マイ・トランプ・コレクション
マジックバーで一時期働いていた時にトランプを集めるのにハマった時期がありました。
マジシャンの知り合いがトランプ集めが趣味でそのコレクション、なかなかカッコイイデザインの物が多々有って、それでトランプを集めるのが趣味になったことがありました。
僕が気に入って集めてるのはUSプレイングカード社の出してるブランド、バイシクルのデックです。
トランプはいろいろな会社から出てますが、中でもUSプレイングカード社のバイシクルはそのシェアも相当な物となります。
人によってはいろいろ集める方向性があるみたいで、レアデック(限定生産品、コラボ企画の特典)を集めてる人、かっこいい気に入ったデックを集める人などさまざまです。
ちなみに僕はホラー、オカルトとかに関わりそうなデザインのデックを集めてます。
バイシクル オカルト
一番お気に入りのデック。
隠された物を意味するタイトルを持つバイシクルのプレイングカード。
ギャンブラーズ・ウェアハウス社がデザインしている。
知名度は高く無いがその細かく書き込まれたデザインは傑作だと思う。
バイシクルの文字が入ってるバージョンと入らないバージョンがある。入ってるバージョンは色がベージュメイン。
入らないバージョンは茶色がメインになる。
パッケージは幾何学模様をメインにプロビデンスの目等オカルトや陰謀論好きに刺さるデザイン。
プロビデンスの目はキリスト教において昔から使われる意匠。三角形の中に瞳で描かれる。三位一体と世界を見通す神の目を意味する。
陰謀論で良く出るフリーメイソンも、もともとがヨーロッパの石工組合なのでプロビデンスの目を使っていたと思われる。なので殊更フリーメイソンのみが使う意匠というわけでも無い。
ただ、オカルトデックに描かれてる場合は、どちらかと言えば陰謀論の中でのフリーメイソンリー等秘密結社としての意味合いで描かれていると考えて良いだろう。
バイシクル ヒドゥン
隠された。と言う意味合いのデック。端的に言うと陰謀論デザインのデック。オカルトデックが心霊や魔術等の要素を含むのに対してこちらはより陰謀論に振り切ったデザイン。秘密結社をデザインに使っていると思われる。
黒地に赤、バイシクルの文字は金色の極めてカッコいいデザイン。禁忌っぽさがかっこいい。
裏面は六つの赤い円とその中に髑髏等がデザインされている。
オカルトデックに比べるとシンプルな色使いとデザインが目を引く。
ブックカースとか仕掛けられていそうな感じはする。
バイシクル ヘンプ
ヘンプとは麻の事。麻の繊維を使って作られたトランプ。パッケージに植物辞典の麻の葉がデザインされ、少し茶色味がかった麻布の独特の色合いをしている。
これだけなら全く普通なのだが、ヒドゥンやらオカルトやらクトゥルフ神話が並んでるところに置くと言外の意味があるのではと勘ぐりそうな物である。
麻は日本においても古くから親しまれた繊維で、衣類を作る他に神事で使われる大幣に使われる等、身近にあった存在である。それゆえ、人々の生き方であった宗教との関わりも深くあった。
ただ、薬物として濫用されて、依存性もある事から、麻薬の筆頭に上がる事が多い。依存性の話でいけば人は何かに依存しながら生きる生き物だから、なんとも言えないが…。
ちなみに抑制剤だと言う。ようは眠くなったり静かになったりする効果だとか。幻覚を見る場合もあるとかなんとか。
薬理効果が高い事には変わりなく、適切な利用が行われれば医療に役立つと思われる点は大きい。医療大麻の話題はよくのぼるが、やはり濫用の危険性などと兼ね合いがあるのだろう。
最近はこの植物の依存性を除いた部分を入れた飲食物や嗜好品が増えた。
チルアウトとかを筆頭に。
スズメバチにチルアウトを飲ませる動画とかでしばらく静かになっていて、虫にも沈静効果あるんだと驚いた。
バイシクル カーニバル
バイシクルの人気シリーズ、カーニバルの記念すべき一作品目。
カーニバルとは謝肉祭と訳される。お祭りはどの世界でも重要視される。
