ENHYPENのアメリカン・ジャーニー 〜 番外編 〜
こちらでは、前記事「ENHYPENのアメリカン・ジャーニー ~タイムトラベル編~」に当初盛り込まれる予定だった、だけど情報過多(笑)のため調整段階で弾かれてしまったネタのいくつかを供養しています。ヒマつぶしに楽しんで頂けたら成仏するでしょう。
👇未読の方はぜひ本編から♪
レゲエとラスタカラー
「DIMENSION:DILEMMA」活動期はラテンアメリカに繋がるサインがたびたび現れていた。
中でも気になったのがレゲエとラスタカラー。はじめはなぜレゲエが出てくるのか不思議だったが、今となれば理由がわかる。その根本にアフリカ回帰の願い、植民地主義への批判を含むラスタファリ思想があるからだ。
いくつか例を挙げてみよう。
そういえば、CHARYBDISではソヌが“Sunshine for me”というメッセージを繰り返し発していた。
以前ツイートしたが、これは1970-80年代に活躍したジャマイカのレゲエシンガー、グレゴリー・アイザックスの曲からきているのではないかと思う。当時はデニス・ブラウンやボブ・マーリーに並ぶ人気だったそう。
呑気なムードで始まりながら、徐々に狂気を感じさせる状態に迷い込んでいく奇妙なアレンジ。
どんなに人生が苦しくても、陽気な音楽(それが彼らにとっての"Sunshine"なのでは)で必死に自分たちを慰めてきたアフリカ系黒人の悲しみを歌詞の中に見る気がした。
ゴールデンベルの秘密
「DIMENSION:DILEMMA」カムバックショーの中に「挑戦!ゴールデンベル」というクイズ番組をパロッたコーナーがあった。
メンバーの背後には、韓国に実在するインターナショナルスクールの運動部の名が入った6つの三角旗が架かっている。
今回注目したいのはブラックホークとクーガー。
どちらもアメリカ、とくにネイティブアメリカン(インディアン)に関わりがある。
ブラックホークは1832年にイリノイ州で起きた白人とインディアンの争い、ブラックホーク戦争を想起させる。
これはアメリカ合衆国に領土を奪われたソーク族が中心となって起こした反乱がもとになっていて、酋長ブラックホークが名の由来だ。
クーガーは南北アメリカに広く分布する大型のネコ科動物で、別名をピューマ、マウンテンライオン、アメリカライオンともいう。
先住民の世界では神聖な(一部の部族にとっては邪悪な)存在として、様々な神話やシンボルに現れる。
インディアンは戦士でもあったので、左3つの三角旗はひとつのグループに括れるかもしれない。
となると、右3つは西洋の伝説上の生物ドラゴン、十字軍、ガーディアン(十字軍は巡礼者を守護した)のヨーロッパ繋がりと見ることもできる。
もしかして
アメリカ(植民地側)ー ヨーロッパ(宗主国側)
の配置になってたのかも。
そういえば当時まだジェイとニキの公式絵文字は🦅と🐆だったなぁ。この旅が終わって年が明けたとたん変更された気がするのはさすがに気のせいですかね…
(あ、🐧もいなくなってたわ)
ところでもうひとつ気になったのは、さらにその上に架かっている殿堂入り選手?の名前シェリル・ホワイト。検索してみたところ、ちょうど1983~1984年当時大活躍していたこんな人物が現れた。
シェリル・ホワイトは1971年にわずか17歳でアメリカ初の黒人女性騎手としてデビューした。20年以上にわたるそのキャリアで750勝を超える素晴らしい成績を収めたが、その肌の色と性別ゆえに世界から忘れ去られているという。
(参考:How the First Black Female Jockey Rode Into Oblivion ーThe New York Times)
米墨戦争とゴールドラッシュと
デセリスさん
今回の記事(タイムトラベル編)で重要なポジションにあったカリフォルニア州。ここはいろんな意味で注目しなければならない場所だ。
歴史的にみると、1846~1848年のアメリカ・メキシコ戦争(米墨戦争)までこの辺りはメキシコの領土だった。戦いに勝ったアメリカはカリフォルニア(からテキサスまでの広大な土地)を手に入れるが、ほぼ同時期まさにその場所で金鉱が発見され、ゴールドラッシュが起きるのだ。
一攫千金を夢見て誰も彼もが西を目指した。国内はもちろん海の彼方からも男女子どもおよそ30万人の人間がカリフォルニアへ押し寄せ、西海岸の人口はまたたく間に膨張。この西への大移動が、西部開拓を一気に進めることになったのは言うまでもない。
だがそれは同時に、インディアンたちの生きる場所をさらに奪うことでもあった。ゴールドラッシュによって民族浄化は加速した。
アメリカの歴史を眺めてみると「本当に人間の欲望ってやつは…」と頭を振ってしまうようなことばかり。そんな事実を突きつけてきたのが「DIMENSION:DILEMMA」というアルバムなのかもな…。
ついでにもうひとつ、カリフォルニアに関連して以前からすごく気になっていたことがある。
米墨戦争から西部開拓期に向かうまさにその時代、サンフェルナンド・バレー(ロサンゼルス北部の一帯)を所有していた富豪の名前が実は…
デセリスさんなのだ。笑
当時ピオ・ピコ総督は、米墨戦争の資金を調達するためエウロヒオ・デセリス氏(父)にこの土地を売却した。息子のF.デセリス氏はそれを相続したが、贅沢な暮らしに生活はどんどん傾き、晩年は極貧だったという。
DARK MOONに登場するデセリス・アカデミーと彼の名が関係あるかどうかは分からない。
だだ「生と死とジレンマのENHYPEN」執筆中に彼を知った私は、彼こそまさに"富のSCYLLA"と"貧のCHARYBDIS"両方を味わった人じゃないかと思ったのだ。あるいは欲望に飼い慣らされ、突き放された人物かもしれないなあ、とも。
そういや最近、まさにこの界隈で楽しそうにしてるパンPDがSNSを賑わせてたっけw
今後カリフォルニアにおけるHYBEの動きには要注目ですな。
海賊と宝島
ENHYPENの今回の旅のゴールはバハマだった。
このバハマには、17~18世紀においてはカリブの海賊たちの巣窟だったというもうひとつの顔がある。
前回の記事で今後海賊にまつわる展開がありそうだと予測したが、今となってはこのアメリカン・ジャーニーがそうだったのではないかと思う。
宝島はアメリカだったんじゃ?
だってそこに広がっていた豊かな大地、そこで営まれていた平和な暮らしを奪った人間は、海賊と一体何が違うのだろう。
これは歴史の中に限った話じゃないよなぁと思う。
誰の前にも宝島が現れる。魅力的なものが次々と差し出されるが、欲張りすぎればその代償は高い。
だからといって素通りもできないのが人間だ。
結局のところ欲望は動力、理性は羅針盤。両方揃ってこその船(人間)じゃないだろうか。どちらが欠けても航海(人生)はうまくいかない。
じゃあ舵を取るのは?
「Tamed-Dashed」から「Blessed-Cursed」の流れで彼らはいよいよこの難問に向き合い始めたと思う。できたら次はその話をしてみたい(いつになるかは不明…)。
とりあえず、以前の記事で自信満々に「宝島はマルタ島!」って書いたけど「ごめんアメリカだったw」って言い直すことにする。笑
マルタに繋がる要素もあるけれど、アメリカ大陸を宝島ととらえて全体を見渡してみたら景色はとてもクリアだった。
★お付き合いくださりありがとうございました。
♡していただけたらイプニみくじが引けます。
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