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ミッシング・チャイルド・ビデオテープ

ミッシングチャイルドビデオテープ



幼少期に摩白山で弟が行方不明になり、山岳ボランティアを続ける青年、兒玉敬太、敬太と同居しているこの世ならざるモノを見る青年、天野司。二人の元に敬太の母から送られてくるビデオテープを見た事から13年前に行方不明になった弟探しが始まる。



オカルトホラーもので、ホラーの定番の怪異の正体が割れて弱体化し、撃退する。みたいな展開はない。終始ねっとりした重い雰囲気が纏わりつく、良きJホラーのしっとりした雰囲気が好き。
作中で主人公の片割れ、天野司は相当強い霊感もちなため、作中に出てくる死者が全て見えている。観客にはその何か達は見えないが、彼の目線なんかから、そこに何かがいる事が窺える。


タイトルからもわかるようにビデオテープと言う、Jホラーと非常に相性のいい記録媒体が出てくる。最近はレトロ調で画質が悪いチープな映像をわざわざ撮れると言うトイカメラなんかもあり、ホラー好きとしてはめちゃくちゃ面白い物があるなぁ。とか思ったりする。

レトロ調な動画が撮れるピエニ8


今の映像ではほぼないノイズが走り画質が悪いこの映像が、見えない事で想像力を掻き立ててくれるホラーと相性がいいのは周知の事実だろう。



作中で出てくる摩白山は周辺住人の中での、ある信仰を集めた場所である。
それは不要になったものを捨てる場所。特に不要になった骨壷やしめ縄、鳥居なんかの信仰が集まるようなモノ、記号、作中では「神様」を投棄する場所である。と表現されている。
もともとそう言う怪異が住み着いているのか、あるいは神様を捨て続けた結果なのか、人の精神に影響を与え、通信機器をジャックする、映画「来る。」の、ぼぎわんのごとき悪辣さで主人公達を山に来させようとする。


最近流行りのホラー作品として好きな部類かな。ジャンプスケアとかはなくじっとりした雰囲気ホラー。
因習村てきな要素、古い記録媒体、精神に影響する直接描写されないナニカ、など。派手さはないホラーでした。
テレビに古い映像が映し出されるシーンで、行方不明になった弟の誕生日を家族で祝うシーンがある。ここが、キタニタツヤ氏の楽曲、素敵なしゅうまつを。のMVとか、ホラー作家の梨。氏の作品、けりよ。の、ゆうちゃんの誕生日を祝う描写なんかを彷彿とさせた。
幸せなシーンのはずだが、ホラーだと一気に不穏な雰囲気をまとうのいいですよね。

あと、登場人物の内面に闇が見え隠れするのも良い。この辺りは、一昨年のホラー映画、みなに幸あれ。に近いモノを感じた。あちらは幸せを維持するためには誰かを犠牲にする必要がある事を容認するところ。こちらは要らなくなった人やモノを廃棄すると言う事。
この辺りも、そこはかとなく梨。氏のけりよ。に同じような雰囲気を感じる。
あちらは生贄的な要素が強かったが、こちらとあちらの境界がふわっと見えるような作品が、好きなのかもしれない。


あと、本作品を見ていてふと思い出したのが、小学生の頃に実家の窓から見える山の上にサーチライトみたいなものでいくつもソラが照らされていたのがものすごく怖かった。
それと、兒玉家の実家にある白い髪の人形とか柱に取り付けられた懐中電灯が実家にあるモノと非常に似ててめちゃくちゃ懐かしくなった。

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