謝肉祭とは断食に入る前にしばらく食肉と別れを告げる為のお祭りで、その起源はいくつか説があり、その一つにゲルマン人の春の到来を喜ぶ祭りがあると言う。その祭りでは、厳格なキリスト教の中に入って、一週間お祭り騒ぎをした狼藉を巨大な藁人形に転嫁して燃やす事で責任を移し終幕するという。ある種の呪いにおける写身のような物だろうか。
古代ゲルマンではドルイドと呼ばれる宗教の教導者がいて、木の人形に人を入れて火にかける人身御供の儀式の存在がある。巨大な藁人形の起源がこの辺りにあるとするなら、もともとはヒトガタではなく人を使っていたのかもしれない。
デザインが炎に包まれる骨なのは、この辺りに起源があるのかもしれない。
白を基調に髑髏をデザインに取り込んだご機嫌な一品。
バイシクル カーニバルミッドナイト
カーニバルシリーズの2作品目。ミッドナイトの名前の通り深夜のカーニバルでデザインされている模様。
1作品目のカーニバルと対になるようなデザインになっている。1作目が後ろを向く骸骨に対してこの2作目はこちらを向くデザイン。昼と夜の対比に合わせているのだろう。
ちなみにカーニバルシリーズはこの後、アサシン(殺し屋)、レネゲイト(裏切り者)、フェイタル(致命的な)、デッドアイ(慣用句としては射撃の名手、多分死んだ目の意味合い)とか多数排出する名シリーズになる。
トランプをコレクションするきっかけになった最初のデック。
バイシクル カーニバルデッドアイ
バイシクル カーニバルシリーズの一つ。カーニバル、ミッドナイト、アサシン、レネゲイト、龍神ときて6作目が本作。
人体をモチーフにしたグロ度高めの作品。表面の血の付いたスペード、擦り切れたような背景はさながら古き良きスプラッタ映画の肉屋の解体場を彷彿とさせる。
裏面の人肉と目で作られた十字架など、どことなく連続殺人鬼の作品と言われても納得出来そうな作品。あるいは中世の医術者の研究室などかもしれない。
カーニバルシリーズはお祭りと若干のホラー要素のあるシリーズだったが、今までは骸骨が出るとかその程度だっただけに、流血とか人体欠損とか平気な人向けの人を選ぶデザイン。
カーニバルシリーズ自体にカッコ良さを感じるタイプの人の中で、さらにスラッシュホラー平気な人が好むか。
好きな人はすごく好き、そうじゃない人は…と言う極端な評価になりそうな作品。
一時期絶版になっていたが、再販された。人気作なようだ。
バイシクル オータムナイト
バイシクルには自分のデザインで商品開発出来る、バイシクルカスタムデザインと言うシステムがあります。
このバイシクルカスタムデザインを使って、ゲームデザイナーの本根康之氏が手掛けたハロウィンをイメージして作られたデザイン。
氏はフクロウを取り上げたデザインのオウル。50周年記念に作られた遠未来のBARをイメージしたフューチャーバー等かっこいいデザインを多く作っている。
そんな三作品あるうちの一品。西洋カボチャのオレンジと夜の薄紫を基調に、フランケンシュタインの怪物や吸血鬼、魚人、幽霊やジャックオランタン、黒猫のような古典ホラーでデザインされている。
流血のようなグロさは控えめなデザイン。ハロウィンというイベントに向いてるポップなホラー作品。この方は2019年から毎年新作を出しているので新作が出たら嬉しい。
バイシクル ブラックゴースト
バイシクルのシリーズの中で、幽霊のような儚さがあったゴースト。その黒版。ゴーストは明るい場所で見る幽霊のような今にも消えそうな儚さがあったが、ブラックゴーストは闇の中だからめちゃくちゃはっきり浮き上がっている。
トランプ自体が真っ黒で裏面は普通のバイシクルの裏面だが、色は真っ黒。
ジョーカーに描かれているのは、スレンダーマンみたいなのがこちらに手を伸ばしていてかなりカッコいい。
スタイリッシュな悪霊だろうか。人気が高いからか、ブラックゴーストはセカンドエディションまで作られている。
バイシクル ゴースト
ブラックゴーストより先に世に出された幽霊をデザインモチーフに使った作品。バイシクルの文字がうっすら消えそうに描かれた良デザイン。
今にも消えそうな儚さがある作品で、ブラックゴーストのような力強さはなかったが、隠れた人気はあったらしい。名作。
実際後にブラックゴーストを世に出す事になった事からも伺える。
