をカットしたら、取材コストなど容易に賄えます。

にも関わらず、敢えて「やらない」。そんな状態では、残念ながらNHKが解体されても止むを得ないでしょう。

皇族と用事用語

NHKニュースにおいて、薨去(こうきょ)と言うべきところが、「ご逝去」になっていたことが一部で非難されました。

外部に公開されている文書は無いんですが、NHK基準だと特別な敬称は使わないんですよね。一応、法の下の平等とかが理由だったと思います。

ただ、実は放送に乗らないイベントだと運用が違うんですよね。これも私が実際に携わったイベントの記憶なので間違いがあるかもしれませんが、NHKアナウンサーが司会するイベントに皇族が参加されるときは、宮内庁基準の表現をしていたと思います。

個人的には、放送に乗るか乗らないかじゃなくて、NHKとしてどうか?の方が大事だと思いますが、豆知識としてご紹介しました。

日本放送協会の番組関連情報配信業務の競争評価に関する検証会議

また仰々しい名前の会合が行われています。

こちらに資料があるので、ぜひ職員の皆さんは読んでみてください。

いかにもNHKがどこかのコンサルティング会社に高額で依頼したような資料には幾つか懸念点があります。

最も懸念されるのは、民間メディアとの競合問題です。特に医療・健康、教育分野では、既に多くの民間企業がサービスを展開しています。NHKは「放送と同一の価値」を提供すると説明していますが、公共放送としての差別化が不明確です。

コストに関する説明も不十分です。サービスごとの予算詳細が示されておらず、「直課コスト」と「配賦コスト」の具体的な金額や配分方法が明らかにされていません。受信料との関係で、新サービスにかかるコストの妥当性を検証することができない状況です。

サービスの範囲についても問題があります。「番組関連情報」の定義が広く、際限なくサービスが拡大する可能性があります。特に情報の提供期間について、「期間延長」の基準が不明確です。また、「試行的配信」の範囲や基準も具体的には示されていません。これでは、いつぞの「理解増進情報」が肥大化したときと同じことがまた起きる懸念があります。

受信料制度との整合性も課題です。誤受信防止措置の具体的な方法が十分に示されておらず、契約勧奨の方法も抽象的です。フリーライド防止と利用のしやすさのバランスについて、具体的な施策が見えません。

さらに、各サービスの具体的な成果指標(KPI)が示されておらず、PDCAサイクルの回し方も不明確です。視聴者からのフィードバックをどのように活用するのかについても説明がありません。

個人情報の取り扱いやセキュリティ対策、システム構成や運用体制、障害時の対応方針なども具体性に欠けています。

NHK受信料は「公金」です。ゆえに、民間との競合や受信料の使途についての説明責任を果たすことが求められます。しかし、NHKは具体的な説明をこれまで十分に行ってきているとは言えません。

せめてオープンな記者会見を開くなどして、徹底的に質問を受け付けたらどうでしょうか?私も参加したいですね。

【メンバーシップ】兵庫県知事選 なぜNHKの当確は異常に遅れたのか?

兵庫県知事選でのNHKの当確遅れは前代未聞のレベルでした。一体なぜそんな「失態」を晒したのか?まだ取材中の内容も含みますが、探ってみます。

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