この私が、こんなにも普通の事務職をやりたくなるなんてね。

いつからなのかもう思い出せないけど、気づいたら諦め癖がついていた。

少なくとも小1の頃には、小学校生活においてのあらゆる行動が、筆箱やノートなどの所持数や机に置くときの位置に至るまで決められていて、もう私には人権がないのだと絶望し、自分の望むように生きることは諦めたのを覚えている。

当然、大人になった今なら、学校での細かいルールなんて別に絶対ではないし教員だって支配するつもりで言ったのではないとわかる。

けれど、遅くともその頃から大人になるまで、もはや心から欲しいものなどひとつもなく、何がやりたいとか何が欲しいとか聞かれた時は、いつか周りの誰かが言っていたそれっぽいことを拝借してみたりして生きる人間になっていた。
すごく楽しいと思える趣味もなかった。

だから、仕事なんて最低限必要なだけのお金さえ貰えれば別になんでもよかった。
なんでもいいのに選んだり必死になる意味がわからなくて、競争率の低い仕事ばかりやってたらいつの間にか福祉やサービス業の経歴だけしかない30代になっていた。

旗日に休めないのも、年間休日100日未満なのも、低収入なのも、どうでもいいし仕方ないと思っていた。

そんな無気力なこの私が、今や必死に普通の事務職を目指しているなんてね。

そうじゃないと子供とあまり一緒にいられない社会が嫌だとかそういう問題は別にして、とにかくそれほどまでに一緒にいる時間を確保したいと思わせる子供ってすごいね。

そんで、何よりこんなにも大変で競争率高い仕事してる事務員さん達っていうのは本当にすごいね。

今更、こんなにも普通の事務職をやりたくなるなんてね。




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