ブラックゴーストは第二版が出るほど人気を博しているが、こちらは相変わらず浮遊霊のような儚い存在感しかないからか、再販はされていない。あるいは、コレクションの価値を下げない為か。
入手が少々手間だが、見つけたら嬉しい一品。
バイシクル エルダーサイン
エルダーサインとは旧神の印と訳される、クトゥルフ神話に出てくる紋章。
クトゥルフの生みの親、ラヴクラフトの友人でクトゥルフ神話の成立にも大きく寄与した立役者、オーガスト・ダーレスが考案したもので、作者によって強さや形がまちまち。ダーレスの作品では旧支配者を封印するほど強力で重要なアイテムとされる。ダーレスのものは歪んだ五芒星の中に瞳が描かれる。
一方ラヴクラフトの作中で使われた物は五本の枝が伸びる彗星のような形で描写される。
ラヴクラフトの作中では旧神が居ないため、ダーレスのような旧支配者に対する切り札にはなり得ない。と言うかラヴクラフトの作中だとだいたい人は何にもできない存在だが。
バイシクルに採用されたのはラヴクラフトの方のエルダーサイン。周辺に触手が描かれていて非常に良デザイン。とてもSAN値が減りそう。
エルダーサイン、アンネイマブルホラーズ、ルルイエライジングの三作品は同じクトゥルフ神話物。
バイシクル アンネイマブルホラーズ
名前がつけられ無い恐怖。と題されたバイシクルのプレイングカード。
名状し難いとは、言葉に出来ないような存在、状態を指すが、ホラーにおいてはクトゥルフ神話が有名だろうか。
クトゥルフ神話はそれまでの吸血鬼や人狼、幽霊や魔女のような存在ではなく、地球外の生命体に焦点が当てられたホラー作品群で、コズミックホラーとも言われる。
地球外の存在ゆえに人には表現できない悍ましい存在であるとされ、理解すると正気ではいられなくなってしまうと言う。理解する側の人は一般的な人から見ると正気を失ってるように見えるのだろう。
ちなみにクトゥルフを表現するとするなら、めちゃくちゃでかいタコにコウモリの羽とかが付いてる不気味な存在だと言う。
これは創造主のラヴクラフトが海鮮嫌いだったせいだと言う。タコやらイカやら食べない文化圏だと、確かに人によっては怖いかもしれない。ウネウネしてるし。ヌメヌメしてるし。
ちなみにラヴクラフトがこよなく愛した猫は作中にウルタールと言う猫だけの国が存在するくらい愛されている。あと、エジプトの女神バステトが取り入れられるくらい猫を愛してるのが伺える。
表面に描かれて居るのは赤く輝く結晶のような物。輝くトラペゾヘドロンと思われる。クトゥルフ神話に出てくる魔導具で、ユゴスよりの者が製作したもの。ニャルラトホテプの一形態である闇を彷徨うものが召喚される。
裏面は鏡のような物に男性が映るイラスト。
クトゥルフ神話で鏡と言うとニトクリスの鏡と思われる。ニトクリスの鏡は、エジプトの女王ニトクリスが所有していたとされる鏡で、覗くと異界の景色が映ると言う。更に壁にかけて放置すると異界の存在がこちら側に出てくるのだとか。クトゥルフ神話においてニトクリスは兄弟を殺した政敵をこの鏡で始末したと言う。
中央に映る男性はネクロノミコンの著者、アブドゥル・アルハザードだろうか。狂えるアラブ人とも言われる男性である。
胸元にラヴクラフト式エルダーサインが描いてある。
バイシクル クトゥルフルルイエライジング
タイトルはルルイエ浮上。ルルイエとはクトゥルフが復活するその日まで眠り続ける海底に沈んだ都市であり、非ユークリッド幾何学的な構造物がたくさん有る。クトゥルフはこの都市で星辰が正しい並びになる時を待っているとされる。
クトゥルフは海底で眠りにつきながら常に思念を送り続けており、大半は海水に阻まれて地上に来る事はあまりないが、ルルイエが浮上したら阻むことの無いクトゥルフの思念がダイレクトに人類に浴びせられる事となる。そうなると感受性の高い人、芸術家や子供なんかがこの思念をダイレクトに受け取って正気度が下がる事となる。
ルルイエが浮上するとクトゥルフが蘇り、地上を支配するとされる。
クトゥルフ神話で神話群の代表と言われるくらい知名度が高い神性だけど、別に神話の中で特別な神性と言うわけではない。
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